【健康診断でコレステロール・中性脂肪が高い方へ】違い・基準値・治療の目安を循環器専門医が解説|心斎橋 福本医院
「まだ大丈夫だろう」と、そのままにしていませんか?
実は、コレステロールや中性脂肪の異常は、
自覚症状がないまま進み、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞として現れることがあります。
👉 少しでも気になる方は、早めの確認をおすすめします

健診で異常を指摘されたら、迷わず早めに受診を。ふくぼ先生とリリー看護師がやさしくサポートします。
コレステロールと中性脂肪の違い
どちらも「脂(あぶら)」ですが、役割はまったく異なります。
■ コレステロール(体の材料)
コレステロールは、体にとって必要な成分です。
細胞膜・ホルモン・胆汁酸などの材料になります。
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LDL(悪玉)コレステロール
→ 肝臓から全身へ運ぶ
→ 多すぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進める
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HDL(善玉)コレステロール
→ 余分なコレステロールを回収
→ 動脈硬化を防ぐ働き

【図解】LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの役割と、血管内でのプラーク形成・動脈硬化への影響
■ 中性脂肪(トリグリセリド:エネルギー源)
中性脂肪は、余ったエネルギーの貯蔵庫です。
ただし増えすぎると、
-
HDL(善玉)が減る
-
LDLが小型化(small dense LDL)
→ 血管に入り込みやすくなる
👉 動脈硬化を一気に進める原因になります

食事から摂取した脂質が消化・吸収を経て、中性脂肪(エネルギーの貯蔵と供給)とコレステロール(細胞膜や各種ホルモンの材料)として体内で働くまでの流れ。
脂質異常症とは?
血液中の脂質バランスが崩れた状態を指します。
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項目 |
基準値(mg/dL) |
異常の目安 |
|---|---|---|
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LDLコレステロール |
<140 |
高いと動脈硬化リスク |
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HDLコレステロール |
≧40 |
低いとリスク |
|
中性脂肪 |
<150 |
高いとリスク |
※日本動脈硬化学会(JAS)2023年版ガイドライン
放置するとどうなる?
脂質異常症の怖いところは、症状が出ないことです。
しかし体の中では、確実に変化が進んでいます。
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心筋梗塞
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狭心症
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脳梗塞
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突然死
👉 「症状がない=安全」ではありません
治療開始の目安
治療は「数値だけ」で決めるものではなく、
全体のリスクを見て判断します。
■ 一次予防(病気の既往なし)
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LDLコレステロール 160mg/dL以上
→ 生活改善で下がらなければ薬を検討
■ 二次予防(心筋梗塞・狭心症あり)
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LDL 100mg/dL未満が目標
※糖尿病・腎臓病がある場合はさらに厳格
■ 中性脂肪が高い場合
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200mg/dL以上
👉 食事・運動が基本
👉 必要に応じて薬(フィブラート・EPA)
⚠️ この段階で受診をおすすめします
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健診で異常を指摘された
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数値が年々上がっている
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家族に心筋梗塞の人がいる
👉 放置せず、一度ご相談ください
よくある質問(FAQ)
Q. コレステロールが高いとすぐ薬ですか?
A. すぐに薬になるわけではありません。まずは生活習慣の見直しが基本です。
Q. 中性脂肪だけ高いのは大丈夫?
A. 放置は危険です。動脈硬化を進める要因になります。
Q. 食事だけで改善できますか?
A. 軽度なら可能ですが、リスクが高い場合は薬が必要になることもあります。
Q. 痩せれば治りますか?
A. 改善することは多いですが、遺伝の影響もあるため個別判断が必要です。
Q. 自覚症状はありますか?
A. ほとんどありません。だからこそ健診が重要です。
Q. 糖質やアルコールは、中性脂肪やコレステロールに影響しますか?
A. 糖質もアルコールも「中性脂肪を増やす主因」であり、糖質はコレステロール合成も促進します。 アルコールは直接的な合成促進よりも、肝臓の代謝障害によってコレステロールの処理を乱すタイプです。
| 栄養素 | 中性脂肪への影響 | コレステロールへの影響 |
|---|---|---|
| 糖質 | 強く促進(脂肪酸合成経路) | 合成促進(アセチルCoA経由) |
| アルコール | 強く促進(脂肪酸酸化抑制) | 間接的に代謝バランスを崩す |
治療を支える世界的エビデンス(一次情報)
脂質異常症治療の有効性は、以下の大規模試験で証明されています。
1. 4S (Scandinavian Simvastatin Survival Study)
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概要: 冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)の既往がある患者に対し、コレステロールを下げる薬「スタチン(シンバスタチン)」を投与することで、全死亡率と心血管イベントを劇的に減少させることを初めて証明した歴史的な試験です。
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論文名: Randomised trial of cholesterol lowering in 4444 patients with coronary heart disease: the Scandinavian Simvastatin Survival Study (4S)
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掲載誌: The Lancet (1994年)
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DOI: 10.1016/S0140-6736(94)90566-5
2. WOSCOPS (West of Scotland Coronary Prevention Study)
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概要: 心筋梗塞の既往がない「高コレステロール血症」の男性に対してスタチン(プラバスタチン)を投与した結果、初めての心筋梗塞の発症や心血管死を有意に予防できること(一次予防効果)を明確に実証した研究です。
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論文名: Prevention of coronary heart disease with pravastatin in men with hypercholesterolemia
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掲載誌: The New England Journal of Medicine (1995年)
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DOI: 10.1056/NEJM199511163332001
3. HPS (Heart Protection Study)
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概要: 2万人以上のハイリスク患者を対象に行われた大規模試験です。コレステロール値が「正常範囲」とされていた患者であっても、スタチンを服用してさらにLDLコレステロールを下げることで、心血管リスクが確実に低下することが判明しました。
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論文名: MRC/BHF Heart Protection Study of cholesterol lowering with simvastatin in 20,536 high-risk individuals: a randomised placebo-controlled trial
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掲載誌: The Lancet (2002年)
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DOI: 10.1016/S0140-6736(02)09327-3
4. JUPITER Trial
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概要: LDLコレステロール値は高くないものの、体内の炎症反応マーカー(hs-CRP)が高い健康な人々に対してスタチン(ロスバスタチン)を投与したところ、心血管イベントの大幅な抑制が認められた画期的な試験です。
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論文名: Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
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掲載誌: The New England Journal of Medicine (2008年)
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DOI: 10.1056/NEJMoa0807646
5. IMPROVE-IT Trial
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概要: 急性冠症候群を起こした患者に対して、スタチン単独よりも、小腸でのコレステロール吸収を抑える薬(エゼチミブ)を併用してLDLコレステロールを極限まで低くコントロールした方が心血管イベントを強力に予防できることを証明し、「LDLは低ければ低いほど良い (Lower is better)」という現代の治療概念を裏付けました。
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論文名: Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes
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掲載誌: The New England Journal of Medicine (2015年)
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DOI: 10.1056/NEJMoa1410489
まとめ
脂質異常症の治療は、
「数値を下げること」ではなく、「将来の病気を防ぐこと」です。
同じ数値でも、
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年齢
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血圧
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糖尿病
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喫煙歴
によって最適な治療は変わります。
最後に
「まだ大丈夫」と思っている今が、実は一番大切なタイミングです。
気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
福本医院では、最新の医学的根拠に基づき、
一人ひとりに合わせた管理方法をご提案しています。
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この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
平成9年 神戸大学医学部医学科卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)


























