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    健康診断の尿検査でわかること|尿蛋白・尿潜血・尿糖の意味と受診の目安

    ■ この記事のポイント

    • 尿検査では主に「尿蛋白」「尿潜血」「尿糖」を調べます
    • 陽性でも、検査項目によっては体調や運動、月経、服薬などの影響を受けることがあります
    • 尿蛋白と尿潜血が同時に陽性の場合は、腎臓の病気の可能性がやや高まります
    • 尿潜血は、年齢・喫煙歴・赤血球数などを総合して精査の必要性を判断します
    • 肉眼で分かる血尿や、繰り返す陽性は、放置せず医療機関で確認しましょう

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    健康診断の尿検査結果用紙を持ち、尿蛋白±・尿糖-・尿潜血+の結果に首をかしげる福本医院公式キャラクター「いのねえ」

    尿検査で調べていること

    健康診断の尿検査は、試験紙を尿に浸して色の変化を見る簡便な検査で、主に「尿蛋白」「尿潜血」「尿糖」の3項目を調べます。血液検査と違って痛みがなく、体への負担がほとんどないまま、腎臓や尿路、糖代謝の状態を知ることができる検査です。健診結果票全体の見方についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

    尿蛋白が陽性だったら

    尿蛋白は、本来血液中にとどまるはずのタンパク質が尿に漏れ出している状態です。腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)に何らかの負担がかかっているサインのことがあります。

    尿蛋白が陽性でも、必ずしも腎臓の病気とは限りません。小児〜若年者では、立った姿勢が続いたときにだけ蛋白が出る「起立性蛋白尿」がよく見られ、病的な意味を持たないことがほとんどです。ただし成人になってから新たに蛋白尿が持続する場合は、起立性蛋白尿と自己判断せず、評価を受けることが勧められます。発熱時や激しい運動の直後にも、一時的に陽性になることがあります。

    繰り返し陽性が出る場合、医療機関では尿中のタンパクやアルブミンを数値で測る検査を行い、腎機能や血圧などと合わせて評価することがあります。腎機能の数値の見方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

    尿潜血(尿潜血反応が陽性)と言われたら

    尿潜血は、尿中の血液成分(ヘモグロビンなど)を試験紙で調べる検査です。陽性だからといって、必ずしも尿に赤血球が増えているとは限らず、医療機関では顕微鏡で尿を調べ(尿沈渣)、実際に赤血球が増えているかを確認することがあります。

    原因は、腎臓(糸球体腎炎など)、尿管や膀胱の結石、膀胱炎などの炎症、前立腺の病気(男性)など多岐にわたります。一時的な原因や良性の病気によることもありますが、まれに膀胱や腎臓などの腫瘍が背景にあることもあります。海外の泌尿器科の指針では、年齢・性別・喫煙量(本数×年数で計算する累積量)・尿中の赤血球数・肉眼的血尿の既往などを組み合わせて、詳しい検査の必要性を判断するとされています。こうした基準は近年も見直しが続いているため、年齢や喫煙歴の有無だけで自己判断せず、繰り返し陽性が出る場合は医師に相談してください。

    女性の場合、月経の影響で一時的に陽性となることもあります。月経中や直後の検査であれば、期間をおいて再検査することも検討します。

    尿糖が陽性だったら

    尿糖は、尿中にブドウ糖が検出された状態です。多くは、血糖値が高くなりすぎて腎臓で再吸収しきれなくなった糖が尿にあふれ出ることで生じ、糖尿病や糖尿病予備群と関連していることが多い所見です。

    血糖値が正常であっても尿糖が出ることがあります。腎臓が糖を再吸収する能力が体質的に低い「腎性糖尿」のほか、一部の糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬など)は、作用の仕組み上、意図的に尿へ糖を排出させます。すでに糖尿病の治療を受けている方は、尿糖の陽性だけで病状が悪化したと判断せず、服薬の内容と合わせて確認してください。

    一時的に陽性になることもあります

    尿蛋白は、発熱や激しい運動の直後などに一時的に陽性になることがあります。尿潜血は、月経中の血液の混入や、激しい運動の後に一時的に陽性になることがあります。尿糖は、食後の一時的な血糖上昇や、治療中の薬剤の影響で陽性になることがあります。原因によって「一時的」の意味が異なるため、いずれの項目も、1回の結果だけで自己判断せず、再検査で確認することが大切です。

    こんな時は受診をおすすめします

    早めに受診してほしい場合

    • 目で見て分かるほどの血尿(赤色や茶色の尿)が出た
    • 尿に血の塊が混じる
    • 強い腰や背中の痛みがある
    • 血尿に発熱や排尿時の痛みを伴う
    • 排尿時の痛みや頻尿が続く(健診の再検査を待たず、早めに相談してください)

    再検査・相談をおすすめする場合

    • 尿蛋白または尿潜血が、複数回の健診で繰り返し陽性になっている
    • 尿蛋白と尿潜血が同時に陽性と指摘された(健診結果を持って医療機関へ相談してください)
    • 尿糖が陽性で、血糖値やHbA1cの異常も指摘されている

    受診までにできること

    再検査までの間、症状(血尿の色、痛みの有無、発熱など)をメモしておくと、診察の助けになります。健診結果票、お薬手帳、過去の検査結果があれば持参してください。医療機関では、尿沈渣による顕微鏡検査や、必要に応じて画像検査を組み合わせて原因を調べます。

    よくある質問

    Q. 尿蛋白が(+)でしたが、体調は特に悪くありません。それでも受診が必要ですか?

    A. 腎臓の病気は自覚症状が乏しいことが多いため、症状がなくても、繰り返し陽性が出る場合は原因を確認することをおすすめします。

    Q. 生理中に健診を受けました。尿潜血の結果は信用できますか?

    A. 月経の血液が混入し、陽性になっている可能性があります。期間をおいての再検査を検討してください。

    Q. 尿糖が出ていましたが、血液検査のHbA1cは正常でした。糖尿病の薬も飲んでいません。なぜですか?

    A. 腎臓が糖を再吸収する能力には個人差があり、血糖値が正常でも尿糖が出る体質の方がいます(腎性糖尿)。採血時の血糖値や検査時の食事状況が影響していることもあります。心配な場合は医師に相談してください。

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    まとめ

    尿検査は、痛みなく手軽に受けられる検査でありながら、腎臓・尿路・糖代謝の状態を知る手がかりになります。1回の陽性で慌てる必要はありませんが、目で見て分かる血尿や、繰り返す陽性がある場合は、放置せず医療機関で原因を確認しましょう。

    健康診断の受け方と結果票の見方|健診の流れ・A〜F判定・血液検査・「要再検査」と言われたら【大阪・心斎橋 福本医院】

    【健診でeGFR低下・尿蛋白を指摘された方へ】慢性腎臓病(CKD)とは?症状・原因・最新治療を医師が解説|大阪・心斎橋 福本医院

    参考文献

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

     

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

    経歴について、詳しくはこちら

     

     

     

    院長・著者について

    福本 淳(ふくもと あつし)/福本医院 院長。循環器専門医・医学博士。大阪市中央区南船場で内科・循環器内科を診療しています。

    著書『ダイエット論 ── 体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)。本の内容を見る

    2026.08.01 , , , ,

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    鉄欠乏性貧血とは|疲れ・動悸・息切れの原因・検査・治療を循環器専門医が解説

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    こんな症状はありませんか?

    • なんとなく疲れやすい、体がだるい
    • 少し動いただけで動悸がする
    • 階段や坂道で息切れする
    • 立ちくらみやめまいがある
    • 健診で「貧血ぎみ」「ヘモグロビンが低い」と言われた
    • 顔色が悪いと言われる、爪が割れやすい

    ひとつでも心当たりがあれば、その背景に「鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)」が隠れているかもしれません。貧血の中でもっとも多いのがこのタイプで、特に月経のある女性に多くみられます。

    一方で、動悸や息切れは心臓の病気でも起こる症状です。「貧血だと思っていたら不整脈だった」「不整脈を心配して受診したら鉄不足だった」ということも珍しくありません。だからこそ、循環器内科できちんと切り分けることに意味があります。

    健康診断の受け方と結果票の見方|健診の流れ・A〜F判定・血液検査・「要再検査」と言われたら【大阪・心斎橋 福本医院】

    この記事のポイント

    • 鉄欠乏性貧血は、鉄が足りずヘモグロビンが十分に作れなくなり、全身が酸素不足になる状態です
    • 疲れ・動悸・息切れ・めまいなど、一見ばらばらな症状の共通の原因になり得ます
    • ヘモグロビンが正常でも、鉄の貯金(フェリチン)だけが減っている「鉄が足りない一歩手前」の状態があります
    • 成人、とくに男性や閉経後の女性では、出血の原因(胃・腸の病気など)が隠れていないかの確認が大切です
    • 食事の工夫と鉄剤で改善が見込めます。まずは採血で「本当に鉄が足りないのか」を確かめることが第一歩です

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    鉄欠乏性貧血を心配し、疲れやめまいでふらつく「いのねえ」のイラスト。動悸や息切れなど貧血の代表的な症状を表現している。

    貧血とは、鉄欠乏性貧血とは

    貧血とは、血液の中で酸素を運ぶ赤血球の中にあるヘモグロビンが減り、全身に酸素を届ける力が落ちた状態のことです。ヘモグロビンは鉄を材料にして作られます。お饅頭にたとえると、鉄は中身の「あんこ」。あんこが足りないと、いくら皮を用意してもきちんとした中身が作れません。これが鉄欠乏性貧血です。

    貧血かどうかは、採血のヘモグロビン濃度(Hb)で判断します。世界保健機関(WHO)の目安では、成人男性でHb13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満、妊婦では11g/dL未満が貧血の目安とされています。日本鉄バイオサイエンス学会の『鉄欠乏性貧血の診療指針』も同じ値を正常の下限としたうえで、年齢や妊娠の時期で基準が変わることを示しています。思春期前のお子さんと80歳以上の方は男女とも11g/dL以上、妊娠中は前期と後期が11g/dL以上、中期は10.5g/dL以上が基準です。ご高齢の方に一般成人の基準をそのまま当てはめると、実際以上に「貧血」と判定されることがあります。貧血にはいくつか種類がありますが、その中で最も多いのが鉄欠乏性貧血です。日本では頻度が高く、とくに月経のある年代の女性に多くみられます。

