2025年最新版|高血圧の診断基準と家庭血圧の正しい測り方【循環器専門医解説】
はじめに
2025年、日本高血圧学会の診断基準が改訂されました。高血圧は自覚症状がないまま進行し、心臓病や脳卒中など重大な合併症を引き起こす“サイレントキラー”です。今回の改訂では家庭血圧の重要性がさらに強調され、診察室血圧との差(白衣高血圧・仮面高血圧)にも注目が集まっています。
本記事では循環器専門医として、最新の基準と家庭での正しい血圧測定法、受診の目安をわかりやすく解説します。
2025年改訂の高血圧診断基準
診察室血圧の基準
- 高血圧:140/90 mmHg 以上
- 高値血圧:130–139 / 80–89 mmHg
- 正常血圧:120–129 / 70–79 mmHg
- 理想的血圧:120/70 mmHg 未満
家庭血圧の基準
- 高血圧:135/85 mmHg 以上
- 高値血圧:125–134 / 75–84 mmHg
- 正常血圧:115–124 / 70–74 mmHg
- 理想的血圧:115/70 mmHg 未満
📌 家庭血圧は診察室よりも基準がやや厳しいのが特徴です。これは家庭のほうがリラックスした状態で、より正確に日常の血圧を反映できるからです。
家庭血圧と診察室血圧の違い
白衣高血圧
診察室では高血圧だが、家庭では正常な状態。医師や病院環境の緊張が原因。
仮面高血圧
診察室では正常だが、家庭や仕事中に高血圧になる状態。ストレスや生活習慣が背景にあります。
🔍 どちらも放置すると心血管イベントのリスクが高まるため、家庭血圧の定期測定が不可欠です。
家庭血圧の正しい測定方法
測定時間
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前
- 夜:就寝前(入浴や飲酒直後は避ける)
測定姿勢と環境
- 背もたれのある椅子に座る
- 足は組まず床にしっかりつける
- 測定前1〜2分間は安静にする
- 腕は心臓の高さに保つ
血圧計の選び方
- 上腕式がおすすめ(手首式は誤差が出やすい)
- 国際規格に準拠した機種を選ぶ
- カフのサイズは腕回りに合ったものを使用
高血圧が心臓に与える影響
- 左心室肥大 → 心不全のリスク増加
- 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
- 心房細動の発症リスク上昇
- 動脈硬化の進行による脳卒中・腎障害
長期的に高血圧を放置すると、心臓は絶えず高い圧力にさらされて疲弊していきます。
受診の目安と福本医院でできる検査
- 家庭血圧で 135/85 mmHg 以上が続く場合は要受診
- 高血圧が疑われる場合は、以下の検査が可能です
- 心電図
- 心エコー
- ホルター心電図(24時間×5日間)
- 血液・尿検査(腎機能・糖代謝・脂質)
まとめ
2025年の新基準では、家庭血圧の活用がますます重要になっています。
日々の測定で自分の血圧パターンを知り、異常が続けば早めに医療機関を受診しましょう。
福本医院では、循環器専門医が最新のガイドラインに沿った診断と治療を行っています。
参考文献
- 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2025(JSH 2025)
- Whelton PK, et al. 2017 ACC/AHA/… Hypertension. 2018;71(6):e13-e115.
- Stergiou GS, et al. Hypertension. 2021;77(3):806-822.