突然ドキドキ…それって「発作性上室性頻拍(PSVT)」かも?
こんにちは。心斎橋の福本医院です。
今回は、突然「ドキドキ」と強い動悸が始まり、数分〜数時間続いて、ふっと治る――そんな症状を引き起こす「発作性上室性頻拍(PSVT)」についてお話します。
◆ PSVTってどんな病気?
PSVTは、「パロキシズマル・スープラベンチュラル・タキカーディア」の略で、心臓の上のほう(心房や房室接合部)で起きる不整脈のひとつです。
心臓の電気信号がグルグルと異常に回ることで、心拍が急に速くなります。
✅ 主な症状は…
強い動悸(心臓がバクバクする感じ)
胸の違和感や苦しさ
めまい、ふらつき
まれに意識がぼんやりすることも…
実際に、当院にも「突然胸がドキドキしてしゃがみこんでしまった」という若い女性が来院された例がありました。
◆ 原因は?
多くの場合、生まれつき、“電気の通り道”が多く存在していることが原因です。
過労、ストレス、カフェインやアルコールなども引き金になることがあります。
◆ 治療はどうするの?
PSVTの治療には、大きく2つの選択肢があります。
① 薬による治療
発作時には心拍を抑えるお薬を使ったり、心拍を整える薬で再発を予防します。
最近では海外で「エトリパミル」という鼻にシュッとする新しいお薬も登場しています。
患者さん自身が、発作が起きた時に自宅などで自己投与できるのが特徴です。
※現在、日本では未承認です。当院では「ベラパミル」という内服薬を頓服として処方します。
② カテーテルアブレーション(根治療法)
心臓の中の“余分な電気の通り道”を焼き切る治療です。
1泊〜2泊の入院で済むことが多く、成功率も高く、再発もしにくいのが特徴です。
✔ 日本循環器学会のガイドラインでも、頻繁な発作やQOL(生活の質)を下げている場合には、この治療が推奨されています。
◆ 放っておいて大丈夫?
PSVTは命にかかわることは少ないですが、生活の質を下げたり、発作時に転倒してケガをするリスクもあります。
また、稀に心房細動など他の不整脈につながることもあるため、専門医による診断・治療が大切です。
◆ 当院でできること
福本医院では、心電図・ホルター心電図(24時間×5日間心電図)などで診断を行い、
必要に応じて専門医によるカテーテル治療もご案内可能です。
「動悸が気になる」「ふいにドキッとすることがある」という方は、お気軽にご相談くださいね。
💬 まとめ
PSVTは突然始まり、突然治まる不整脈
強い動悸やめまいを感じたら要注意
薬物療法もカテーテル治療も選べます
専門医と一緒に、安心できる治療法を選びましょう
📍心斎橋駅すぐの福本医院では、循環器専門医による診療を行っています。
オンライン予約も可能ですので、お気軽にご相談ください!
🔖 参考文献
Calkins H, et al.
2017 HRS/EHRA/ECAS/APHRS/SOLAECE Expert Consensus Statement on Catheter and Surgical Ablation of Atrial Fibrillation
Heart Rhythm. 2017;14(10):e275–e444.
DOI: 10.1016/j.hrthm.2017.05.012
▶ PSVTも含む心房頻拍・アブレーション治療に関する国際的コンセンサスステートメント。
Stambler BS, et al.
Intranasal Etripamil for Acute Termination of Paroxysmal Supraventricular Tachycardia (NODE-301 Study)
Journal of the American College of Cardiology (JACC). 2023;81(1):10–20.
PMID: 36441560
▶ 自己投与型の鼻腔内薬エトリパミルの有効性と安全性を示した国際多施設ランダム化比較試験。
Josephson ME.
Josephson’s Clinical Cardiac Electrophysiology: Techniques and Interpretations. 5th ed.
Wolters Kluwer; 2015. ISBN: 978-1451187416
▶ PSVTを含む心電生理学的メカニズムとアブレーション治療の定番教科書。
日本循環器学会/日本不整脈心電学会(2018)
不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp
▶ PSVTに対するカテーテルアブレーションの適応や手技に関する国内ガイドライン。
Milestone Pharmaceuticals Inc.
Clinical Development of Etripamil for PSVT – Regulatory and Trial Summary
https://www.milestonepharma.com
▶ エトリパミルに関する国際的な臨床試験(NODEシリーズ)のまとめ。FDAの対応なども含む。
📌 ご注意
※これらの文献は、PSVTの診断・治療に関する医療者向けまたは一般向けの情報です。臨床的判断や個別の治療方針は、必ず医師の診察のもとで行ってください。