    貧血はゆっくり進むことが多いため、体が慣れてしまい、Hbがかなり下がるまで自覚しにくいのが特徴です。一般にHbが7〜8g/dL程度まで低下すると症状が目立つことが多くなりますが、年齢や心臓の状態、進行の速さによって症状の出方には個人差があります。

    どんな症状が出るのか

    酸素が全身にいきわたりにくくなるため、症状は全身に及びます。

    体の症状としては、疲れやすさ・だるさ、動悸、息切れ、めまい・立ちくらみ、頭痛、肩こり、顔色の悪さなど。鉄そのものの不足に関係する症状として、爪がスプーンのように反り返る・薄く割れやすくなる、口の端が切れる(口角炎)、舌がヒリヒリする(舌炎)、飲み込みにくさ、氷を無性に食べたくなる(氷食症)などがみられることもあります。

    これらは「なんとなく不調」として片づけられやすく、原因がはっきりしないまま放置されがちです。動悸・息切れ・めまいといった症状は循環器の病気でもみられるため、当院では心臓の評価とあわせて、その裏に鉄欠乏がないかも確認しています。

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    原因は大きく4つ

    鉄欠乏は、鉄の「失いすぎ」「摂り足りない」「吸収できない」「必要量が増える」の4つに分けて考えると整理しやすくなります。

    鉄を失う(喪失)。もっとも多い原因です。女性では月経がその代表で、経血が多い方ほど不足しやすくなります。見落としてはならないのが消化管からの出血で、胃・十二指腸潰瘍、痔、そして胃がん・大腸がんなどが背景にあることがあります。

    摂り足りない(摂取不足)。極端なダイエット、偏った食事、菜食に偏った食生活などで起こります。

    吸収できない(吸収障害)。胃の手術後や、胃酸の分泌を抑える薬(PPI=プロトンポンプ阻害薬など)の長期使用などで鉄の吸収が落ちることがあります。

    必要量が増える(需要増大)。成長期、妊娠・授乳期は鉄の必要量が増え、相対的に不足しやすくなります。

    ここで大切なのは、鉄欠乏性貧血は「病名」であると同時に「結果」でもあるということです。とくに男性や閉経後の女性で鉄欠乏がみつかった場合は、どこかで出血していないか、その原因を確かめることが治療と同じくらい重要になります。鉄剤を飲んで数値を上げるだけでは、隠れた病気を見逃すおそれがあるからです。

    検査でわかること:フェリチンと「鉄が足りない一歩手前」

    鉄欠乏性貧血で調べる採血項目と鉄欠乏時の変化を示した一覧表。ヘモグロビン低下、MCV低下、血清鉄低下、TIBC上昇、TSAT20%未満、フェリチン低下。

    鉄欠乏性貧血で調べる主な採血項目と、鉄欠乏のときの変化。フェリチンは体内の鉄の貯金を反映します。基準値は検査機関により異なります。(福本医院)

    貧血の有無はHbでわかりますが、「なぜ貧血なのか」「鉄が足りているのか」を知るには、もう少し詳しい採血が役立ちます。

    赤血球の大きさ(MCV)が小さめ(小球性)で、色が薄い(低色素性)場合は、鉄欠乏性貧血が疑われます。さらに、血液中の鉄(血清鉄)、鉄を運ぶ力(TIBC=総鉄結合能)、その埋まり具合(TSAT=トランスフェリン飽和度)、そして体の中の鉄の貯金を映す「フェリチン」を測ることで、鉄の状態を立体的に評価できます。

    鉄欠乏性貧血では、血清鉄が下がり、TIBCが上がり、TSATが下がり、フェリチンが下がる、という特徴的なパターンを示します。下の図で、各項目が鉄欠乏のときにどう動くかを整理しました。

    このうち、体の鉄の貯金を反映するのがフェリチンです。ヘモグロビンが基準内でも、フェリチンだけが低いことがあります。健診や採血で「フェリチンが低い」と言われた場合は、まさにこの状態、つまり鉄の貯金が減っているサインかもしれません。これは「貧血にはなっていないけれど、鉄の貯金が底をつきかけている」状態で、医学的には鉄欠乏(英語でIron deficiency without anemia)と呼ばれます。一般には「隠れ貧血」と表現されることもあります。この段階でも、疲れやすさや動悸などの不調が出ることがあり、早めに気づいて対処できるのが利点です。

    フェリチンの数値は、鉄欠乏を疑うおおまかな目安として次のように考えます。診療指針の診断基準は12ng/mL未満で一本ですが、実際の診療では、12を上回っていても30を下回る場合には鉄欠乏を疑って対応することがあります。正常値そのものというより、「鉄が足りていないかを見極めるための目安」として捉えてください。

    • 12ng/mL未満:診療指針の診断基準にあたり、鉄欠乏が強く疑われます
    • 12〜30ng/mL程度:鉄欠乏の可能性があります
    • 30ng/mL以上:多くの場合、鉄欠乏の可能性は低いと考えられます(ただし炎症や慢性疾患があるときはこの限りではありません)

    ただし注意点があります。フェリチンの基準値は検査機関によって多少異なります。また、フェリチンは炎症や感染、肝臓の状態などで高くなる性質があり、体の中で炎症が起きているときは、鉄が足りなくても数値が正常〜高めに見えてしまうことがあります。このため、フェリチンだけでなく、症状や他の項目とあわせて総合的に判断します。数値の解釈は自己判断せず、医療機関でご相談ください。

    当院では、必要に応じてフェリチンなど鉄代謝の検査も行い、貧血の有無だけでなく「鉄の貯金」まで含めて確認しています。

    日本鉄バイオサイエンス学会の診断基準

    『鉄欠乏性貧血の診療指針』では、ヘモグロビン・総鉄結合能(TIBC)・血清フェリチンの3つを組み合わせて、次のように区別します。

    ヘモグロビン(g/dL) TIBC(μg/dL) フェリチン(ng/mL)
    鉄欠乏性貧血 12未満 360以上 12未満
    潜在性鉄欠乏 12以上 問わない 12未満
    正常 12以上 360未満 12以上

    ※ヘモグロビンは成人女性の基準値です。

    ここで大事なのは、貧血がなくてもフェリチンが12ng/mLを下回っていれば「潜在性鉄欠乏」と診断されることです。さきほどの「鉄が足りない一歩手前」には、こうしたはっきりした基準があります。またTIBCが360μg/dL以上に上がっていることも、鉄欠乏を裏づける所見になります。

    循環器内科として知っておいていただきたいこと

    ここからは、少し専門的な話になります。鉄欠乏は、実は心臓の分野でも近年とても重視されているテーマです。

    心不全や慢性腎臓病(CKD)のある方は、しばしば鉄欠乏を合併します。心不全やCKDは体の中で慢性的な炎症が起きている状態のため、フェリチンが見かけ上高くなりやすく、通常の「12ng/mL未満」といった目安では鉄欠乏を見逃してしまいます。そこで心不全の分野では、フェリチンが100ng/mL未満、あるいは100〜300ng/mLでTSATが20%未満のときに鉄欠乏と判断し、鉄の補充を検討する、という一段きめ細かい基準が使われます。

    なぜここまで重視されるのか。心不全のある方に鉄を補うと、症状や生活の質、運動する力が改善し、心不全による入院が減る可能性が、複数の大規模な臨床研究で示されてきたからです。急性心不全後の患者を対象としたAFFIRM-AHF試験(Lancet, 2020)、英国で行われたIRONMAN試験(Lancet, 2022)、そして最新のFAIR-HF2試験(JAMA, 2025)などがその代表です。こうした積み重ねを受けて、米国(2022年 ACC/AHA/HFSAガイドライン)と欧州(2023年 ESCガイドライン)はいずれも、鉄欠乏を伴う症状のある心不全(左室駆出率が低下したタイプ)の患者に、静脈注射による鉄剤の投与を推奨しています。

    なお、これらの研究や推奨は「静脈注射による鉄補充」に関するもので、専門的な管理のもとで行われる治療です。当院は外来で、内服の鉄剤や食事の見直しを中心に対応しています。ここでお伝えしたいのは、鉄欠乏は「貧血の一種」にとどまらず、心臓の状態にも関わる、循環器として見逃せないテーマだということです。動悸や息切れで受診された方の背景に鉄欠乏がみつかることもあり、当院ではその両面から評価しています。

    【健診でeGFR低下・尿蛋白を指摘された方へ】慢性腎臓病(CKD)とは?症状・原因・最新治療を医師が解説|大阪・心斎橋 福本医院

    食事と治療

    治療の基本は、不足している鉄を補い、原因があればそれに対処することです。

    食事でとる鉄には、肉や魚に多く吸収されやすい「ヘム鉄」と、野菜・豆・卵などに含まれ吸収がやや劣る「非ヘム鉄」があります。鉄を多く含む食品には、レバー、赤身の肉、かつお・まぐろ、あさりなどの貝類、ほうれん草や小松菜、大豆製品などがあります。非ヘム鉄はビタミンC(野菜・果物)と一緒にとると吸収が高まります。バランスのよい食事が基本で、特定の食品だけに偏らないことが大切です。

    厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、鉄の栄養状態をみる指標としてフェリチンが重視されるようになり、非ヘム鉄の吸収率は体の鉄の充足度によって変わる(足りないときほど吸収が高まる)という考え方が反映されています。体は必要に応じて吸収量を調整しているのです。

    食事だけで追いつかないときは、鉄剤(内服薬)を使います。診療指針は、飲み薬の鉄剤を第一選択とし、1日あたり鉄としておおむね100〜200mgを用いるとしています。鉄剤はよく効くため、貧血がかなり進んだ状態であっても、輸血をせずに回復できることが多いのも特徴です。

    フェリチンの回復には時間がかかるため、Hbが戻った後もしばらく続けて、鉄の貯金を十分に回復させることが再発予防のうえで重要です。診療指針も、貧血が改善してから貯蔵鉄が満たされるまでには長期間の内服が必要だと明記したうえで、実際には途中で中断してしまう方が少なくないと指摘しています。貧血がなかなか改善しないときや、一度よくなったのに再発したときは、まず飲み方を一緒に確認するところから始めます。

