妊活前に知っておきたいワクチンと抗体検査|生ワクチン・接種タイミング・避妊期間まで解説
2026年6月改訂
この記事のポイント
- 妊活前には、風しん・麻しん・水痘・おたふくかぜの抗体検査がおすすめです
- 妊娠中は、MR・水痘・おたふくかぜなどの生ワクチンは接種できません
- 生ワクチン接種後は、2か月間の避妊が必要です
- 不活化ワクチンは妊活中でも接種できるものが多くあります
- 男性も風しん・麻しんの免疫確認が大切です
- 妊娠予定の3か月以上前から準備を始めると安心です

妊娠前には、風しん・麻しん・水痘・おたふくかぜの抗体検査を受け、必要に応じてワクチン接種を済ませておくことが大切です。
こんにちは、大阪・心斎橋の福本医院です。
妊娠を希望している方にとって、ワクチン接種は「いつ打てばいい?」「赤ちゃんへの影響は?」「妊活中でも接種できる?」など、不安や疑問が多いテーマです。
結論からお伝えすると、妊活中に接種できるワクチンと、妊娠中は接種できないワクチンがあります。
特にMRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどの生ワクチンは、妊娠中には接種できません。妊娠前に抗体検査を行い、必要なワクチンを済ませておくことが、母子ともに安心して妊娠を迎えるための大切な準備です。
この記事では、妊活前に確認したい抗体検査、ワクチンの種類、生ワクチン接種後の避妊期間、接種スケジュールについてわかりやすく解説します。
妊活前に確認したい抗体価の目安(EIA法)
まずは下の表で、ご自身の抗体価を確認してみましょう。
|
感染症 |
一般成人の目安 |
妊娠希望女性の目安 |
|---|---|---|
|
麻しん(はしか) |
EIA-IgG 8.0以上 |
EIA-IgG 8.0以上 |
|
風しん |
EIA-IgG 8.0以上 |
EIA-IgG 16.0以上推奨 |
|
水痘(みずぼうそう) |
EIA-IgG 4.0以上 |
EIA-IgG 4.0以上 |
|
おたふくかぜ |
EIA-IgG 4.0以上 |
EIA-IgG 4.0以上 |
※妊娠を希望される方では、特に風しん抗体価について一般成人より厳しい基準が推奨されています。
※抗体価が基準未満の場合は、ワクチン接種を検討します。
妊活前に抗体検査が大切な理由
妊娠中に風しん、麻しん、水痘などに感染すると、母体だけでなく胎児にも影響する可能性があります。
特に風しんは、妊娠初期に感染すると先天性風しん症候群の原因となることがあります。そのため、妊娠を希望する女性では、妊娠前に風しん抗体価を確認しておくことが重要です。
また、麻しんは感染力が非常に強く、妊娠中に感染すると重症化や流早産のリスクが問題となります。
水痘やおたふくかぜも、妊娠中の感染を避けたい感染症です。妊娠してから生ワクチンを接種することはできないため、妊活前に抗体検査で免疫の有無を確認しておくことが大切です。
ワクチンは大きく2種類に分かれます
ワクチンには、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン・トキソイド」があります。
妊活中・妊娠中の扱いが異なるため、まずこの違いを知っておくことが大切です。
生ワクチンとは
生ワクチンは、弱毒化した生きたウイルスを使うワクチンです。免疫をつくる力が比較的強い一方で、妊娠中は接種できません。
主な生ワクチンは以下のとおりです。
- MRワクチン(麻しん・風しん混合)
- 水痘ワクチン(みずぼうそう)
- おたふくかぜワクチン
- BCG
