突然の動悸はPSVT?原因・症状・対処法・アブレーションまで循環器専門医が解説|心斎橋の循環器内科
「急に心臓がドキドキして止まらない」
「これって大丈夫?」
その動悸、放置してよいものと注意が必要なものがあります。

突然の強い動悸や息苦しさでしゃがみ込んでしまうことがあります。これはPSVT(発作性上室性頻拍)の典型的な症状のひとつです。
■ 導入
外来でよくあるご相談です。
「急に心臓がドキドキして止まらないんです」
「しばらくしたら何事もなかったように治るんですが、大丈夫でしょうか?」
このような症状の場合、発作性上室性頻拍(PSVT)が疑われます。
実際、数分から数時間続いて、急に止まる動悸はとても典型的です。
■ 結論(先にお伝えします)
PSVTは多くの場合、命に関わる不整脈ではありません。
ただし、繰り返す場合や症状が強い場合は、治療の対象になります。
現在はカテーテルアブレーションによって、根本的に治せるケースが多い不整脈です。
■ PSVTとは
PSVT(発作性上室性頻拍)は、心臓の上の部分(心房や房室結節)で起こる不整脈です。
特徴はとてもシンプルで、
・突然始まる
・突然止まる
・脈が速く、しかも規則的
この3つがそろうと、かなり疑わしくなります。
心拍数は150〜200回/分程度になることが多いです。

正常な洞調律(約60回/分)から、突然PSVT(約180回/分)の規則正しい頻拍へ移行する典型的な心電図です。

■ 症状
よく見られるのは以下のような症状です。
・強い動悸
・胸の違和感
・めまい
・息苦しさ
重症の場合は失神することもありますが、頻度は高くありません。
なお、若い方、特に女性で見られることも少なくありません。
■ 原因について
PSVTの多くは、「リエントリー」と呼ばれる現象で起こります。
本来、心臓の電気は一方向に流れますが、
何らかの回路ができることで、電気がぐるぐる回り続けてしまう状態です。
患者さんにはよく、
「心臓の中で電気がループしている状態です」
と説明しています。

心臓は洞結節から始まる電気信号によって規則正しく拍動しています。これが正常なリズム(洞調律)です。

通常の伝導路に加えて存在する「副伝導路」(緑の線)が、PSVTの原因となります。

副伝導路と正常伝導路の間で電気がぐるぐる回る「リエントリー」により、突然の頻脈(PSVT)が起こります。
■ タイプ
代表的なものは以下の2つです。
・AVNRT(房室結節内リエントリー)
・AVRT(副伝導路:WPW症候群など)
いずれも構造的な要素が関係しており、体質に近い部分もあります。
■ 他の病気との違い
動悸といっても原因はいくつかあります。
例えば、
・心房細動 → 脈がバラバラ
・不安発作 → 徐々に始まる
一方、PSVTは
「急に始まって、規則正しく速い」のが特徴です。
ここは診断のヒントになります。
■ セルフチェック
外来でもよく聞くポイントですが、
・突然始まる
・リズムが一定
・しばらくすると自然に止まる
これらが当てはまる場合は、PSVTの可能性があります。
■ 受診の目安(重要です)
以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。
・初めての発作
・30分以上続く
・胸痛を伴う
・意識が遠のく感じがある
・心臓の持病がある
PSVT以外の不整脈が隠れていることもあるためです。
■ 発作時の対処法
発作が起きた際には、
・息こらえ(バルサルバ法)
・冷たい水で顔を冷やす
などで止まることがあります。
ただし、改善しない場合は無理せず受診してください。
■ 治療について
・薬物療法
発作時には医療機関でアデノシンなどを使用します。
内服薬で予防することもあります。
・カテーテルアブレーション
現在の標準治療です。
異常な電気回路を焼灼することで、
PSVTそのものを起こらなくする治療です。
成功率は非常に高く、
多くの方で再発を防ぐことができます。