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    飲み合わせにも注意が要ります。お茶や紅茶に含まれるタンニン酸、胃薬(プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬)、一部の抗菌薬などは鉄の吸収を妨げます。逆にビタミンCは吸収を助けます。吐き気が出るときは、飲む時間を日中から就寝前にずらす、少量から始めるといった工夫で続けられることがあります。飲みにくさは我慢せず、ご相談ください。市販のサプリメントは手軽ですが、貧血の原因が別にある場合に発見が遅れることがあるため、まずは医療機関で原因を確かめることをおすすめします。

    処方される鉄剤にはいくつか種類があります

    治療に使う内服の鉄剤には、鉄の「型」(二価鉄・三価鉄)や製剤の作り(徐放性かどうか)が異なるものがあります。どれを使うかは、胃腸症状の出やすさ、飲みやすさ、ほかの持病などをふまえて医師が選びます。代表的なものを紹介します。

    フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)。二価鉄の標準的な鉄剤で、鉄欠乏性貧血の治療で広く使われます。胃酸の影響を受けにくく比較的胃にやさしいとされ、錠剤のほか顆粒もあります。

    フェロ・グラデュメット(乾燥硫酸鉄)。鉄をゆっくり放出する徐放性の錠剤です。鉄の含有量が多く1日1回で済むことが多いため続けやすい一方、噛まずに十分な水で飲む必要があります。

    フェルム(フマル酸第一鉄)。こちらも徐放性のカプセルで、1日1回の服用です。

    リオナ(クエン酸第二鉄水和物)。三価鉄の薬です。もともとは慢性腎臓病(CKD)に伴う高リン血症の治療薬ですが、鉄欠乏性貧血にも適応があります。一般的な鉄剤(二価鉄)で吐き気や胃の不快感などの胃腸症状が強く、内服を続けるのが難しい場合に、選択肢のひとつとなることがあります。診療指針でも、従来の経口鉄剤と比べて悪心・嘔吐が有意に少ないことが臨床試験で示された薬として紹介されています。

    薬の値段(薬価。公定価格の目安で2026年時点)は、フェロミア錠50mgとフェロ・グラデュメット錠105mgがいずれも1錠6.3円、リオナ錠250mgが1錠70.40円です。1日あたりの目安ではフェロミアが約13〜25円、フェロ・グラデュメットが約6〜13円、リオナが約141〜282円で、実際の窓口負担はこの1〜3割です。ただし薬は値段だけで選ぶものではなく、効果・副作用・飲みやすさ・持病を総合して決めます。自己判断で選んだり中断したりせず、主治医にご相談ください。

    鉄剤が向かない場合もあります

    潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、飲み薬の鉄剤が腸の病変に悪影響を及ぼす可能性があるため、はじめから静脈注射の鉄剤を選びます。またウイルス性肝炎や肝硬変がある場合は、鉄が肝臓の状態に影響しうるため、基本的に鉄剤は使いません。持病のある方は、必ず主治医にお伝えください。

    また診療指針は、鉄剤を始める前に確実な診断をつけることを求めています。ヘモグロビンが低いというだけでなく、MCVが小さいこと、血清鉄が低いこと、そして血清フェリチンが低いことまで確認してから開始すべき、という考え方です。当院が「まず原因を調べましょう」とお伝えするのは、この方針に沿っています。

    こんな時は受診をおすすめします

    • 健診で貧血やヘモグロビンの低下を指摘された
    • 健診や採血で「フェリチンが低い」と言われた
    • 疲れ・動悸・息切れ・めまいが続いている
    • 月経の量が多く、貧血を繰り返している
    • 市販の鉄サプリを飲んでも改善しない
    • 男性や閉経後で、貧血を指摘された(出血源の確認が必要なことがあります)

    当院では、ヘモグロビンだけでなくフェリチンなど鉄代謝も評価し、必要に応じて心電図や心エコーなど循環器の検査も組み合わせながら、動悸・息切れの原因を総合的に診断しています。貧血なのか、心臓の病気なのか、あるいは両方なのかを見極めたうえで、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案します。「気のせい」で片づけず、まずはご相談ください。

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    よくある質問(FAQ)

    Q1. 鉄欠乏性貧血は放っておいても自然に治りますか? 原因(月経過多や出血など)が続いている限り、自然に治ることは期待しにくいです。原因への対処と鉄の補充が必要です。

    Q2. 鉄剤にはどんな副作用がありますか? 吐き気、胃のむかつき、便秘や下痢、腹痛などが比較的よくみられます。つらいときは、飲む時間や剤形を調整することで続けやすくなることがあるため、自己判断で中止せずご相談ください。

    Q3. 鉄剤を飲むと便が黒くなりました。大丈夫ですか? 鉄剤による便の黒色化はよくある反応で、多くは心配いりません。ただし、出血による黒い便(タール便)との区別が必要なこともあるため、気になる場合は医師にお伝えください。

    Q4. 鉄剤は食前と食後、どちらがよいですか? 一般に空腹時のほうが吸収は良いとされますが、胃の症状が出やすい方は食後でもかまいません。続けられることが何より大切です。

    Q5. 市販の鉄サプリメントでも良いですか? 軽い不足の補助にはなり得ますが、貧血の背景に病気が隠れていることがあります。まずは採血で原因を確かめたうえで使うのが安心です。

    Q6. コーヒーやお茶は飲んでも大丈夫ですか? お茶やコーヒーに含まれるタンニンは、非ヘム鉄の吸収をやや妨げるとされます。神経質になりすぎる必要はありませんが、鉄剤や食事のすぐ前後は控えると無難です。

    Q7. 鉄が多い食べ物は何ですか? レバー、赤身肉、かつお・まぐろ、あさりなどの貝類、ほうれん草、小松菜、大豆製品などです。ビタミンCと一緒にとると吸収が高まります。

    Q8. 月経の量が多いと貧血になりやすいですか? はい。月経過多は女性の鉄欠乏性貧血のもっとも多い原因のひとつです。量が多い、レバー状のかたまりが出るなどがあれば、婦人科的な原因の確認も検討します。

    Q9. 妊娠中の貧血が心配です。 妊娠中は鉄の必要量が増え、貧血になりやすい時期です。お母さんだけでなく赤ちゃんにも関わるため、健診での貧血の指摘は放置せず、指示に従って対応してください。

    Q10. 男性や閉経後の女性でも鉄欠乏になりますか? なります。ただしこの年代では月経による喪失がないため、消化管出血など別の原因が隠れていないかの確認がとくに重要です。

    Q11. フェリチンとは何ですか?なぜ測るのですか? フェリチンは体内の鉄の「貯金」を映す数値です。ヘモグロビンが正常でも、貯金が減っていれば早めに対処できるため、測る意義があります。

    Q12. ヘモグロビンは正常なのに「鉄不足」と言われました。なぜですか? 貧血になる前の段階、つまりフェリチン(鉄の貯金)が減っている状態です。医学的には鉄欠乏(Iron deficiency without anemia)、一般には「隠れ貧血」と呼ばれることがあります。

    Q13. 鉄の点滴(静脈注射の鉄剤)はどんな時に使いますか? 内服がどうしても続けられない、吸収が悪い、早く補いたい、といった場合に、専門的な管理のもとで検討される治療です。心不全に伴う鉄欠乏などで用いられることがあります。適応は医師が判断します。

    Q14. 鉄剤はどのくらいの期間飲む必要がありますか? ヘモグロビンが戻っても、鉄の貯金(フェリチン)が十分に回復するまで数か月続けることが多いです。途中でやめると再発しやすくなります。

    Q15. スポーツをよくするのですが、貧血になりやすいですか? 運動量が多い方は、汗や消化管からの微小な鉄の喪失などで鉄が不足しやすいことがあります(いわゆるスポーツ貧血)。疲れやパフォーマンス低下が続くときは一度採血をおすすめします。

    Q16. 鉄剤を飲むと便秘になりますか? 鉄剤では便秘や下痢など、お通じの変化がよくみられます。便秘が気になるときは、水分と食物繊維をふだんより意識するとやわらぐことがあります。それでもつらい場合は、我慢して続けず、薬の種類や飲み方を調整できることがあるのでご相談ください。

    Q17. フェリチンだけが低い場合も、治療した方がよいですか? 貧血(ヘモグロビンの低下)がなくても、フェリチンが低く、疲れやすさや動悸などの症状がある場合は、鉄を補うことで体調が改善することがあります。治療するかどうかは、症状・数値・背景にある原因をふまえて医師が判断します。まずは採血で状態を確かめましょう。

    Q18. 鉄剤を飲んだあと、コーヒーは何時間あければよいですか? 明確な決まりはありませんが、鉄剤の前後1時間ほどはコーヒーやお茶を控えると無難とされています。とはいえ神経質になりすぎる必要はなく、続けやすさを優先してかまいません。

    Q19. 鉄剤は毎日飲む方がよいですか? 以前は毎日の服用が一般的でしたが、最近は副作用の軽減や吸収効率の観点から、1日おきの隔日投与が選ばれる場合もあります。飲み方は自己判断せず、主治医の指示に従ってください。

    Q20. 動悸や息切れは、貧血と心臓の病気のどちらが原因ですか?見分けられますか?
    どちらの可能性もあり、見分けが大切です。鉄欠乏性貧血でも動悸・息切れは起こりますが、同じ症状は不整脈や心不全など心臓の病気でもみられます。「貧血だと思っていたら不整脈だった」「不整脈を心配して受診したら鉄不足だった」ということも珍しくありません。当院では採血でヘモグロビンやフェリチンなど鉄の状態を確認するとともに、必要に応じて心電図や心エコーなどの循環器検査も行い、貧血なのか、心臓の病気なのか、あるいは両方なのかを見極めたうえで治療をご提案します。

    参考文献

    • 日本鉄バイオサイエンス学会編『鉄欠乏性貧血の診療指針』第1版、フジメディカル出版、2024年
    • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書、2024年
    • World Health Organization. Guideline on haemoglobin cutoffs to define anaemia in individuals and populations. Geneva: WHO; 2024.
    • Camaschella C. Iron-Deficiency Anemia. N Engl J Med. 2015;372(19):1832-1843.
    • Lopez A, Cacoub P, Macdougall IC, Peyrin-Biroulet L. Iron deficiency anaemia. Lancet. 2016;387(10021):907-916.
    • Camaschella C. Iron deficiency. Blood. 2019;133(1):30-39.
    • Ponikowski P, et al. (AFFIRM-AHF). Lancet. 2020.
    • Kalra PR, et al. (IRONMAN). Lancet. 2022.
    • Anker SD, et al. (FAIR-HF2 DZHK05). JAMA. 2025.
    • McDonagh TA, et al. 2023 Focused Update of the 2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure. Eur Heart J. 2023.
    • Heidenreich PA, et al. 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure. J Am Coll Cardiol. 2022;79(17):e263-e421.

