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「まだ大丈夫だろう」と、そのままにしていませんか?

実は、コレステロールや中性脂肪の異常は、

自覚症状がないまま進み、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞として現れることがあります。

👉 少しでも気になる方は、早めの確認をおすすめします


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ふくぼ先生とリリー看護師が「早めに受診しましょうね」と呼びかけるイラスト ⸻

健診で異常を指摘されたら、迷わず早めに受診を。ふくぼ先生とリリー看護師がやさしくサポートします。


最終更新日 2026/10/6

この記事のポイント

  • 中性脂肪の基準値は空腹時150mg/dL未満です。食後は一時的に上がるため、採血のタイミングで見方が変わります
  • 200〜300mg/dL台は、食事・運動の見直しとあわせて、LDLコレステロールや血圧などほかの危険因子を確かめる段階です
  • 500mg/dLを超えると急性膵炎のリスクが上がるため、早めの受診をおすすめします
  • LDLコレステロール140mg/dL以上は、ほかの危険因子との組み合わせで治療開始の目安が変わります
  • 健診で指摘された方の再検査は、保険診療で受けられます

コレステロールと中性脂肪の違い

どちらも「脂(あぶら)」ですが、役割はまったく異なります。

■ コレステロール(体の材料)

コレステロールは、体にとって必要な成分です。

細胞膜・ホルモン・胆汁酸などの材料になります。

  • LDL(悪玉)コレステロール

     → 肝臓から全身へ運ぶ

     → 多すぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進める

  • HDL(善玉)コレステロール

     → 余分なコレステロールを回収

     → 動脈硬化を防ぐ働き

LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの働きをトラックの配送と回収に見立てて解説し、プラーク形成による動脈硬化の進行メカニズムを示した図解イラスト

【図解】LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの役割と、血管内でのプラーク形成・動脈硬化への影響

 

■ 中性脂肪(トリグリセリド:エネルギー源)

中性脂肪は、余ったエネルギーの貯蔵庫です。

ただし増えすぎると、

  • HDL(善玉)が減る

  • LDLが小型化(small dense LDL)

    → 血管に入り込みやすくなる

👉 動脈硬化を一気に進める原因になります

食事から摂取した脂質が小腸で吸収され、肝臓で中性脂肪とコレステロールに合成された後、エネルギー貯蔵や細胞膜の構成、ホルモン合成など、それぞれの役割を果たすまでの代謝経路を示した図解。

食事から摂取した脂質が消化・吸収を経て、中性脂肪(エネルギーの貯蔵と供給)とコレステロール(細胞膜や各種ホルモンの材料)として体内で働くまでの流れ。

脂質異常症とは?

血液中の脂質バランスが崩れた状態を指します。

項目

基準値(mg/dL)

異常の目安

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

<140

高いと動脈硬化のリスクが高まります。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

≧40

低いと動脈硬化のリスクが高まります。

中性脂肪(トリグリセリド)

<150

高いと動脈硬化や脂質異常症のリスクとなります。

※日本動脈硬化学会(JAS)2023年版ガイドライン

放置するとどうなる?

脂質異常症の怖いところは、症状が出ないことです。

しかし体の中では、確実に変化が進んでいます。

  • 心筋梗塞

  • 狭心症

  • 脳梗塞

  • 突然死

👉 「症状がない=安全」ではありません

 

中性脂肪は食前と食後で変わります

中性脂肪(トリグリセリド)は食事の影響を強く受けます。食後は小腸からカイロミクロン、肝臓からVLDLが増えるため、必ず一時的に上昇します。

従来は空腹時の採血が基本でしたが、近年は食後の中性脂肪も心血管リスクと関連することが報告されており、食後の値も参考にします。

目安となる値

  • 空腹時:150 mg/dL未満

  • 随時(食後):175 mg/dL未満

なお中性脂肪が500 mg/dLを超えると急性膵炎のリスクが上がり、1000 mg/dL以上では非常に高リスクとなります。この場合は動脈硬化とは別に、膵炎を防ぐための治療が必要になります。