- ロタウイルスワクチン
妊娠を希望する女性が生ワクチンを接種した場合は、接種後2か月間の避妊が必要です。
不活化ワクチン・トキソイドとは
不活化ワクチンは、ウイルスや細菌を不活化したものを使うワクチンです。トキソイドは、細菌が出す毒素を無毒化したものです。
不活化ワクチン・トキソイドは、妊活中でも接種できるものが多くあります。
主な不活化ワクチン・トキソイドは以下のとおりです。
- インフルエンザワクチン
- B型肝炎ワクチン
- A型肝炎ワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- 破傷風トキソイド
- HPVワクチン
- 帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
ただし、妊娠中の接種可否や接種時期はワクチンの種類や状況によって異なります。妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、事前に医師へご相談ください。
妊活中の接種ルール
女性の場合
妊娠を希望する女性では、生ワクチンを接種した後、2か月間の避妊が必要です。
これは、生ワクチンに含まれる弱毒化ウイルスが理論上、胎児へ影響する可能性を避けるための予防的な対応です。
なお、妊娠に気づかずに生ワクチンを接種してしまった場合でも、先天性異常の報告はほとんどなく、過度に心配する必要はありません。ただし、念のため産婦人科または接種医療機関へご相談ください。
不活化ワクチンは妊活中でも接種できるものが多くありますが、妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期でもあります。可能であれば、妊娠が確認される前に必要な接種を済ませておくと安心です。
パートナー(男性)の抗体確認も大切
妊活は女性だけの問題ではありません。
パートナーが風しんや麻しんに感染すると、家庭内で妊婦へ感染する可能性があります。
そのため、妊娠を希望する場合は、男性側も風しん・麻しんの免疫を確認しておくことが大切です。
特に昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性は、風しんの定期接種を受ける機会がなかった世代です。
大阪市では、2025年3月31日までに風しん抗体検査を受け、抗体不十分と判定された方について、2027年3月31日まで接種対象期間が延長されています。
男性は生ワクチン・不活化ワクチンともに制限なく接種できます。
妊活を始める際は、ご夫婦・パートナーで一緒に抗体検査やワクチン接種を検討すると安心です。
抗体価の詳しい考え方
麻しん(はしか)
一般成人では、EIA-IgG 8.0以上が目安とされています。
4.0〜7.9はグレーゾーンで、接種歴や感染歴、今後のリスクを踏まえて追加接種を検討します。
麻しんは感染力が非常に強いため、抗体価が不十分な場合はMRワクチン接種を検討します。
風しん
一般成人ではEIA-IgG 8.0以上が目安ですが、妊娠を希望する女性では16.0以上が推奨されています。
妊娠初期に風しんへ感染すると、先天性風しん症候群の原因となることがあります。そのため、妊活前の風しん抗体検査は特に重要です。
抗体価が不十分な場合は、MRワクチン接種を検討します。
水痘(みずぼうそう)
水痘はEIA-IgG 4.0以上が目安です。
抗体価が低い場合は、水痘ワクチン接種を検討します。水痘ワクチンは生ワクチンのため、接種後2か月間の避妊が必要です。
