💤ぐっすり眠れてますか? ― 睡眠時無呼吸症候群の原因とCPAP療法 ―
夜、しっかり寝ているはずなのに「昼間に眠くて仕方がない」「朝起きてもスッキリしない」…そんなことはありませんか?
もしかすると、それは「睡眠時無呼吸症候群(OSA)」かもしれません。
🧐 睡眠時無呼吸症候群ってなに?
睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。多くは「いびき」とセットで起こります。自分では気づきにくいですが、ご家族から「息が止まってたよ」と言われることも。
OSAでは、喉の奥(上気道)が睡眠中にふさがり、息ができなくなります。その結果、脳や体に十分な酸素が届かず、睡眠の質が悪くなってしまいます。
🚨 どんな症状があるの?
朝の頭痛やだるさ
日中の眠気や集中力の低下
大きないびき
起床時の口の乾き
夜間の頻尿
放っておくと…
高血圧、心不全、不整脈、脳卒中、糖尿病など、全身の病気を引き起こすことがわかっています。
📚 科学が解き明かす、OSAのリスク
✔ 肥満は最大のリスク因子。特に首周りの脂肪が気道を狭くします。
✔ 加齢・男性・遺伝的体質も影響します。
✔ アルコールや睡眠薬は筋肉をゆるめて悪化させます。
👉 2023年のNature系列論文では、上気道の筋肉のコントロール障害や、脳からの呼吸指令の乱れが関係していると報告されています。
👉 心臓の専門誌JACC(2017年)では、OSAが心臓病(特に高血圧・心房細動)と密接に関係していると警鐘を鳴らしています。
🔍 どうやって診断するの?
「睡眠検査(簡易検査/ポリソムノグラフィー)」で調べます。
当院でも、自宅でできる簡易検査を導入しています。
💡 どんな治療があるの?
CPAP(シーパップ)療法
鼻にマスクを装着し、気道に空気を送り込みます。最も効果的な治療法です。
マウスピース(口腔内装置)
軽症の場合に有効です。
生活習慣の改善
体重管理、禁酒、寝る姿勢の工夫が効果的です。
👉 NEJMのレビュー(2019年)によると、早期治療によって心血管リスクも軽減できるとされています。
🏥 福本医院の取り組み
当院では、以下のようなサポートを行っています。
✅ 自宅でできる睡眠検査の導入
✅ CPAP療法の導入と管理、マウスピース作成のための歯科紹介
✅ 生活習慣のアドバイス(栄養指導やダイエット相談)
✅ 心臓疾患との関係が疑われる場合の精密検査(心電図・心エコーなど)
🌙 さいごに
「眠っている間のことだから、よくわからない」と思いがちですが、質の悪い睡眠は、人生の質にも大きく影響します。眠りが浅い、昼間にぼーっとする、いびきが大きい…そんなときは、ぜひ一度ご相談くださいね。
📌参考文献
1. Wang Y et al.
論文タイトル: Pathophysiological mechanisms and therapeutic approaches in obstructive sleep apnea syndrome
掲載誌: Signal Transduction and Targeted Therapy, 2023年
DOI: 10.1038/s41392-023-01496-3
概要: この総説論文では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の病態生理学的メカニズムと治療法について詳述されています。特に、間欠的低酸素(IH)が腸内細菌叢の変化や全身性炎症、交感神経系の活性化を引き起こすことが示されています。また、CPAP療法、減量、薬物療法、外科的治療などの最新の治療戦略も取り上げられています 。
2. Javaheri S et al.
論文タイトル: Sleep Apnea: Types, Mechanisms, and Clinical Cardiovascular Consequences
掲載誌: Journal of the American College of Cardiology, 2017年
DOI: 10.1016/j.jacc.2016.11.069
概要: このレビュー論文では、睡眠時無呼吸の種類(閉塞性および中枢性)、その病態メカニズム、および心血管疾患との関連性について詳述されています。間欠的低酸素、酸化ストレス、交感神経系の活性化、内皮機能障害などが心血管疾患の主要な媒介因子として取り上げられています 。
3. Malhotra A et al.
論文タイトル: Obstructive Sleep Apnea in Adults
掲載誌: New England Journal of Medicine, 2019年
DOI: 10.1056/NEJMcp1816152
概要: この論文は、成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断と管理に関する包括的なレビューです。症状、診断方法(ポリソムノグラフィーなど)、治療選択肢(CPAP、口腔内装置、外科的介入など)について詳述されています 。