 

中性脂肪の数値の目安(150・200・300・500以上)

健診の結果票で中性脂肪が高いと言われたときの、数値ごとの目安です。空腹時の採血を前提にしています(食後に採血した場合は高めに出ます)。

  • 150mg/dL未満:基準範囲内です
  • 150〜199mg/dL:基準より高めです。糖質やお酒、脂っこい食事のとりすぎがないか、運動不足がないかを見直しましょう
  • 200〜499mg/dL:生活習慣の見直しが基本です。LDLコレステロール、血圧、血糖などほかの危険因子が重なる場合は、薬を検討することがあります
  • 500mg/dL以上:急性膵炎のリスクが上がります。早めに受診してください
  • 1000mg/dL以上:膵炎の危険が非常に高い状態です。できるだけ早く受診してください

当院では、健診で異常を指摘された方の再検査を保険診療で行っています。結果票をお持ちください。中性脂肪とお酒の関係は「お酒は太る?アルコールのカロリーと脂肪肝の関係」でも解説しています。

LDLコレステロールを下げるお薬

生活習慣の改善で目標に届かない場合は、薬物療法を検討します。

  • スタチン:LDLコレステロールを下げる基本のお薬です。

  • エゼチミブ:腸からのコレステロール吸収を抑えます。スタチンと併用することもあります。

  • PCSK9阻害薬:注射のお薬で、LDLコレステロールを大幅に下げられます。家族性高コレステロール血症の方や、すでに心筋梗塞を起こしていて目標に届かない方などに検討します。

このほか、中性脂肪やリポ蛋白(a)を標的とする新しい薬剤も登場しています。

 

治療開始の目安

治療は「数値だけ」で決めるものではなく、

全体のリスクを見て判断します。

■ 一次予防(病気の既往なし)

  • LDLコレステロール 160mg/dL以上

    → 生活改善で下がらなければ薬を検討

■ 二次予防(心筋梗塞・狭心症あり)

  • LDL 100mg/dL未満が目標

※糖尿病・腎臓病がある場合はさらに厳格

■ 中性脂肪が高い場合

  • 200mg/dL以上

👉 食事・運動が基本

👉 必要に応じて薬(フィブラート・EPA)

⚠️ この段階で受診をおすすめします

  • 健診で異常を指摘された

  • 数値が年々上がっている

  • 家族に心筋梗塞の人がいる

👉 放置せず、一度ご相談ください

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よくある質問(FAQ)

Q. コレステロールが高いとすぐ薬ですか?

A. すぐに薬になるわけではありません。まずは生活習慣の見直しが基本です。

Q. 中性脂肪だけ高いのは大丈夫?

A. 放置は危険です。動脈硬化を進める要因になります。

Q. 食事だけで改善できますか?

A. 軽度なら可能ですが、リスクが高い場合は薬が必要になることもあります。

Q. 痩せれば治りますか?

A. 改善することは多いですが、遺伝の影響もあるため個別判断が必要です。

Q. 自覚症状はありますか?

A. ほとんどありません。だからこそ健診が重要です。

Q. 糖質やアルコールは、中性脂肪やコレステロールに影響しますか?

A. 糖質もアルコールも「中性脂肪を増やす主因」であり、糖質はコレステロール合成も促進します。 アルコールは直接的な合成促進よりも、肝臓の代謝障害によってコレステロールの処理を乱すタイプです。

栄養素

中性脂肪への影響

コレステロールへの影響

糖質

強く増加させる(脂肪酸合成を促進)

合成を促進する(アセチルCoAを介する)

アルコール

強く増加させる(脂肪酸の酸化を抑制)

間接的に脂質代謝のバランスを乱す

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治療を支える世界的エビデンス(一次情報)

脂質異常症治療の有効性は、以下の大規模試験で証明されています。

1. 4S (Scandinavian Simvastatin Survival Study)

