‏こんにちは。

今回は当院に展示している特別なアート作品「キャリグラム」と、その制作者であり、私の叔父である福本 龍についてご紹介いたします。

 

福本龍作品 福本龍の世界


 キャリグラムとは?

「キャリグラム(Calligramme)」とは、文字を使って視覚的に意味ある形を構成するアート手法です。

詩や物語がそのまま形となり、言葉と造形が融合する独特の美しさを持ちます。

福本 龍は、クラシック音楽や星座、神話を題材にした作品を数多く制作し、

その作品は見る人の心を静かに癒す力を宿しています。


福本 龍について ─ 医師であり芸術家

福本 龍は、福本家15代目の医師でありながら、芸術家としても国際的な評価を受ける多才な人物です。

医療の現場に立ちながら、「言葉と形による癒し」の追求を通して、独自の芸術世界を築いてきました。


大鳥 圭介との血縁関係

福本 龍は、大鳥 圭介(1833–1911)の妹・於勝の曽孫にあたります。 

この家系的背景から、福本 龍は大鳥圭介の思想と生涯を敬意をもって研究し、

多数の著書や資料編纂を行ってきました。


五稜郭での奮戦と、明治での再起──大鳥圭介の生涯  福本龍の著書より

幕末、五稜郭にて

1868年の戊辰戦争において、大鳥圭介は旧幕府軍の総裁として榎本武揚、土方歳三らと共に蝦夷地(北海道)へ渡り、

五稜郭の戦いでフランス式近代兵制を駆使して防衛指揮を担いました

「死のうと思えば、いつでも死ねる。今は降伏と洒落込もうではないか」

これは新政府軍に追い詰められた際に、降伏を勧めるために部下たちに語った言葉とされています。彼のこの言葉は、窮地に陥っても冷静さを保ち、皆の命を救おうとする強い意志と、型にはまらない自由な発想を示すものとして知られています。

その後2年半にわたり投獄されるも特赦にて出獄しました。


明治の功績 ─ 教育・産業・外交での活躍

赦免後の彼は、その語学力・国際感覚・戦略思考を生かして、以下のような明治国家の礎を築く重要な仕事に従事しました:

  • 学習院初代学長として、華族子弟への人格教育を整備

  • 工部大学校・東京大学工学部の前身校の創設支援

  • 西洋式活版印刷技術(大鳥活版)を導入し、出版文化と教育の発展を推進

  • 朝鮮駐在の特命全権公使として、極東外交に貢献

  • 琵琶湖疏水計画にも技術顧問的立場で参画し、日本初の水道・発電インフラ整備に寄与


歴史研究者としての福本 龍

福本 龍は、芸術家であると同時に、歴史研究者としても大鳥圭介の資料を編纂・出版してきました。

著書には以下のような作品があります:

著書紹介

  1. 『福本龍の世界 ─ キャリグラム』

     → キャリグラム作品集(詩画集)

  2. 『明治五年・六年 大鳥圭介の英・米産業視察日記』

     → 明治政府による欧米産業調査の一次資料を編纂

  3. 『われ徒死せず ─ 明治を生きた大鳥圭介』

     → 大鳥の思想と生涯を描いた評伝

📦 Amazonで購入できます:福本龍の著書一覧を見る


福本医院で展示中のキャリグラム作品

福本医院では、福本 龍のキャリグラム作品を院内各所に展示しております。

ご来院の際は、ぜひ足を止めてご覧いただき、医療と芸術の融合を感じてみてください。


最後に

医療と芸術、歴史と現代──。

これらを静かに、しかし力強くつないでいるのが、福本 龍のキャリグラム作品です。

その背景には、大鳥 圭介という一人の偉人の知と行動の精神が脈々と受け継がれています。

福本医院では、皆さまの心と体の健康を支えるとともに、

こうした文化的価値を身近に感じていただける場づくりも大切にしています。