なお、水痘はEIA法よりFAMA法の方が感度が高いとされていますが、実施できる施設は限られます。
おたふくかぜ
おたふくかぜはEIA-IgG 4.0以上が目安です。
おたふくかぜワクチンは任意接種ですが、妊活前に免疫を確認しておくことが推奨されます。
なお、おたふくかぜは抗体価が十分でも発症することがあるため、接種歴や罹患歴もあわせて判断します。
抗体価が不足していた場合
抗体価が不足していた場合は、以下のようにワクチン接種を検討します。
- 麻しん → MRワクチン接種を検討
- 風しん → MRワクチン接種を検討
- 水痘 → 水痘ワクチン接種を検討
- おたふくかぜ → おたふくかぜワクチン接種を検討
MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンはいずれも生ワクチンです。
接種後2か月間は避妊が必要です。

妊活前の理想的なスケジュール例
生ワクチン接種後には2か月間の避妊が必要です。妊娠を希望される場合は、妊娠予定の3か月以上前から抗体検査とワクチン接種の準備を始めることをおすすめします。
ステップ1:抗体検査
まず、麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの4項目について抗体検査を行います。
妊娠希望の3か月以上前に検査できると、その後のワクチン接種や避妊期間を含めて余裕を持って準備できます。
ステップ2:必要なワクチンを接種
抗体価が不十分な場合は、必要なワクチン接種を検討します。
MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどの生ワクチンは、同日に接種することが可能です。
別日に接種する場合は、生ワクチン同士は4週間以上の間隔を空ける必要があります。
ステップ3:2か月間の避妊
生ワクチン接種後は、2か月間の避妊が必要です。
妊娠を急いでいる場合でも、この期間を考慮して早めに検査と接種を行うことが大切です。
ステップ4:必要に応じて抗体確認
抗体が十分についているかを確認したい場合は、接種後1〜2か月以上経過した時点で再検査を行うことがあります。
再検査が必要かどうかは、接種歴、抗体価、妊娠予定時期などを踏まえて判断します。
同時接種について
複数のワクチンを同じ日に接種する「同時接種」は可能です。
たとえば、MRワクチンと水痘ワクチンを同じ日に接種することができます。
同じ日に接種せず、別日に生ワクチンを接種する場合は、4週間以上の間隔が必要です。
不活化ワクチンは、生ワクチン・不活化ワクチンを問わず、同時接種が可能です。
妊娠中に接種できるワクチン・できないワクチン
妊娠中は、原則として生ワクチンは接種できません。
一方で、インフルエンザワクチンなど、妊娠中でも接種が推奨されるワクチンもあります。
妊娠中のワクチン接種は、妊娠週数、流行状況、基礎疾患、職業上のリスクなどによって判断が変わります。
妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、自己判断せず、産婦人科または医療機関へご相談ください。
妊活前のワクチン準備は早めがおすすめです
妊娠が判明してからでは接種できないワクチンがあります。
妊活を始めようと思ったら、まず抗体検査を受け、必要なワクチン接種を計画することをおすすめします。
特にMRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンは接種後2か月間の避妊が必要なため、妊娠予定の3か月以上前から準備を始めると安心です。
