目のかゆみとくしゃみの症状があるスギ花粉症のいのねえのイラスト

目のかゆみとくしゃみに悩むスギ花粉症の様子(いのねえイラスト)

 

毎年スギ花粉のシーズンになると、

薬を飲んでもくしゃみや鼻水、目のかゆみが治まらず、日常生活や仕事に支障が出てしまう方は少なくありません。

当院(大阪・心斎橋の福本医院)では、

従来の治療(内服薬・点鼻薬・点眼薬など)で十分な効果が得られない「重症スギ花粉症」の患者さんに対して、

👉 抗IgE抗体製剤

「ゾレア(一般名:オマリズマブ)」による注射治療を行っております。

本記事では、ゾレアの仕組み・効果・費用・当院での治療の流れを、わかりやすく解説します。

 

ゾレア皮下注150mgペン製剤の外観(抗IgE抗体オマリズマブ注射薬)

ゾレア皮下注300mgペン製剤の外観(抗IgE抗体オマリズマブ注射薬)

 

■ ゾレア(オマリズマブ)とは?

ゾレアは、アレルギー反応の原因となるIgE(免疫グロブリンE)に直接作用する注射薬です。

従来の治療が

👉「出てしまった症状を抑える」のに対し

ゾレアは

👉 「アレルギー反応そのものを抑える」

という、より根本に近い作用を持つのが特徴です。

 

■ スギ花粉症に対する効果

臨床試験において、ゾレアは以下の効果が確認されています。

  • くしゃみ・鼻水・鼻づまりの改善

  • 目のかゆみの改善

  • 生活の質(QOL)の向上

  • 内服薬の使用量の減少

👉 特に重症例で効果が大きいことが報告されています

 

■ 有効性を示した主な研究

① 日本人対象試験

  • Okubo K ら

  • 日本のスギ花粉症患者を対象としたランダム化比較試験

👉 症状スコアの有意な改善を確認

👉 内服薬併用でも追加効果あり

 

② 国際試験

  • Kopp MV ら

👉 鼻症状・眼症状ともに改善

👉 重症例でより高い効果

 

■ ゾレア治療のスケジュール(花粉症の場合、シーズン限定)

スギ花粉症に対するゾレアは、通年治療ではありません。

  • 投与期間:2月〜4月(花粉飛散期)

  • 投与間隔:4週間ごと

  • 投与回数:通常2〜3回

👉 シーズンに合わせた「期間限定治療」です

 

■ 適応(重要)

ゾレアは、すべての方に使用できる薬ではありません。

以下を満たす必要があります:

  • 重症スギ花粉症

  • 標準治療(内服・点鼻など)で効果不十分

  • 血液検査で適応基準を満たす

  • スギ花粉に対するアレルギーが証明されている

 

■ 必要な検査

治療前に以下の検査を行います:

  • 総IgE値(非特異的IgE)

  • スギ特異的IgE抗体

  • 体重測定

👉 IgE値+体重で投与量を決定

 

■ 福本医院での診療の流れ

① 標準治療の実施

(内服薬・点鼻・点眼)

② 効果不十分な場合

→ 血液検査で適応判定

③ 適応あり

→ 院内で皮下注射(ペン製剤)

 

■ 投与方法

  • 皮下注射(ペン型製剤)

  • 外来で実施

  • 数分で終了

👉 当院では

注射回数を減らしやすいペン製剤を採用

 

リリー看護師がいのねえの左上腕にゾレアを皮下注射している様子

 

■ 費用(3割負担・目安)

※再診時・薬剤費+技術料込みの概算

  • 150mg 👉 約 8,000円

  • 300mg 👉 約 13,500円

  • 450mg 👉 約 20,000円

  • 600mg 👉 約 25,500円

※初診時・検査日は別途費用あり

※高額療養費制度の対象になる場合があります。

※検査の結果、体重により投与量が決まりますが、15omg 、300mg 適応の方が多いです。

 

■ 副作用

  • 注射部位の腫れ・痛み

  • 頭痛

  • まれにアナフィラキシー

👉 安全に配慮し院内で投与を行います

 

■ このような方におすすめ

  • 毎年花粉症が非常につらい

  • 薬を飲んでも効かない

  • 眠気が強く困っている

  • 仕事・受験などで症状を抑えたい

  • 舌下免疫療法が難しい

 

■ まとめ

ゾレアは、重症スギ花粉症に対する新しい治療選択肢であり、

従来の治療で効果が不十分な方において症状を大きく改善する可能性があります。

適応には検査が必要となるため、

まずは現在の症状についてご相談ください。

 

■ 関連記事(内部リンク推奨)

👉 花粉症の一般的な治療についてはこちら

🌸 季節性アレルギー(花粉症) ― 科学的根拠に基づく原因・診断・治療 ― 福本医院/内科・心斎橋

 

■ 参考文献(ゾレア/スギ花粉症)

① 日本人対象・最重要エビデンス(Phase3試験)

Okubo K, et al.

Add-on Omalizumab for Inadequately Controlled Severe Pollinosis Despite Standard-of-Care: A Randomized Study.

Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice. 2020;8(9):3130-3140.e2

👉 標準治療にゾレアを追加することで

鼻・眼症状およびQOLが有意に改善 

 

② 日本人スギ花粉症における基礎試験

Okubo K, et al.

Anti-IgE Antibody Therapy for Japanese Cedar Pollinosis.

Allergology International. 2008

👉 プラセボ対照試験で

症状スコアが有意に低下(有効性+安全性) 

 

③ 長期・臨床効果(日本)

Goto T, et al.

Evaluating the Efficacy of Omalizumab in Severe Cedar Seasonal Allergic Rhinitis in Japan.

Cureus. 2024

👉 4〜12週で

鼻症状・眼症状・QOLが有意改善 

 

④ 社会的効果(労働生産性)

Müller M, et al.

Impact of Omalizumab on Work Productivity in Severe Japanese Cedar Pollinosis.

2022

👉 労働・日常活動の損失を

約1/3改善する可能性 

 

⑤ 総説(適応拡大の背景)

Okayama Y, et al.

Roles of Omalizumab in Various Allergic Diseases.

2020

👉 日本では

重症スギ花粉症への適応が追加された背景を解説

 

この記事の監修

福本医院

院長 福本 淳

医学博士