2型糖尿病


はじめに

糖尿病の治療は、ここ数年で大きく進化しています。特に2024年~2025年にかけて、日本や欧米で最新の治療ガイドラインが発表され、食事療法やお薬の使い方、予防や合併症対策がアップデートされました。

このブログでは、最新のガイドラインのポイントを、患者さんにもわかりやすくご紹介します。


日本のガイドラインの変更点(2024年版)

✅ 食事療法が大きく進化

2024年に改訂された「糖尿病診療ガイドライン」では、エネルギー制限食をしっかり活用し、体重管理や血糖改善を目指す治療方針が強調されました。

特に2型糖尿病で過体重や肥満がある方には、「食事の見直し」がこれまで以上に重要とされています。

✅ お薬の選び方も個別化

血糖値だけでなく、腎臓・心臓の状態や体重、生活スタイルに応じて、お薬の使い方も個別に検討される時代に。SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬といった新しいタイプのお薬の活用が進んでいます。

 

糖尿病の食事療法に取り組む中年男性が、健康的な食事を前にノートを取りながら食事している様子

栄養バランスの取れた食事と記録を続けることで、血糖管理をサポート。


アメリカ糖尿病学会(ADA)2025年版の注目点

🔍 センサーで血糖管理(CGM)

指先から血を採らずに血糖値を測定できる「CGM(持続血糖モニター)」が、2型糖尿病の方にも推奨されるようになりました。

自宅での血糖変動が見える化され、自己管理に役立ちます。

❤️ 心臓・腎臓を守る治療

糖尿病がある方では、心不全や腎臓病を予防することも治療の大きな目的になっています。GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬が、血糖だけでなく合併症も予防できるお薬として推奨されています。

🍽️ 「脂肪肝」や「肥満」も治療対象に

アメリカでは「MASLD(代謝性脂肪肝疾患)」という言葉が使われるようになり、糖尿病と一緒に治療する対象としてガイドラインに組み込まれました。


欧州(ESCガイドライン)の特徴

ヨーロッパ心臓病学会(ESC)では、糖尿病と心臓病の関係に特化したガイドラインを出しています。

糖尿病があると心筋梗塞や心不全のリスクが上がるため、早い段階から心臓を守る治療が重要とされています。


福本医院からのメッセージ

糖尿病の治療は「血糖を下げる」だけではなく、「生活習慣の見直し」「合併症の予防」「個別に合った薬の選び方」など、トータルで考える時代になっています。

当院では、最新のガイドラインを参考にしながら、患者さん一人ひとりに合った診療を行っています。

 

糖尿病の運動療法として屋外をウォーキングしている女性

ウォーキングなどの軽い運動も、糖尿病の予防と管理に効果的です。


ご相談ください

  • 健康診断で血糖値が高かった方

  • 糖尿病と診断されたが治療に迷っている方

  • 今の治療で本当にいいのか不安な方

お気軽にご相談ください。


📚 参考文献一覧(糖尿病 最新ガイドライン 2024–2025)

🇯🇵 日本のガイドライン・資料

  1. 日本糖尿病学会 編.

    『糖尿病診療ガイドライン 2024』

    発行:南江堂、2024年6月3日

    ISBN:978-4-524-26272-5

    https://www.nankodo.co.jp/g/g262725/

  2. 日本糖尿病学会 編.

    『糖尿病治療ガイド 2024』

    発行:文光堂、2024年5月

    ISBN:978-4-8306-5724-9

    https://www.bunkodo.co.jp/book/detail_158404.html

  3. 日本歯周病学会 編.

    『歯周治療ガイドライン 第3版』

    発行:医歯薬出版、2023年3月

    ISBN:978-4-263-45755-0

    https://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.aspx?cid=45755


🇺🇸 アメリカ糖尿病学会(ADA)

  1. American Diabetes Association.

    Standards of Care in Diabetes—2025.

    Diabetes Care. 2024;47(Suppl. 1):S1–S186.

    DOI: 10.2337/dc24-S001

    https://diabetesjournals.org/care/issue/47/Supplement_1

  2. Davies MJ, Aroda VR, Collins BS, et al.

    Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2022. A Consensus Report by ADA and EASD.

    Diabetes Care. 2022;45(11):2753–2786.

    DOI: 10.2337/dci22-0034


🇪🇺 欧州心臓病学会(ESC)

  1. Cosentino F, Grant PJ, Aboyans V, et al.

    2023 ESC Guidelines on diabetes, pre-diabetes and cardiovascular diseases developed in collaboration with the EASD.

    Eur Heart J. 2023;44(33):2807–2926.

    DOI: 10.1093/eurheartj/ehad376

    https://academic.oup.com/eurheartj/article/44/33/2807/7283027