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

     

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

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    2026.07.21 , , , , ,

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    健康診断で「心電図の異常」を指摘されたら ― 放っておかず、まずご相談ください

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    ■ この記事のポイント

    • 健診の心電図は「くわしく調べたほうがよい人」を拾い上げる検査で、「異常」=病気ではありません
    • ただし「大丈夫」とも限りません。同じ所見でも、症状・危険因子・家族歴・初めての指摘かどうかで判定が変わります
    • 結果票の判定は、A・B・C・D・Eなどの記号で示されます。Dは「重い病気」ではなく「くわしく調べましょう」という区分です
    • 健診の心電図はわずか10秒ほどの記録です。ふだん出ている不整脈が写らないこともあります
    • 結果票を持ってご相談ください。初診+心電図で約1,300円(3割負担)、保険診療で受けていただけます

    <診察室から> 30秒でわかる健診の心電図

    福本医院の処置室で、いのぱぱが心電図検査を受けている様子。リリー看護師が電極を装着し、モニターには脈拍115回/分の心房細動(AF)の心電図波形が表示されている。
    この記事をスマートフォンで読むためのQRコード(大阪・心斎橋 福本医院)

    「異常」と書かれていても、病気が決まったわけではありません。 健診の心電図は、多くの方の中から「くわしく調べたほうがよい人」を拾い上げるための検査です。

    同じ所見でも、判定は変わります。 症状があるか、高血圧や糖尿病があるか、家族に若くして亡くなった方がいるか、初めての指摘か、去年と比べて変わったか ― これらで判定が動きます。だから結果票の文字だけでは決められません。

    結果票を持って、一度ご相談ください。 それだけで十分です。「大げさかな」と迷う程度が、ちょうど良いタイミングです。

    このQRコードを読み取ると、続きをスマートフォンでご覧いただけます。

    健診の心電図は「ふるい分け」の検査です

    健康診断の心電図は、多くの方の中から「くわしく調べたほうがよい人」を拾い上げるための検査です。病気を確定させる検査ではありません。

    厚生労働省の定期健康診断結果報告(令和6年)によると、心電図で所見があった方は10.9%でした。およそ9人に1人です。決して珍しいことではありません。

    「異常」と書かれていても、病気とは限りません

    所見に「異常」と出ても、それが必ずしも病気とは限りません。「あなたは病気です」という結論ではなく、「一度くわしく確認しましょう」という合図と考えてください。

    ただし「大丈夫」とも限りません。自己判断は禁物です

    同じ「異常」でも、その中身は、そのまま様子を見てよいものから、早めに確認・治療したほうがよいものまで大きな幅があります。自分がそのどちらなのかは、結果票の文字だけでは見分けられません。

    たとえば心房細動は、自覚症状がなくても脳梗塞につながることがある不整脈ですが、早く見つけて対策できれば、そのリスクを大きく減らせます。狭心症や心筋症など、別の心臓の病気が背景に隠れていることもあります。

    反対に、健診で「異常なし」であっても安心とは限りません。 健診の心電図は10秒ほどの記録です。その瞬間に出ていない不整脈は、心電図に写りません。心電図の所見は、診断の出発点であって、結論ではありません。

    そもそも、なぜ心電図を受けたのでしょうか

    心電図は、全員が受ける検査ではありません。 ここを知っておくと、ご自身の結果票の意味がわかりやすくなります。

    特定健診(メタボ健診)の場合 ― 心電図は基本の項目ではなく、条件を満たした方に医師が必要と認めた場合に行う「詳細な健診の項目」です。その条件は次のとおりです。

    当該年度の特定健康診査の結果等において、収縮期血圧140mmHg以上若しくは拡張期血圧90mmHg以上の者又は問診等で不整脈が疑われる者

    (厚生労働省『特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き 第4.3版』)

    つまり、血圧が高かったか、問診で脈の乱れが疑われたか、どちらかがあった可能性があります。「動悸がすることがある」と伝えたことがきっかけで心電図が追加された、という方もいらっしゃいます。

    職場の定期健康診断の場合 ― 心電図は健診項目の一つですが、40歳未満の方(35歳の方を除く)は、医師が必要でないと認めれば省略できることになっています。裏を返せば、35歳と40歳以上では原則として実施される検査です。

    人間ドックの場合 ― 通常、基本の検査項目に含まれています。

    なお、健診の「判定値」と、病気の「診断基準」と、治療の「目標値」は、それぞれ別のものです。この違いは「高血圧の基準が130/80に下がった」は誤りですで詳しく説明しています。

    結果票の「判定」を確認してください

    まずは判定の記号をご確認ください。健診機関でよく使われている区分は、次のとおりです。

    その前に、ひとつだけ。結果票の文字だけでは、受診が必要かどうかまでは決まりません。 たとえば同じ心電図所見でも、以前から変わらない場合と今回初めて現れた場合、症状がない場合と失神などの症状がある場合では、判断が異なることがあります。この記事の所見の表で判定に「幅」を持たせているのは、そのためです。

    健診の結果票の判定区分と、次にとる行動。AとBは次回の健診で確認、C1とC2は指定された時期に再検査、DとEは受診が必要。Fは治療中で主治医に相談することを示した図

    判定 意味と、どうすればよいか
    A 異常なし ― 今回の検査では問題ありませんでした
    B 軽度の変化 ― 日常生活に支障のない範囲です。次回の健診で確認します
    C1 要経過観察 ― 期間をおいて様子を見ます
    C2 要再検査 ― もう一度確認が必要です。受診をおすすめします
    D 要精密検査 ― くわしい検査が必要です。受診してください
    E 要治療 ― 治療が必要な可能性があります。早めに受診してください
    F 治療中 ― すでに通院されている方です。主治医にご相談ください

    「D=重大な心臓病」という意味ではありません。 Dは「要精密検査」の区分です。心電図だけでは原因を確定できないため、必要に応じて詳しく確認したほうがよい、という意味を含みます。

    判定の記号や区分は健診機関によって異なります。 お手元の結果票に説明が記載されていれば、そちらを優先してご覧ください。再検査の時期(3か月後・6か月後など)が指定されている場合は、その時期に受けていただくのが原則です。

    ※このあと所見ごとに示す判定の目安(「B〜C」「C〜D」など)は、日本人間ドック・予防医療学会の判定マニュアル(A〜Eの5区分)に基づいています。お手元の結果票がC1・C2に分かれている場合、そのどちらもおおむねこの「C」にあたるとお考えください。

    結果票全体の読み方、血液検査の項目や「要再検査」と言われたときの考え方は、健康診断の受け方と結果票の見方でくわしく解説しています。

    心電図でよくある所見の意味

    所見の欄に書かれた言葉の意味を、5つのグループに分けてご説明します。以下の判定はあくまで目安で、最終的な判定は健診機関が行います。

    脈の乱れ(不整脈)

    所見 判定の目安
    期外収縮(記録中に2個以下) B〜C
    期外収縮(3個以上・連発) C〜D
    心房細動・心房粗動 D
    上室頻拍 D
    洞頻脈(100拍/分以上) D
    心拍過多(86〜99拍/分) C
    洞徐脈(45〜49拍/分) A
    洞徐脈(40〜44拍/分) C
    洞徐脈(39拍/分以下) D

    期外収縮は、脈が飛ぶタイプの不整脈です。 多くは治療の必要がありませんが、症状があるとき、心臓の病気があるとき、頻度が多いときは確認が必要です。

    ここで知っておいていただきたいことがあります。 健診の心電図は、10秒ほどの記録です。期外収縮の個数は、その記録用紙の範囲内で数えます。その10秒に3個出れば「頻発」の扱いになりますし、逆に、ふだん出ている不整脈がその10秒に写らないこともあります。 これが、必要に応じて24時間や7日間の記録を行う理由です。

    心房細動は、自覚症状がなくても脳梗塞につながることがある不整脈です。 判定はDです。早く見つけて対策する意味が大きい所見なので、必ずご相談ください。くわしくは心房細動とは?をご覧ください。動悸や脈の乱れ全般については不整脈とは?をどうぞ。

    脈が遅いこと(洞徐脈)は、45〜49拍/分であればA判定です。 運動習慣のある方では珍しくありません。一方、脈が速い状態(100拍/分以上)はD判定です。「遅いほうが心配」と思われがちですが、判定は逆になります。

    心臓の筋肉と血流(ST-T異常・Q波)

    所見 判定の目安
    軽度ST低下 B〜C
    ST低下 C〜D
    平低T波 B〜C
    陰性T波 C〜D
    ST低下と陰性T波の両方 D
    境界域Q波 C
    異常Q波 C〜D

    ST-T異常は、健診でもっともよく見かける所見のひとつです。 体質や自律神経の影響で出ることも多く、それだけで病気とは限りません。

    ただし、判定を動かす条件がはっきりしています。 動脈硬化の危険因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙など)がある、若くして冠動脈の病気になった血縁者がいる、今回が初めての指摘である ― こうした場合は、同じ所見でもD判定になります。

    ST低下と陰性T波の両方がある場合は、それだけでD判定です。 単独の所見より、組み合わさったときのほうが重く扱われます。

    胸の症状がある方は胸の痛み(胸痛)の原因とは?もあわせてご覧ください。

    心臓の厚み(左室高電位・左室肥大)

    「左室高電位」と「左室肥大」は、別の所見です。

    • 左室高電位だけならB判定です。心電図の波が大きいという意味で、やせ型の方や若い方にも見られます
    • これにST-T変化が加わると「左室肥大」となり、C〜D判定になります

    心臓の壁が厚くなる背景として、いちばん多いのは高血圧です。 高い圧に逆らって血液を送り出すうちに、心臓の筋肉が厚くなっていきます。高血圧はどこまで下げるべき?で詳しく説明しています。

    もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。 症状はないけれど心臓に変化が出ている段階を、心不全では「ステージB(前心不全)」と呼びます。ここで見つけて手を打てば、症状が出る段階へ進むのを遅らせることができます。息切れ・むくみは心不全のサイン?をご覧ください。

    電気の通り道(脚ブロック・房室ブロック)

    所見 判定の目安
    不完全右脚ブロック B
    完全右脚ブロック C〜D
    不完全左脚ブロック B
    完全左脚ブロック D
    左脚前枝ブロック・左脚後枝ブロック C
    PR延長(第1度房室ブロック) B〜D

    右脚ブロックは「よくある所見だから大丈夫」と言われることがありますが、条件によって扱いが変わります。 完全右脚ブロックは、今回が初めての指摘で、かつ動脈硬化の危険因子をお持ちの場合、D判定です。以前から指摘されていて変化がなければ、C判定にとどまります。

    完全左脚ブロックは、それだけでD判定です。 背景に心臓の病気が隠れていることがあるため、一度確認しておくことをおすすめします。

    PR延長(第1度房室ブロック)は、多くの場合B判定です。 ただし、PRが300ミリ秒を超える場合や、失神・息切れなど脈が遅いことによる症状がある場合はD判定になります。

    まれですが、知っておきたい所見

    ブルガダ型心電図、QT延長、早期再分極(J波)などは、健診で指摘されることがある心電図所見です。

    これらの所見があるだけで、危険な不整脈が起こるという意味ではありません。 一方で、一部には注意が必要な不整脈と関連するものがあるため、心電図の形だけでなく、これまでの症状や家族歴を合わせて判断します。

    受診のときに、ぜひ教えてください

    • これまでに突然意識を失ったことがある
    • 原因のわからない失神やけいれんを起こしたことがある
    • 若くして突然亡くなった血縁者がいる
    • 突然死や遺伝性の不整脈を指摘された血縁者がいる
    • 現在服用しているお薬(QT延長の場合はとくに重要です)

    ブルガダ型心電図 ― 波形の形によってcoved型とsaddleback型に分かれます。coved型はD判定です。saddleback型はC〜D判定で、失神などの症状や家族歴があるかどうかで変わります。なお、通常の位置で撮った心電図がsaddleback型でも、電極を1肋間上げて記録するとcoved型になることがあります。 当院ではこの記録を行えます。

    QT延長 ― QTcという指標の長さで判定します。C判定は男性450〜479ミリ秒、女性460〜479ミリ秒。480ミリ秒以上は男女ともD判定です。生まれつきのものだけでなく、お薬や電解質の異常、脈の遅さでも延びることがあります。服用中のお薬を必ずお持ちください。

    早期再分極(J波) ― B〜Dまで判定に幅があります。心電図の形に加えて、失神・けいれんの既往や若くして突然亡くなった血縁者がいるかどうかで変わります。

    これらの所見について、国立循環器病研究センターの解説もわかりやすいのでご参照ください。

    同じ所見でも、判定が変わります

    ここまでで、判定に「B〜C」「C〜D」という幅があることにお気づきかと思います。この幅こそが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

    判定マニュアルには、こう書かれています。

    同一所見でも年齢、性別、自覚症状、基礎疾患などにより、判定が異なることがある。(中略)とくに、自覚症状、脳心血管疾患の危険因子、家族歴は重要である

    心電図の判定を動かす5つの要素。症状があるか、動脈硬化の危険因子があるか、家族歴があるか、初めての指摘か、前回の心電図と変わっていないか。いずれも心電図の紙には書かれていない

    判定を動かすのは、次の5つです。

    1. 症状があるか ― 動悸、胸の圧迫感、息切れ、失神。マニュアルには「心電図所見と因果関係が疑われる自覚症状がある場合は、心電図判定をDにすることを考慮する」と書かれています。

    2. 動脈硬化の危険因子があるか ― 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満。ST-T異常や完全右脚ブロックでは、これがあるかどうかで判定が変わります。

    3. 家族歴があるか ― 若くして突然亡くなった血縁者、遺伝性の不整脈を指摘された血縁者、若くして冠動脈の病気になった血縁者。

    4. 初めての指摘か ― ST低下や完全右脚ブロックでは、「初回指摘時(過去にも指摘されたが、現在まで医療機関を受診していない場合を含む)」がD判定の条件に入っています。「去年も言われたから」は、受診していなければ「初回」と同じ扱いです。

    5. 前回の心電図と変わっていないか ― PR延長では「前回と比較して明らかな延長がみられる」場合にC判定になります。

    この5つは、すべて患者さんご自身が答えられることです。 そして、心電図の紙の上には書かれていません。だから、結果票の文字だけでは判定が決まらないのです。

    以前の健診の結果票をお持ちいただけると、4番と5番がその場でわかります。 ぜひご持参ください。

    結局、どうすればいいの?

    判定がD・Eなら、所見の名前にかかわらず受診してください。 すでに治療中(F)の方は、結果票を主治医にお見せください。

    判定がC1・C2なら、結果票に書かれた時期に再検査を受けてください。「気になれば」ではなく、指定された時期に受けていただくのが原則です。

    判定がA・Bでも、次のいずれかに当てはまる方は一度ご相談ください。

    • 動悸、胸の圧迫感、息切れ、めまい、失神といった症状がある
    • 高血圧・糖尿病・脂質異常症を指摘されている
    • 今回が初めての指摘で、これまで受診したことがない
    • 若くして突然亡くなった血縁者がいる

    「大げさかな」と迷う段階での受診でかまいません。 むしろ、その段階がちょうど良いタイミングです。

    受診すると、何をするの? ― 検査・時間・費用の目安

    「受診したら何をされるのかわからない」という不安が、いちばんの障壁かもしれません。当院での流れをご説明します。

    まず、結果票とこれまでの経過を確認します

    結果票を拝見し、前の項でご説明した5つの点 ― 症状、危険因子、家族歴、初めての指摘か、前回からの変化 ― を確認します。以前の健診結果や心電図をお持ちであれば、ぜひご持参ください。

    受診の際は、健診の結果票、保険証・マイナ保険証、お薬手帳をお持ちください。

    必要な検査を行います

    • 心電図 ― その場で取り直し、健診の所見を見比べます。必要に応じて、電極を1肋間上げた記録も行います
    • 心臓超音波(心エコー)検査 ― 心臓の形や動き、壁の厚さ、弁の状態を確認します
    • ホルター心電図 ― 24時間の記録で、日常生活の中での脈をチェックします
    • 血液検査・胸部レントゲン ― 必要に応じて行います

    Apple Watchなどで不整脈の通知を受け取った方や、より長い期間の記録が必要な方には、7日間ホルター心電図にも対応しています。いびきや日中の眠気がある方は、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。

    より専門的な検査や治療が必要な場合は、適切な医療機関へご紹介します。

    時間と費用の目安

    健康診断の結果にもとづく再検査・精密検査は、健康保険を使って受けていただけます。自費ではありません。

    3割負担の方の目安は次のとおりです。

    検査の組み合わせ 3割負担の目安
    初診+心電図 約1,300円
    初診+心電図+心エコー 約3,900円
    初診+心電図+ホルター心電図 約6,500円
    初診+心電図+心エコー+ホルター心電図 約9,200円

    ※上記は初診料と記載の検査のみの目安です。血液検査やレントゲン検査を追加した場合、お薬を処方した場合、各種加算により、実際の窓口負担は前後します。

    所要時間 ― 心エコーは当日施行が可能で、検査自体は10分程度です(混雑時は後日のご予約をお願いする場合があります)。ホルター心電図は装着が5分程度で、機器をお持ち帰りいただき、後日ご返却いただきます。解析の結果は、あらためてご説明します。

    平日夕方の最終受付は19時15分です。 お仕事帰りの受診にもご利用いただけます。土曜日は14時45分が最終受付となります(15時以降は発熱外来の時間帯です)。ご予約いただくと待ち時間が短くなります。

    受診の流れは福本医院の受診方法もご覧ください。

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    よくあるご質問

    「心電図異常」と書かれていましたが、症状がなくても受診したほうがよいですか?

    判定がD・Eであれば、症状がなくても受診をおすすめします。心房細動や左室肥大のように、症状がないうちに見つけることに意味がある所見があるためです。判定がA・Bでも、危険因子や家族歴がある方はご相談ください。

    去年も同じことを言われましたが、毎年同じなら放っておいて大丈夫ですか?

    「毎年同じ」と「一度も調べていない」は別のことです。 判定マニュアルでは、初回指摘の条件に「過去にも指摘されたが、現在まで医療機関を受診していない場合を含む」と書かれています。一度も調べていなければ、何年目でも「初回」と同じ扱いです。 一度確認して「変わりありません」とはっきりさせておくことに意味があります。

    「要再検査」と「要精密検査」は何が違うのですか?

    要再検査は「同じ検査をもう一度」、要精密検査は「別の検査でくわしく」という違いです。要再検査は時間をおいて同じ心電図を撮り直すのが基本、要精密検査は心エコーやホルター心電図など、心電図だけではわからないことを調べに行く段階です。

    「ST-T異常」「ST低下」と書かれています。狭心症ということですか?

    そうとは限りません。ST-T異常は体質や自律神経の影響でも出ます。ただし、動脈硬化の危険因子がある方、初めての指摘の方では判定が重くなります。 胸の症状があるかどうかも重要です。心エコーや必要に応じた検査で切り分けます。

    「心房細動の疑い」と書かれましたが、もう一度心電図をとればわかりますか?

    その場で出ていれば確認できますが、心房細動は出たり止まったりすることがあります。 受診時の心電図が正常でも否定はできません。その場合は24時間や7日間のホルター心電図で、日常生活の中での脈を記録します。

    健診では異常と言われましたが、病院で心電図をとったら正常でした。どちらが正しいのですか?

    どちらも正しいことがあります。 心電図は、その瞬間の心臓の電気の動きを記録したものです。健診の10秒と、受診時の10秒で、違う所見が出ることは珍しくありません。だからこそ、前後の記録を見比べることと、長時間の記録が役に立ちます。

    健診では異常なしでしたが、Apple Watchで心房細動の通知が出ました。どうすればよいですか?

