こんにちは。心斎橋の福本医院です。

今日は、当院の公式キャラクター「いのねえ」と「いのぱぱ」が、楽しそうに(?)食事をしている様子を見ながら、お酒のカロリーについてお話ししようと思います。

居酒屋でワインとピザを楽しむ「いのねえ」と、日本酒と唐揚げ、大盛りご飯を食べる「いのぱぱ」。お酒と高カロリーな食事で少しお腹がぽっこり出ている福本医院の公式キャラクターのイラスト。

ワインにピザ、日本酒に唐揚げと大盛りご飯!美味しくお酒を楽しむ「いのねえ」と「いのぱぱ」ですが、カロリーと肝臓への負担が少し心配ですね。(福本医院公式キャラクター)

 

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診察室で患者さんとお話ししていると、よくこんな声を耳にします。

「先生、アルコールのカロリーって、すぐに熱になって飛んじゃうから、お酒だけなら太らないんでしょ?」

確かに「エンプティカロリー」なんて言葉の響きから、そう信じたくなる気持ちはよく分かります。でも、実はここには医学的な落とし穴があるんです。

■「エンプティ」はゼロという意味じゃない?

まず知っておいていただきたいのが、エンプティカロリーの本当の意味です。これは「カロリーがゼロ」なのではなく、「体に必要なビタミンやミネラルが空っぽ(エンプティ)」という意味なんです。

実際、アルコールは1gあたり約7kcalもあります。糖質やタンパク質(約4kcal)より高く、脂質(約9kcal)に近い、立派なエネルギー源なんですよ。

■ お酒の種類でこんなに違う!カロリー・糖質比較

では、いのねえが飲んでいる「ワイン」と、いのぱぱが楽しんでいる「日本酒」では、どのくらい違いがあるのでしょうか。500ml(ロング缶1本分)に換算して比較してみましょう。

飲み物の種類 (500ml換算) およそのカロリー 糖質 特徴・メモ
ビール (5%) 約200 kcal 約15 g カロリーは意外と低いが、糖質あり
5%焼酎(水割り等) 約205〜215 kcal 0 g 蒸留酒なので糖質はゼロ
5%ハイボール 約240 kcal 0 g ウイスキー由来。糖質制限には◎
ワイン(赤・白) 約365〜400 kcal 約7.5〜10 g アルコールと果実の糖分が含まれる
日本酒(純米酒) 約515 kcal 約18〜20 g カロリー・糖質ともに横綱級!

ご覧の通り、日本酒500mlを飲むと、ご飯茶碗2杯分以上のエネルギーを摂ることになります。これにいのぱぱのように「大盛りご飯と唐揚げ」を合わせると、肝臓への負担はかなりのものになってしまいます……。

■ なぜ「お酒は太る」と言われるのか?

体にとってアルコールは、一刻も早く分解して外に出したい成分です。そのため、肝臓は他の仕事(食事の脂肪や糖の処理)をすべて後回しにして、アルコールの分解を最優先します。

すると、行き場を失った脂肪や糖は、そのまま「体脂肪」として肝臓や体に蓄えられてしまいます。これが、お酒そのもののカロリー以上に太りやすくなる本当の理由なんです。

■ 脂肪肝は「沈黙の臓器」のSOS

こうして肝臓に脂肪が溜まった状態が「脂肪肝」です。

最近の医学界では、単なる飲み過ぎだけでなく、肥満や糖尿病などの代謝異常が重なるケースを重視して、MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)という新しい呼び方で、より手厚いケアが推奨されるようになっています。

■ 医療の力でサポートできること

「もうお酒も美味しいものも全部我慢しなきゃいけないの?」と悲観する必要はありません。もちろん節制は大切ですが、最近は新しい治療の選択肢も増えています。

例えば、SGLT2阻害薬(糖を尿から出す薬)や、GLP-1受容体作動薬(セマグルチドなど)といったお薬が、肝臓の脂肪を減らし、炎症を抑える効果があることが、世界的な研究(下記、参考文献をご参照ください)で明らかになってきました。

■ 最後に

お酒は人生の楽しみの一つです。いのねえやいのぱぱのように、美味しく、楽しく付き合っていきたいものですよね。

「最近お腹が出てきたかな?」「健診の数値が少し気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。心斎橋の街で、皆様の健やかな毎日を医学の力でしっかりサポートさせていただきます。