異常な電気の通り道(副伝導路)を焼灼し、リエントリー回路を断つことでPSVTは根本的に治療できます。
■ 放置していいのか
命に直結するケースは多くありませんが、
・発作の不安
・生活への支障
・転倒や失神のリスク
を考えると、症状がある場合は一度評価しておく方が安心です。
■ 当院での対応
当院では、
・心電図
・ホルター心電図(長時間記録 最長7日間)
・循環器専門医による診察
を行っています。
必要に応じて、アブレーションが可能な専門施設へご紹介しています。
■ まとめ
突然始まって、急に止まる動悸。
この特徴がある場合は、PSVTの可能性があります。
「そのうち治るから大丈夫」と思われがちですが、
きちんと診断をつけておくと安心です。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
FAQ
❓ PSVTは自然に治りますか?
多くの場合、発作は自然に止まりますが、再発を繰り返すことが多く、根本的な治療にはなりません。頻度が多い場合は治療が推奨されます。
❓ PSVTは危険な病気ですか?
命に関わることは少ないですが、めまいや失神、転倒などのリスクがあります。生活の質(QOL)を大きく下げるため、適切な治療が重要です。
❓ なぜ突然起こるのですか?
心臓の電気信号が異常な回路(リエントリー)を形成し、ループすることで突然発症します。
❓ 若い人でも起こりますか?
はい。PSVTは比較的若い方、特に女性にも多く見られる不整脈です。
❓ ストレスやカフェインは関係ありますか?
はい。過労、ストレス、カフェイン、アルコールなどが発作の誘因になることがあります。
❓ 動悸が急に始まって急に止まるのは何ですか?
PSVTの典型です
❓ 発作が起きた時はどうすればいいですか?
息こらえ(バルサルバ法)などの迷走神経刺激で止まることがあります。改善しない場合は医療機関を受診してください。
❓ 薬で治りますか?
薬は発作を止めたり予防することはできますが、根治は難しいことが多いです。
❓ カテーテルアブレーションとは何ですか?
心臓内の異常な電気回路を焼灼して、PSVTを根本的に治す治療です。
❓ アブレーションは危険ですか?
合併症はまれで、成功率は95%以上と非常に高い安全な治療です。
❓ 入院は必要ですか?
多くの場合、1〜2日程度の短期入院で行われます。
❓ 放置しても大丈夫ですか?
頻度が少なければ経過観察も可能ですが、症状がある場合は受診をおすすめします。
❓ どんな検査をしますか?
心電図、ホルター心電図(長時間記録)などで診断します。
📚 参考文献
① 最重要ガイドライン(世界標準)
2015 ACC/AHA/HRS ガイドライン
👉 2015 SVTガイドライン原文(Circulation)
-
DOI:10.1161/CIR.0000000000000311
-
PubMed:PubMed掲載ページ
✔ 内容
-
PSVT診療の世界標準
-
薬物療法・アブレーションの適応
-
クラス分類(Class Iなど)
👉 最も引用価値が高い文献です
② AVNRT(PSVTの中心病態レビュー)
Katritsis DG, et al. Circulation 2010
👉 DOIリンク
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.109.921684
✔ 内容
-
リエントリー機序の核心
-
dual pathway理論
👉 原因説明パートに最適
③ アブレーションの原点論文(NEJM)
Jackman WM, et al. 1992
👉 DOIリンク
https://doi.org/10.1056/NEJM199207023270103
✔ 内容
-
RFアブレーションの初期成功報告
-
PSVTが「治る病気」になった論文
④ 疫学(若い女性に多い根拠)
Orejarena LA, et al. JACC 1998
👉 DOIリンク
https://doi.org/10.1016/S0735-1097(98)00370-0
✔ 内容
-
発症率:35/100,000人/年
-
女性に多い
⑤ 最新治療(エトリパミル)
NODE-301試験(JACC 2023)
👉 DOIリンク
https://doi.org/10.1016/j.jacc.2022.10.028
✔ 内容
-
点鼻薬でPSVT停止
-
多施設RCT
📊 補足:アブレーションのエビデンス
-
-
成功率
👉 95〜99%(AVNRT/AVRT)
-
合併症
👉 1〜2%未満
-
再発率
👉 数%程度
-
PSVT(発作性上室性頻拍)は、心臓の電気信号が異常な回路を形成することで突然発症する頻拍性不整脈であり、カテーテルアブレーションにより高い確率で根治可能です
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この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
神戸大学医学部医学科 平成9年卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)
外来では「もっと早く来ればよかった」と言われることが多い不整脈です。
迷ったら、一度ご相談ください。


