    健診の心電図は10秒の切り取りなので、そこで出ていない不整脈は写りません。 一方、腕時計型の機器は長時間見ているぶん、拾える可能性があります。通知の画面や記録を保存してご持参ください。Apple Watchで不整脈・睡眠時無呼吸の通知が来たら?でくわしく説明しています。

    以前の健康診断の心電図や結果票も持っていったほうがよいですか?

    ぜひお持ちください。 前回と比べて変化があるかどうかは、判定を動かす重要な要素です。心電図の波形そのものがあれば理想的ですが、結果票の所見欄だけでも役に立ちます。

    参考文献・出典

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    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

     

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

    経歴について、詳しくはこちら

     

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。
    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    2026.07.16 , , , ,

  • blog

    Weight Is Determined by Habit, Age, and Sex — Why Diets Plateau and Why the Weight Comes Back

    Inonee, looking at the scale and wondering, “Why did it stop?” as her weight loss plateaus.

    About this article. This is an educational article written by a physician. It is not medical advice for any individual, and it is not an invitation to consult. Fukumoto Clinic practices in Japanese only.

    Part I derives, using nothing but arithmetic, why weight loss slows down and stops. Part II places that derivation against the international literature and states plainly where it is wrong. Part III is what I actually ask patients to do.

     

     

    Two sentences, more than any others, are said to me in the consulting room.

    “I kept restricting my food, and then the weight just stopped coming off.”

    “I stopped dieting, and it all came straight back.”

    In almost every case, neither sentence is a confession of weakness. Both describe something that body weight simply does. Weight has this property built into it, and you can see exactly why with arithmetic you already know.

    Here is the conclusion, before the derivation:

    Body weight = (Calories eaten − Calories burned in activity) ÷ K
    where K is the basal metabolic rate per kilogram of body weight

    The numerator is your habits. The denominator is a constant fixed by your age and sex. So:

    Your weight is determined by your habits, your age, and your sex.

    Put differently: a person who weighs 100 kg is living the habits that hold a body at 100 kg. Change the habits and the weight changes. Return to the old habits and the weight returns. That single sentence is the starting point of everything I do in weight management.

    Part I — The derivation

    1. Three equations nobody disputes

    ① Change in weight = Calories eaten − Calories burned
    ② Calories burned = Calories burned in activity + Basal metabolic rate
    ③ Basal metabolic rate = K × Body weight

    Basal metabolic rate (BMR) is the energy your body spends simply growing and maintaining itself — skin, fat, muscle, bone, and the internal organs. The bigger the frame and the organs, the larger the BMR.

    Plants make this intuitive. A plant spends energy growing and maintaining its leaves, stem, roots and fruit, but it does not move. A plant’s “calories burned in activity” is zero, so all of its expenditure is basal. Human BMR is the same thing: the energy required to build and maintain the body itself.

    K is BMR per kilogram of body weight (kcal per kg per day). Japan’s Ministry of Health, Labour and Welfare publishes it by age and sex in the Dietary Reference Intakes for Japanese (2025):

    Basal metabolic rate per kg (kcal/kg/day) — Japanese reference values
    Age Men Women
    18–29 23.7 22.1
    30–49 22.5 21.9
    50–64 21.8 20.7
    65–74 21.6 20.7
    75+ 21.5 20.7

    A note for readers outside Japan. These are Japanese national reference values, derived from a Japanese population. Your own country’s authority will publish its own figures, and predictive equations such as Schofield or Henry are used elsewhere. The exact number of K is not what matters here. What matters is that K is a constant you cannot change by trying harder — and every step of the argument below holds whatever value you put in.

    Two things about K decide everything that follows. It is fixed by age and sex — no effort of yours moves it. And it falls with age. Hold on to that second point; it returns later with some force.

    2. Folding the three into one

    Substitute ② and ③ into ①:

    Change in weight = Calories eaten − Calories burned in activity − K × Body weight

    There is a problem. The left side is in kilograms; the right side is in kilocalories. They cannot be equal as written. We need a conversion, and the conventional one is 1 g of body fat = 7 kcal, so 1 kg = 7,000 kcal. Written per day:

    7,000 × (Change in weight per day) = Calories eaten − Calories burned in activity − K × Body weight

    This is the central equation. Everything else falls out of it.

    3. Why the loss keeps slowing down

    Take someone who has just adopted a new set of habits. Assume calories eaten and calories burned in activity are now constant under those new habits — this is the whole point of a habit.

    Month 1: 70 kg → 66 kg (4 kg lost). Write the equation over 30 days, using the average weight for the month (68 kg) to compute the basal term. Writing I for daily intake and A for daily activity calories:

    7,000 × 4 = 30 × (I − A) − 30 × K × 68   … (A)

    Month 2: starting from 66 kg, suppose ΔW kg are lost. Same habits, so the average weight this month is 66 − ΔW/2:

    7,000 × ΔW = 30 × (I − A) − 30 × K × (66 − ΔW/2)   … (B)

    Now subtract (B) from (A). Because the habits did not change, I and A cancel completely. Only the basal terms survive:

    7,000 × (4 − ΔW) = 30K × (2 + ΔW/2)

    Solve for ΔW:

    ΔW = (28,000 − 60K) ÷ (7,000 + 15K)

    Now take the number 4 — last month’s loss — and rewrite it over the same denominator. Multiplying numerator and denominator by the same quantity changes nothing, so this is still just 4:

    4 = 4 × (7,000 + 15K) ÷ (7,000 + 15K) = (28,000 + 60K) ÷ (7,000 + 15K)

    Put them side by side. Same denominator. The numerators differ by exactly 120K:

    ΔW = (28,000 − 60K) ÷ (7,000 + 15K)
    4 = (28,000 + 60K) ÷ (7,000 + 15K)ΔW = 4 − 120K ÷ (7,000 + 15K)  <  4 kg

    Keep the exact habits that took 4 kg off in month 1, and month 2 will take off less than 4 kg. Always. The arithmetic leaves no room.

    The reason is plain once you see it. Weight went down, so the basal metabolic rate — which is K × weight — went down with it. Same food, same exercise, but the body now burns less. The deficit shrinks by itself.

    Repeat the identical calculation for month 3, month 4, and so on:

    4 > ΔW₂ > ΔW₃ > ΔW₄ > … > ΔWₙ > 0

    Each month’s loss is smaller than the last, and never turns negative. ΔW converges to zero. The weight does not keep falling. It stops.

    4. Where, exactly, does it stop?

    Go back to the central equation and substitute the condition “weight has stopped changing” — that is, change in weight = 0:

    0 = Calories eaten − Calories burned in activity − K × Body weight

    Solve for weight:

    Body weight = (Calories eaten − Calories burned in activity) ÷ K

    Which is where we came in.

    Notice what vanished: the 7,000. That conversion factor governs only how fast you converge. It has no influence whatsoever on where you converge. This is worth sitting with, because it means every argument about the exact energy density of fat tissue — and there are many — is an argument about the speed, not the destination.

    The numerator is intake and activity: habits. The denominator is a constant set by age and sex. The claim is proved.

    How fast? Years, not weeks. Treat the central equation as a differential equation and the weight approaches its target exponentially, with a time constant of roughly 7,000 ÷ (K × physical activity level) days. For a man aged 30–49 at a “moderate” activity level (1.75), that is about 180 days — a half-life of roughly four months.

    So a new set of habits takes more than a year to finish paying out. “It stopped after three months” does not mean you failed. It means you are not finished.

    5. A worked example: cut 100 kcal a day

    Halve the rice at dinner. Call it 100 kcal a day. Keep it up. What happens?

    The naive prediction. 100 kcal × 365 days = 36,500 kcal. At 7,000 kcal per kg, that is 5.21 kg in the first year — and, presumably, another 5.21 kg the year after.

    What actually happens. Nothing of the sort. As weight falls, BMR falls with it, and the whole thing converges. From the conclusion:

    Weight change = 100 kcal ÷ K

    For a man aged 30–49 (Japanese reference weight 70.0 kg, K = 22.5, activity level 1.75), the honest answer is about −2.5 kg.

    Roughly −2.2 kg by the end of the first year. And then, no matter how long you keep going, it never goes past −2.5 kg.

    Why is it smaller than 100 ÷ K? Strictly, the calories you burn in activity are also proportional to body weight — hauling a heavier body around costs more. Fold that in and the effective denominator becomes K × physical activity level, which is larger, so the total change is smaller. The figure above reflects that.

    What cutting 100 kcal a day buys you is not “5 kg a year.” It is “a body 2.5 kg lighter, for the rest of your life.”

    That is not a failure. It means a new weight has been defined by a new habit. Which is the entire point.

    6. What the equation says about plateaus and rebound

    Why am I not losing weight?

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    Because — the equation is blunt about this — your current habits match your current weight. The change has not gone far enough. You are still eating too much, or moving too little, or both.

    But note carefully: the slowing itself is normal. A plateau is not failure. It is arrival — at the weight your habits specify. If you want to go lower, you must change the habits again. Not try harder at the same ones.

    What rebound actually is

    If habits determine weight, then the contrapositive is immediate: go back to the old habits and the weight goes back too.

    That is rebound. Not weak will. Not a broken metabolism. Not a bad constitution. The equation simply reverted.

    And here is the uncomfortable corollary. Reaching your goal weight and then “stopping the diet” is returning to the old habits. So the weight must come back. There is no version of this where it does not.

    Where diets and drugs fit

    There are effective weight-loss methods, and there are effective weight-loss drugs. In this framework, starting one of them is exactly one thing: adopting a new habit.

    Which means there are precisely two ways to avoid rebound:

    1. Continue the method or the treatment, indefinitely.
    2. Stop only once you already have habits that hold the goal weight.

    Someone going from 70 kg to 50 kg introduces a method capable of −20 kg, and in parallel rebuilds their habits, and stops only when habits that sustain 50 kg are genuinely in place. That is the only path. Everything else is a loan that gets called in.

    Weight-loss treatment is not the destination. It is the runway.

    Getting older on the same habits makes you heavier

    Look at the table again. K falls with age. In the conclusion, a smaller denominator with the same numerator means a larger converged weight.

    So it is not “I gained weight even though I eat the same as I always did.”

    It is “I gained weight because I eat the same as I always did.”