中性脂肪が高いとどうなる?食前・食後の違い・原因・下げ方・脂肪肝とアルコールの関係を医師が解説|心斎橋 福本医院

【参考文献】

1. アルコール摂取と体重増加に関するシステマティックレビュー

アルコール(エンプティカロリー)が実際の体重増加にどう影響するのかを網羅的に解析した信頼性の高いレビュー論文です。

2. アルコール性肝疾患の病態生理とメカニズム

アルコールが肝臓でどのように代謝され、酸化ストレスや脂肪蓄積(脂肪肝)を引き起こすのかを詳細に解説したレビュー論文です。

  • 論文名: Pathogenesis of Alcohol-Associated Liver Disease

  • 著者: Osna NA, et al.

  • 掲載誌: Journal of Clinical and Experimental Hepatology (2022)

  • DOI: 10.1016/j.jceh.2022.05.004

  • リンク: https://doi.org/10.1016/j.jceh.2022.05.004

3. 脂肪性肝疾患の新しい国際的定義(NAFLDからMASLDへ)

「非アルコール性」という除外診断から、代謝異常を重視した「MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)」への呼称変更を決定した、世界の複数学会による重要なコンセンサス論文です。

  • 論文名: A multisociety Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature

  • 著者: Rinella ME, et al.

  • 掲載誌: Hepatology (2023)

  • DOI: 10.1097/HEP.0000000000000520

  • リンク: https://doi.org/10.1097/HEP.0000000000000520

4. 脂肪肝炎(NASH)に対するセマグルチドの有効性(第2相試験)

GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドが、NASH(現在のMASH)の症状をプラセボと比較して有意に改善したことを示した、非常に有名な『NEJM』誌のランドマーク・トライアルです。

  • 論文名: A Placebo-Controlled Trial of Subcutaneous Semaglutide in Nonalcoholic Steatohepatitis

  • 著者: Newsome PN, et al.

  • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (2021)

  • DOI: 10.1056/NEJMoa2028395

  • リンク: https://doi.org/10.1056/NEJMoa2028395

5. 脂肪肝炎に対するリラグルチドの安全性と有効性(LEAN試験)

セマグルチドの先行研究として、同じGLP-1受容体作動薬のリラグルチドが脂肪肝の組織学的改善をもたらすことを証明し、その後の研究の道筋を作った『The Lancet』誌の重要論文です。

  • 論文名: Liraglutide safety and efficacy in patients with non-alcoholic steatohepatitis (LEAN): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled phase 2 study

  • 著者: Armstrong MJ, et al.

  • 掲載誌: The Lancet (2016)

  • DOI: 10.1016/S0140-6736(15)00803-X

  • リンク: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(15)00803-X

6. 脂肪肝管理におけるSGLT2阻害薬の役割

糖尿病に合併する脂肪肝において、SGLT2阻害薬が肝臓の脂肪蓄積やトランスアミナーゼをどのように低下させるか、そのメカニズムと臨床的意義をまとめた論文です。

  • 論文名: Role of sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors in the management of nonalcoholic fatty liver disease

  • 著者: Kontana A, Tziomalos K.

  • 掲載誌: World Journal of Gastroenterology (2019)

  • DOI: 10.3748/wjg.v25.i28.3664

  • リンク: https://doi.org/10.3748/wjg.v25.i28.3664

7. 糖尿病を合併した脂肪肝に対するSGLT2阻害薬のインパクト

脂質新生(de novo lipogenesis)の抑制や炎症の軽減など、SGLT2阻害薬が肝細胞を保護する生化学的な機序に焦点を当てた包括的なレビューです。

  • 論文名: Impact of Sodium Glucose Cotransporter 2 Inhibitors on Nonalcoholic Fatty Liver Disease Complicated by Diabetes Mellitus

  • 著者: Zhang E, et al.

  • 掲載誌: Hepatology Communications (2021)

  • DOI: 10.1002/hep4.1611

  • リンク: https://doi.org/10.1002/hep4.1611

 

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この記事の監修

福本医院

院長 福本 淳

内科・循環器内科

医学博士

循環器専門医(登録番号15490)