百日咳の症状で咳き込む母親と男の子が並んで咳をしているイラスト。

百日咳は子どもから大人まで感染する可能性があります。咳が長引く場合は早めの受診を。

 

■ 「風邪だと思っていた咳が、実は百日咳だった」

そんな患者さんが増えています。

百日咳(ひゃくにちぜき)は、かつて子ども特有の病気と考えられていましたが、実は大人にも増えている感染症です。

特に、2週間以上咳が続く方は、百日咳の可能性を考える必要があります。

 

■ 百日咳とは?

百日咳は、「ボルデテラ・パーテューシス(Bordetella pertussis)」という細菌による感染症です。

【特徴的な症状】

  • 発作的に咳き込む(paroxysmal cough)

  • 息を吸うときに「ヒューヒュー」という音が出る(whoop)

  • 咳の後に吐いてしまう(咳後嘔吐)

  • 発熱は軽いか、ないことが多い

子どもだけでなく、大人でもかかることがあり、重症化するケースもあります

 

■ 百日咳の最新動向(日本国内)

2024年から日本国内で百日咳が急増しています。

 

【グラフ:日本の百日咳感染者数の推移】

百日咳感染者数推移

【感染増加の背景】

  • COVID-19対策の緩和で呼吸器感染症全体が急増

  • 海外からの流行株の流入(中国・韓国でも流行)

  • 抗菌薬耐性菌(MRBP)の出現

 

■ 百日咳の「CDC 2024年版 診断基準」

米国CDC(疾病予防管理センター)は、2024年に百日咳の診断基準を更新しました。

【臨床診断基準】

  • 咳が 2週間以上続くこと

  • かつ以下のいずれか:

    • 発作性咳嗽(Paroxysmal cough)

    • 吸気時笛声音(Whoop)

    • 咳後嘔吐(Posttussive vomiting)

  • 他の明らかな原因がないこと

 

■ 福本医院での検査方法

当院では、百日咳の検査として

LAMP法(Loop-mediated Isothermal Amplification)による遺伝子検査を実施しています。

【LAMP法の特徴】

  • PCRと同様に、百日咳菌(Bordetella pertussis)の遺伝子を検出

  • 高感度・高特異度

「風邪かな?」と思っていても、LAMP法で百日咳が判明することがあります。

 

■ 大人の百日咳は「見逃されやすい」

大人の場合、

  • 「風邪が長引いている」

  • 「咳喘息かと思った」

  • 「逆流性食道炎かもしれない」

と考えて受診が遅れることがあります。

しかし実は百日咳だった、というケースが少なくありません。

 

■ どんなときに受診すべき?

【受診の目安】

  • 2週間以上、咳が続いている

  • 咳き込みがひどく、夜も眠れない

  • 咳で肋骨が痛い

  • 家族や周囲に咳をしている人が多い

  • 乳児や高齢者にうつしてしまうことが心配

このような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

 

■ 百日咳の治療

【治療】

  • 抗菌薬(マクロライド系:クラリスロマイシンなど)

    早期治療で感染拡大を防ぎますが、咳はしばらく続くことが多いです。

 

■ 福本医院での対応

福本医院(大阪市中央区・心斎橋)では、

  • LAMP法による百日咳遺伝子検査

  • 必要な場合は抗菌薬治療

  • 家族内感染や周囲への広がりについても丁寧にご説明します。

 

■ まとめ

「咳が長引く=風邪」ではありません。

百日咳は子どもだけでなく、大人も注意が必要な病気です。

気になる方は、お気軽に福本医院までご相談ください。