    7. The “speed up your metabolism” myth

    Look once more at equation ③:

    Basal metabolic rate = K × Body weight

    K is a constant set by age and sex. Therefore the only way to raise your BMR is to get heavier. And correspondingly, when a diet works and your weight falls, your BMR falls. It has to.

    “Raise your metabolism to lose weight” does not survive contact with this equation.

    So why does muscle still matter enormously?

    Because you should not be thinking about weight. You should be thinking about volume.

    One gram of fat occupies about 1.10 cm³. One gram of muscle occupies about 0.91 cm³. Replace 10 kg of fat with 10 kg of muscle and the scale does not move by a single kilogram — while the body visibly tightens, by roughly 17% in volume.

    The real goal of weight loss was never the number on the scale. It is less fat and less volume. Which makes building muscle — or at minimum, not losing it — decisive. That requires protein at or above the recommended intake, and resistance training built into ordinary life. Both are in Part III.

    Part II — Where this sits in the literature, and where it is wrong

    Everything above is arithmetic a schoolchild can check. That is its whole value. But arithmetic that nobody has checked against the literature is just confident arithmetic, so here is the check.

    Hall et al. reached the same conclusion — with calculus

    In 2011, Kevin Hall and colleagues at the US National Institutes of Health published a dynamic mathematical model of adult human metabolism in The Lancet 2). Their targets and their findings map almost exactly onto Part I.

    They demolish the static rule — the “3,500 kcal per pound” rule, which says that a fixed daily deficit produces a steady, unending, linear weight loss. That rule had been written into official guidance by the NHS in the UK, the NIH and the American Dietetic Association in the US. It was derived by estimating the energy content of the tissue lost, and it ignores the fact that expenditure falls as the body shrinks — which is precisely the mechanism of Section 3 above.

    What Hall’s model shows instead:

    • Weight converges to a new steady state. Not endless linear loss — a plateau. (Sections 3 and 4.)
    • A rule of thumb: for an average overweight adult, a permanent change of intake of 100 kJ per day (about 24 kcal) produces an eventual weight change of about 1 kg.
    • It is slow. About half the total change arrives in the first year; about 95% takes around three years.

    The last point deserves emphasis, because it is the one that rescues people. A 100 kg sedentary man who cuts 500 kcal a day settles at around 75 kg — but takes years to get there. The static rule predicts he loses 22 kg in the first year alone, and the resulting error can reach about 10 kg within that year. That gap between promise and reality is where most people conclude they have failed, and quit.

    So: the arithmetic of Part I and the calculus of Hall agree on the shape of the answer. Weight converges, and it converges slowly. Nothing in Part I is original. It is a route to a known destination that a patient can walk unaided — which is the only thing I claim for it.

    Where my equation is wrong

    The numbers do not agree, and I would rather say so than have you find out.

    The equation above Hall et al.
    Cut 100 kcal/day → eventual loss −2.5 kg about −4 kg
    Cut 500 kcal/day → eventual loss −12.7 kg about −25 kg (100 kg adult)
    Half-life of the change about 4 months about 1 year

    My equation under-predicts how much you can lose, and over-predicts how fast. Both errors have a single source, and it is worth naming precisely.

    K is an average, and I used it as a marginal

    K = 22.5 kcal/kg/day is a whole-body average: total basal expenditure divided by total body weight. But the tissues that make up that average are wildly unequal. Elia’s classic figures 3), in kcal per kg per day:

    Tissue kcal/kg/day
    Heart, kidneys 440
    Brain 240
    Liver 200
    Skeletal muscle 13
    Adipose tissue 4.5
    Everything else 12

    Now ask the question that actually matters: when you lose one kilogram, which kilogram is it?

    Overwhelmingly, adipose tissue — at 4.5 — plus some skeletal muscle, at 13. Your heart, kidneys, brain and liver do not shrink. They are carrying the enormous coefficients, and they are not the tissue leaving.

    So the metabolic cost of the marginal kilogram is far below the 22.5 average. My equation divides by a denominator that is too big. Therefore it predicts too little weight change. The direction of the error is not in doubt; only the size of it is, and for that you should use Hall’s empirical answer — about 24 kcal/kg/day for the average overweight adult, not my 39.

    Which means: the fatter you are, the more wrong I am

    The gap between the average and the marginal widens with adiposity. Hall’s finding is explicit: adults with more body fat lose more weight for the same intake change, and take longer to get there. Independent work confirms that Elia’s coefficients hold up in non-obese adults but require adjustment in the obese 4).

    So, honestly:

    • Near a standard build, the equation works well. Its answer for a 100 kcal cut — about 2.5 kg — sits close to the figure published in Japan’s own dietary guidelines, which put the plateau at roughly 2 kg.
    • In severe obesity, do not use it. For a 100 kg adult cutting 500 kcal a day it says −13 kg where Hall’s simulation says −25 kg. It will badly undersell what is achievable, and that is the last thing anyone in that position needs to hear.

    One caution in the other direction, for completeness. Hall’s simulations assume the intake cut is actually sustained. In reality it rarely is: weight loss drives a compensatory rise in appetite of roughly 100 kcal per day for every kilogram lost 5). Real-world results therefore tend to land below the model’s ceiling — not because the person is weak, but because the biology is pulling in the other direction the whole way down.

    What survives

    Every number above can move. The structure cannot:

    • Weight converges. It does not fall forever.
    • The destination is set by habits, age and sex.
    • A plateau is not failure.
    • Rebound is the equation reverting, not a character flaw.

    Whatever value you put in the denominator, convergence is preserved. That is the part I would defend anywhere.

    Part III — What to actually do

    If you weigh 70 kg and want to weigh 50 kg, there is exactly one task: acquire the habits of a person who weighs 50 kg. Here is what I ask patients to do.

    1. Make it a hobby

    The moment it becomes a penance or a quota, it is over — and a thing you do not continue is not, by definition, a habit. This is not motivational fluff; it is a technical requirement. Part I showed that reaching the new weight takes years. A method you cannot sustain for years is not a method. Treat the falling number as the day’s small pleasure. Picture, concretely, the version of you at the other end.

    2. Weigh yourself daily — and read the trend, not the day

    Step on the scale after your bath, every day, and record it. Look at the graph, not the number.

    Weight behaves like a stock price. A 0.5 kg jump overnight is completely ordinary and is almost entirely water. Judging yourself on a single day’s reading is judging yourself on noise.

    Get a scale that records automatically. Manual entry fails, far faster than anyone expects. A smartphone-linked scale logs the moment you stand on it. This single choice has an outsized effect on whether you are still doing this in six months — treat it as the investment that turns the habit into “just stand there.”

    3. Movement — build it into the life you already have

    What the guidelines say. Japan’s national physical activity guide (2023) recommends, for adults: 60+ minutes daily of walking or equivalent — about 8,000+ steps; resistance training 2–3 days a week; and avoid long unbroken sitting. For older adults, about 6,000 steps.

    What I actually say. Nobody goes from a standing start to 8,000 steps and stays there. So: put the floor at 5,000 steps, hold it, then walk it up toward 8,000. A target you abandon never becomes a habit, and a habit is the only thing that moves the numerator.

    Do the resistance training. Section 7 explained why: the goal is volume, not the scale. Lose muscle and the weight falls while the body stays soft.

    Do not try to find time to exercise. Carving out a new hour is how people quit in week three. Convert what you already do:

    • On a fine morning, get up an hour early and walk for 30 minutes.
    • Swap the car commute for the train.
    • On the way home, walk one, two, three stops — and get on the train when you have had enough.
    • Take the stairs as far as you can, then take the lift the rest of the way.

    Deciding in advance that you are allowed to stop partway is what makes it survive. (Cycling on flat ground, incidentally, is excellent transport and mediocre exercise. Do not count on it.)

    4. Meal timing — leave a gap

    This is the highest-yield item on the list.

    Body fat is only mobilised for energy once the supply of glucose runs out. Put the other way round: while you keep eating, your fat is never called upon. Hence the gap between meals matters.

    What I suggest is a gap of 15 hours or more, once a day:

    Finish dinner by 21:00 → skip breakfast → eat lunch after 12:00 the next day. (21:00 to 12:00 is 15 hours.)

    Skipping breakfast may feel wrong. But “three proper meals a day” is not automatically optimal for someone trying to lose weight. During a weight-loss phase, securing a genuine gap is the more coherent strategy.

    Please read this before trying it. This approach is not for everyone. If any of the following applies to you, do not do this on your own judgement — speak to your own doctor first. Hypoglycaemia is a real danger.

    • Anyone being treated for diabetes — particularly on insulin or sulfonylureas
    • Anyone on any medication that can cause hypoglycaemia
    • Anyone pregnant or breastfeeding
    • Older adults, underweight people, anyone whose physical reserves are low
    • Anyone with a history of an eating disorder
    • Children and adolescents

    “Hungrier is better” is false. A genuine gap helps. Extreme fasting is counterproductive. Run short of both energy and protein for long enough and the body will break down muscle to make up the difference — at which point your volume does not fall, and the mirror does not change. Hunger that brings dizziness, loss of concentration, or feeling unwell has gone too far. That is a signal, not a score.

    5. Nutrition — cut carbohydrate, protect protein

    Carbohydrate. Until you reach your goal weight, keep it low. Rice, bread, noodles — and sugared drinks, which are the easiest large win most people have available.

    Protein is not negotiable. This is the one line you do not cut. Japan’s 2025 dietary reference intakes recommend:

    Recommended protein intake (g/day)
    Age Men Women
    18–49 65 50
    50–64 65 50
    65+ 60 50

    While losing weight, do not go below this. Diet without enough protein and the body takes the deficit out of muscle rather than fat — which defeats the entire purpose.

    Protein content of common foods
    Food Portion Protein
    Chicken breast, skinless 100 g ~23 g
    Beef or pork, lean 100 g ~20 g
    Fish (salmon, mackerel) 1 fillet (80 g) ~18 g
    Firm tofu 150 g ~10 g
    Natto 1 pack (50 g) ~8 g
    Egg 1 ~6 g
    Milk 200 ml ~7 g

    A chicken breast, a fillet of fish, two eggs and a pack of natto comes to roughly 62 g. Add tofu or milk and a man clears the recommendation.

    Water. Eat less and you also drink less, because a surprising share of your fluid comes from food. Drink calorie-free fluids deliberately.

