🩺 高血圧とは?その定義とリスク
高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全などのリスクを高める病気です。とくに日本では脳卒中との関係が強く、早期の管理が重要です。
🧠 高血圧はなぜいけないの?
― 血管を水道ホースにたとえて説明します ―
私たちの体の血管は、水道のホースのようなものです。
💧 水=血液
🧯 ホース=血管
🔧 水圧=血圧
と考えてみてください。
🔁 長く続く高い水圧 → ホースが劣化
ホースに平均的に強い水圧がかかり続けると、
次第にゴムが固くなり、内側が傷んでいきます。
これが、血管の「動脈硬化」です。
血管の内側が傷つく
血管の弾力が失われる
血栓ができやすくなる
つまり、血管の老化が加速するのです。
💥 突然の強い圧力 → ホースが破裂
また、ホースに一時的にものすごく高い水圧がかかると、
一番弱くなっていた場所が破裂してしまうことがあります。
これは、脳出血や大動脈破裂などの「血管事故」にあたります。
脳の血管 → 脳出血
大動脈 → 解離や破裂
目の血管 → 網膜出血
高血圧が長く続くと、命に関わる大事故につながるリスクがあるのです。
🛡 高血圧は「沈黙の殺し屋」
高血圧は症状が出にくく、気づかないうちに血管が傷み続けるため、
「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれます。
血圧は「数字」ではなく、「血管の未来」を表す大切な指標です。
早期の測定と治療で、将来の大きな病気を防ぎましょう。
📊 高血圧の分類と診断基準(日本高血圧学会 2019)
分類 | 収縮期(上) | 拡張期(下) |
---|---|---|
正常血圧 | <120 mmHg | <80 mmHg |
高値血圧 | 130–139 mmHg | 85–89 mmHg |
高血圧(Ⅰ度) | 140–159 mmHg | 90–99 mmHg |
高血圧(Ⅱ度) | ≧160 mmHg | ≧100 mmHg |
📝 家庭血圧測定値のほうが診察室血圧よりも信頼性が高いとされています。
📱 自宅での血圧測定を推奨しています
福本医院では、スマートフォンとBluetoothで接続できる自動血圧計を使用した家庭血圧の自己測定を強くおすすめしています。
朝晩の測定データはスマホで自動記録・グラフ化され、変化を視覚的に把握できます。
来院時にそのデータをもとに、血圧のお薬を適切に調整します。
📈 自宅での記録があると、過剰な薬の投与や見逃しを防ぎ、より安全で効果的な管理が可能です。
🎯 血圧管理の目標(日本高血圧学会ガイドライン 2019)
75歳未満:130/80 mmHg未満
75歳以上の高齢者:140/90 mmHg未満
※家庭血圧では、さらに5 mmHg低い値が目標です。
💊 血圧を下げる薬の種類と特徴
薬剤分類 | 主な作用 | 特徴 |
---|---|---|
カルシウム拮抗薬 | 血管を広げて血圧を下げる | 日本人に多く使われる。むくみが出やすいことも |
ACE阻害薬 | 血管収縮を抑える | 腎保護作用あり。空咳が出ることも |
ARB | ACE阻害薬と似た作用 | 空咳が少なく、腎機能にも良い |
利尿薬 | 余分な水分を排出 | 高齢者や心不全の方に適応。脱水注意 |
β遮断薬 | 心拍数を抑える | 不整脈や狭心症に併用。気管支喘息には慎重投与 |
💡 多くの方は2種類以上を組み合わせる「併用療法」によって、目標血圧を目指します。
🏥 福本医院での高血圧治療
当院では、日本高血圧学会の最新ガイドラインに準拠した治療に加え、Bluetooth対応血圧計による家庭血圧データを活用し、一人ひとりに最適な薬剤調整を行っています。
📞 機械が苦手な方でも丁寧にサポートいたしますのでご安心ください。
📚 参考文献(科学雑誌・ガイドライン)
梅村敏(編)ほか. (2019). 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019). Hypertension Research, 42(9), 1235–1481. https://doi.org/10.1038/s41440-019-0284-9
Whelton, P.K., et al. (2018). 2017 ACC/AHA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults. J Am Coll Cardiol, 71(19), e127–e248. https://doi.org/10.1016/j.jacc.2017.11.006
Kario, K., et al. (2024). Consensus statement on renal denervation by the Japanese Circulation Society. Hypertension Research, 47, 2624–2632. https://doi.org/10.1038/s41440-024-01700-z