  • 概要: 冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)の既往がある患者に対し、コレステロールを下げる薬「スタチン(シンバスタチン)」を投与することで、全死亡率と心血管イベントを劇的に減少させることを初めて証明した歴史的な試験です。

  • 論文名: Randomised trial of cholesterol lowering in 4444 patients with coronary heart disease: the Scandinavian Simvastatin Survival Study (4S)

  • 掲載誌: The Lancet (1994年)

  • DOI: 10.1016/S0140-6736(94)90566-5

  • リンク: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(94)90566-5

2. WOSCOPS (West of Scotland Coronary Prevention Study)

  • 概要: 心筋梗塞の既往がない「高コレステロール血症」の男性に対してスタチン(プラバスタチン)を投与した結果、初めての心筋梗塞の発症や心血管死を有意に予防できること(一次予防効果)を明確に実証した研究です。

  • 論文名: Prevention of coronary heart disease with pravastatin in men with hypercholesterolemia

  • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (1995年)

  • DOI: 10.1056/NEJM199511163332001

  • リンク: https://doi.org/10.1056/NEJM199511163332001

3. HPS (Heart Protection Study)

  • 概要: 2万人以上のハイリスク患者を対象に行われた大規模試験です。コレステロール値が「正常範囲」とされていた患者であっても、スタチンを服用してさらにLDLコレステロールを下げることで、心血管リスクが確実に低下することが判明しました。

  • 論文名: MRC/BHF Heart Protection Study of cholesterol lowering with simvastatin in 20,536 high-risk individuals: a randomised placebo-controlled trial

  • 掲載誌: The Lancet (2002年)

  • DOI: 10.1016/S0140-6736(02)09327-3

  • リンク: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(02)09327-3

4. JUPITER Trial

  • 概要: LDLコレステロール値は高くないものの、体内の炎症反応マーカー(hs-CRP)が高い健康な人々に対してスタチン(ロスバスタチン)を投与したところ、心血管イベントの大幅な抑制が認められた画期的な試験です。

  • 論文名: Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein

  • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (2008年)

  • DOI: 10.1056/NEJMoa0807646

  • リンク: https://doi.org/10.1056/NEJMoa0807646

5. IMPROVE-IT Trial

  • 概要: 急性冠症候群を起こした患者に対して、スタチン単独よりも、小腸でのコレステロール吸収を抑える薬(エゼチミブ)を併用してLDLコレステロールを極限まで低くコントロールした方が心血管イベントを強力に予防できることを証明し、「LDLは低ければ低いほど良い (Lower is better)」という現代の治療概念を裏付けました。

  • 論文名: Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes

  • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (2015年)

  • DOI: 10.1056/NEJMoa1410489

  • リンク: https://doi.org/10.1056/NEJMoa1410489

 

まとめ

脂質異常症の治療は、

「数値を下げること」ではなく、「将来の病気を防ぐこと」です。

同じ数値でも、

  • 年齢

  • 血圧

  • 糖尿病

  • 喫煙歴

によって最適な治療は変わります。

 

最後に

「まだ大丈夫」と思っている今が、実は一番大切なタイミングです。

気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

福本医院では、最新の医学的根拠に基づき、

一人ひとりに合わせた管理方法をご提案しています。

 

心斎橋駅近くで受診可能

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福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。
大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

この記事の監修

福本医院

院長 福本 淳

内科・循環器内科

平成9年 神戸大学医学部医学科卒

医学博士

循環器専門医(登録番号15490)

経歴について、詳しくはこちら

当院について

 

 

院長の著書

『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)の表紙

ダイエット論 ── 体重の行き先は、一つの式でわかる
福本医院ライブラリー 第2巻

食事を減らしているのに途中から減らなくなる。痩せたのに元に戻ってしまう。この二つを、意志の強さではなく仕組みとして説明した本です。体重は生活習慣と年齢と性別で決まります。その関係を、四則演算だけの一本の式にまとめました。サウナや筋トレで代謝は上がるのかといった、診察室でよく受ける質問にも順に答えています。

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