福本医院での対応
福本医院では、妊活前の抗体検査とワクチン接種に対応しています。
- 麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの抗体検査
- 単項目または4項目セットでの抗体検査
- MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン
- 生ワクチン・不活化ワクチンの同日接種相談
- 妊活中の接種スケジュール相談
- 接種証明書の発行
妊娠前のワクチン接種は、タイミングがとても大切です。
「いつ検査すればよいかわからない」
「抗体価の見方がわからない」
「妊活中に接種してよいか相談したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
ご予約について
ご予約はWEBまたはお電話で承ります。
福本医院
大阪市中央区南船場
内科・循環器内科・予防接種
心斎橋駅より徒歩すぐ
よくあるご質問
Q. 妊活前には、どの抗体検査を受ければよいですか?
A. 麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの4項目を確認することが一般的です。特に風しんは、妊娠初期の感染を避けるため、妊活前に確認しておくことが重要です。
Q. 風しん抗体価はいくつあれば安心ですか?
A. 一般成人ではEIA-IgG 8.0以上が目安ですが、妊娠を希望する女性では16.0以上が推奨されています。
Q. 生ワクチン接種後は、どれくらい避妊が必要ですか?
A. MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどの生ワクチン接種後は、2か月間の避妊が必要です。
Q. 妊娠中に生ワクチンを誤って接種してしまいました。どうすればよいですか?
A. 先天性異常の報告はほとんどなく、過度に心配しすぎる必要はありません。ただし、念のため産婦人科または接種医療機関へご相談ください。
Q. 妊娠中にインフルエンザワクチンは打てますか?
A. はい。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊娠中も接種が可能です。流行期には母体の重症化予防のためにも接種が推奨されます。
Q. 夫・パートナーもワクチン接種が必要ですか?
A. はい。風しんや麻しんに免疫がない場合は、家庭内感染を防ぐためにも抗体検査やワクチン接種を検討します。
Q. 抗体検査の結果がグレーゾーンでした。接種は必要ですか?
A. 接種歴、罹患歴、妊娠予定時期、感染リスクを総合的に判断します。妊娠を希望する女性では、特に風しんについて16.0以上を目安に接種を検討することがあります。
Q. MRワクチンと水痘ワクチンは同じ日に打てますか?
A. はい。同じ日に接種することが可能です。別日に接種する場合は、生ワクチン同士は4週間以上の間隔が必要です。
Q. 抗体検査はいつ受ければよいですか?
A. 妊娠希望の3か月以上前に受けるのが理想です。抗体価が不足していた場合でも、ワクチン接種と避妊期間を含めて余裕を持って準備できます。
Q. 接種後に抗体がついたか確認できますか?
A. 必要に応じて確認できます。接種後1〜2か月以上経過してから抗体検査を行うことがあります。
Q. 妊活中にコロナワクチンは接種できますか?
A. 新型コロナワクチンは不活化ワクチンではありませんが、生ワクチンでもありません。妊娠中や妊活中の接種については、その時点の流行状況や基礎疾患などを踏まえて判断します。ご希望の方はご相談ください。
参考文献・参考リンク
国内ガイドライン・基準
1. 日本プライマリ・ケア連合学会「成人ワクチン接種スケジュール 2026年4月版」
https://www.vaccine4all.jp/shared/files/vaccine_A4_20over.pdf
成人向けワクチンの接種間隔・対象者・定期/任意の区分が網羅された最新スケジュール表。生ワクチン同士の4週間ルールや同時接種の可否など、本記事の接種ルールの根拠となる資料。
2. CRCグループ「医療関係者のためのワクチン接種の基本となるウイルス抗体価の判定」
https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/123.html
麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの抗体価判定基準(EIA法・HI法・PA法別)をまとめた参考資料。本記事のEIA法判定表の参考として活用。
3. 厚生労働省「予防接種・ワクチンについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html
定期接種・任意接種の制度全般を確認できる厚生労働省の公式ページ。妊婦へのワクチン接種に関する最新の通知もここで確認できる。
大阪市の制度
4. 大阪市「風しん抗体検査・予防接種(風しん第5期)」
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000465321.html
昭和37〜54年(1962〜1979年)生まれの男性を対象とした風しん第5期定期接種の案内。抗体検査は2025年3月31日に終了。2025年3月31日までに検査を受け抗体不十分と判定された方は2027年3月31日まで無料接種が可能。
5. 大阪市「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)」
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000115714.html
定期接種対象者(小学6年〜高校1年相当の女子)の手続きについて。なお、1997〜2009年生まれの女性を対象としたキャッチアップ接種(無料)は2026年3月31日に終了。
国際ガイドライン
6. CDC「Vaccines and Pregnancy(妊娠とワクチン接種)」
https://www.cdc.gov/vaccines/pregnancy/index.html
米国CDCによる妊娠中・妊活中のワクチン接種に関するガイダンス。生ワクチンと不活化ワクチンの安全性に関する情報が確認できる。
7. WHO「Position Papers on Vaccines」
https://www.who.int/teams/immunization-vaccines-and-biologicals/policies/position-papers
WHOによる各ワクチンの国際的な推奨基準。各感染症のリスクとワクチンの有効性・安全性についてエビデンスに基づいた情報を提供。
福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。
心斎橋、長堀橋、本町、四ツ橋から徒歩圏内にあり、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。
動悸、胸痛、息切れ、高血圧などの循環器疾患から、一般内科、健康診断、予防接種まで幅広く対応しております。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
平成9年 神戸大学医学部医学科卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)
【ラジオ出演】福本医院 院長と総合診療、感染症専門医が生放送で解説|総合診療と感染症の正しい知識 📻 ラジオ関西「寺谷一紀のまいど!まいど!」出演のご報告 心斎橋の内科・循環器内科






