    Vitamins. Eat less and you get fewer vitamins. A multivitamin covers the gap cheaply.

    6. When you are going to eat anyway

    Not a moral failure — a choice to be made well.

    • Choose the protein-heavy option — grilled meat, yakitori, fish, eggs.
    • If it must be a rice bowl — small rice, extra meat on the side, an egg on top.
    • If it must be ramen — leave as much of the noodle as you can, and load it with pork and egg.

    The principle never changes: take out carbohydrate, put in protein.

    7. An occasional large meal is genuinely fine

    This follows directly from Part I, and it matters more than it looks.

    Weight is determined by habits. Turn that over: a one-off act, which is not a habit, does not determine your weight.

    Suppose one day you eat 2,100 kcal more than you should. At 7 kcal per gram of fat, that is 300 g. And as long as it does not become a habit, the weight drifts back to whatever your habits specify.

    A single big meal does not erase months of work. The thing to watch is never the day. It is the habit.

    8. If you drink

    Choose distilled spirits — a highball is the easy default. Beer, sake and sweet cocktails carry substantially more sugar.

    One caveat, and it is the one people dodge: a low number on the label means nothing if the volume goes up. “It’s zero-sugar” is not a licence for a fourth one.

    Separately from weight, alcohol affects blood pressure, cardiac arrhythmia and the liver. If you can drink less, drink less.

    9. Think back to when you were thinner

    The thinner version of you was, almost certainly, someone who:

    • spent far more hours of the day hungry,
    • had less money in their wallet,
    • and went to the convenience store far less often.

    Weight is set by habits — so recover those habits and you recover that weight. Concretely: keep carbohydrate out of arm’s reach and stop snacking; do not carry much cash; stay out of the convenience store.

    The point is not to summon more willpower. It is to reduce the number of moments in which your willpower is tested. That is the whole trick, and it is why it works.

    10. Ageing on the same habits makes you heavier

    K falls with age. Smaller denominator, same numerator, larger converged weight. So unless you eat progressively less as you age, you will gain — with certainty. Not “despite eating as I always did.” Because of it.

    11. When the weight will not move

    The equation is unsentimental: the change in habits is not yet sufficient. Still eating too much, still moving too little, or both.

    But — again — the slowing is normal. Weight converges; it does not fall forever. A plateau means you have approached the weight your habits define. To go lower, change the habits another notch.

    One exception worth knowing. Rapid or unexplained weight change, in either direction, can indicate an underlying condition — thyroid dysfunction among others. If the numbers do not match the behaviour, that is worth investigating with a doctor rather than pushing harder.

    12. If changing how you eat is genuinely beyond you right now

    Some people read all of the above and know, honestly, that they cannot execute it. That is a legitimate position, and medicine has something to offer.

    GLP-1 receptor agonists are now well established for weight management in people with obesity. They are prescription medicines with real side effects, real costs, and real variation in response between individuals — they require a doctor, and they require assessment of whether they are appropriate for you. What I can offer here is not a recommendation but a framing, and it is the same framing as everything else in this article:

    Starting a drug is adopting a new habit. Nothing more mysterious than that. Which means Part I’s conclusion applies without modification: stop the drug, return to the old habits, and the weight returns. The equation does not care why the numerator changed.

    So the treatment is worth doing when it is used as it should be: alongside a rebuild of the habits, with the goal of stopping only once habits that hold the target weight are actually in place.

    The drug is not the destination. It is the runway.

    13. Rebound, one last time

    “Weight is determined by habits, age and sex” means, with no wriggle room, “return to the old habits and the weight returns.”

    That is all rebound has ever been. Not willpower. Not your constitution. The equation reverted.

    So: acquire habits that hold the goal weight, and only then finish the diet.

    The goal of a diet was never reaching the target weight. It is owning the habits that keep you there.

    Summary

    • Weight is determined by habits, age and sex
    • Hold the same habits and weight does not fall forever — it converges to one point
    • The destination is (intake − activity) ÷ K, and the 7,000 kcal conversion has no effect on where you land
    • Convergence takes years. A plateau is not failure
    • Go back to the old habits and the weight goes back. That is rebound
    • You cannot raise your BMR — but keeping muscle determines your body’s volume
    • K falls with age. The same life makes you heavier
    • This arithmetic under-predicts loss and over-predicts speed, increasingly so with obesity. For accurate individual projections, use Hall’s model 2) or the NIH Body Weight Planner

    If your weight is not what you want it to be, the thing to change is not the weight. It is the habits. Live as the person at your goal weight lives. Stripped to its core, dieting is nothing but that.

    Limits of this article

    • It does not apply to severe obesity or severe underweight. The reference values used are drawn from populations of standard build. See Part II.
    • Basal metabolic rate varies between individuals. This is an approximation built on population averages, and guarantees nothing about any one person.
    • Conditions affecting metabolism change the premises — thyroid disease among them. Rapid weight change should prompt investigation, not effort.
    • Short-term weight swings are largely water and glycogen, and cannot be read as changes in fat.
    • 1 g of body fat = 7 kcal is an approximation. Adipose tissue contains water and other components.

    Fukumoto Clinic practices in Japanese only, in Osaka, Japan. This article is educational and is not an invitation to consult, nor a substitute for individual medical advice. If you are being treated for any condition — diabetes in particular — discuss any change to your eating with your own physician before making it.

    Author

    Atsushi Fukumoto, MD, PhD — Director, Fukumoto Clinic
    Internal Medicine and Cardiology
    Kobe University School of Medicine, 1997
    PhD in Medicine
    Board-Certified Cardiologist (Japanese Circulation Society, reg. no. 15490)
    Full profile

    References

    1. Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan. Dietary Reference Intakes for Japanese (2025). Published October 2024.
      https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
    2. Hall KD, Sacks G, Chandramohan D, Chow CC, Wang YC, Gortmaker SL, Swinburn BA. Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet. 2011;378(9793):826-837.
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21872751/
    3. Elia M. Organ and tissue contribution to metabolic rate. In: Kinney JM, Tucker HN, eds. Energy Metabolism: Tissue Determinants and Cellular Corollaries. New York: Raven Press; 1992:61-79.
    4. Wang Z, Ying Z, Bosy-Westphal A, et al. Evaluation of specific metabolic rates of major organs and tissues: comparison between nonobese and obese women. Obesity. 2012;20(1):95-100.
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21836642/
    5. Polidori D, Sanghvi A, Seeley RJ, Hall KD. How strongly does appetite counter weight loss? Quantification of the feedback control of human energy intake. Obesity. 2016;24(11):2289-2295.
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27804272/
    6. Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan. Physical Activity and Exercise Guide for Health Promotion 2023.

    First published (video): 13 July 2021. This English edition: July 2026.

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。
    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    2026.07.12 , , , ,

  • blog

    ダイエット方法 ―「ダイエット論」に基づいた、具体的な進め方

    ■ この記事のポイント

    本記事は「ダイエット論 ― 体重は生活習慣と年齢と性別で決まる」の
    続編にあたる、実践編です。理論編で導いた結論を、日々の生活にどう
    落とし込むかをご説明します。

    ・体重は「生活習慣 ÷ 年齢と性別で決まる定数」で決まります
    ・食事の間隔を1日15時間以上空けることが、最も効きます
    ・タンパク質は削らない(男性65g・女性50g/日)
    ・停滞は失敗ではなく、その生活習慣で決まる体重に近づいたということです
    ・リバウンドは意志の問題ではありません。元の生活習慣に戻れば体重も戻ります

    70kgの方が50kgになりたいのであれば、やるべきことは一つです。「50kgを維持できる生活習慣」を身につける。 ここから先は、そのために当院が実際にお勧めしている方法です。

    この記事をスマートフォンで読むためのQRコード(大阪・心斎橋 福本医院)体重の収束式:体重=(摂取カロリー-活動で消費したカロリー)÷基礎代謝量基準値

    理論の裏づけ(なぜ痩せなくなるのか、なぜリバウンドするのか)を先に
    お知りになりたい方は、理論編をご覧ください。

    福本医院の公式キャラクター「ふくぼ先生」が指を立てて、「ダイエットを『趣味』にしよう」と呼びかけるイラスト。運動・食事・体重管理を楽しみながら続ける生活習慣改善を表現している。

     

    【動画でご覧になりたい方へ】
    同じ内容を動画でも公開しています。

    1. まず、ダイエットを「趣味」にする

    苦行やノルマだと思った時点で、まず続きません。そして続かないものは、定義上、生活習慣にはなりません。

    体重が減っていくことを、毎日の楽しみとして扱う。ダイエットに成功したご自身を、具体的に思い描いてみてください。

    これは精神論ではありません。「継続できる形にする」という、技術的な要請です。理論編で示したとおり、新しい体重に到達するには年単位の時間がかかります。続かない方法には、そもそも意味がないのです。

    2. 体重測定 ― 毎日測り、トレンドで見る

    毎日お風呂上がりに体重計に乗り、記録する。グラフで評価する習慣をつけましょう。

    大事なのは、その日の数値で一喜一憂しないことです。体重の動きは株価によく似ています。日々の上下ではなく、トレンド(傾向)で判断してください。1日で0.5kg増えることは普通にあります。それはほぼ水分です。

    自動で記録される体重計を

    手入力は、想像以上に続きません。スマートフォン連携に対応した体重計なら、乗るだけで自動的にアプリへ記録されます。

    選ぶときは、通販サイトや検索エンジンで 「体組成計 スマホ連携」 と検索してみてください。iPhoneをお使いなら 「体組成計 ヘルスケア 連携」、Androidなら 「体組成計 Google Fit 連携」 と加えると、より絞り込めます。

    確認すべきは、次の3点だけです。

    • スマートフォンのアプリに、自動で記録されること
    • お使いのスマートフォン(iPhone/Android)に対応していること
    • 体重に加えて、体脂肪率が測れること

    価格帯は幅がありますが、この3点を満たしていれば十分です。体重計選びは、じつは成否をかなり左右します。「乗るだけ」にするための投資だとお考えください。

    福本医院公式キャラクター「いのっち」がスマート体重計で体重を測定し、スマホで体重管理アプリのグラフを確認しているイラスト

    3. 運動 ― 生活のなかに組み込む

    国が推奨している量

    厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について次のように推奨されています。

    • 歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)
    • 筋力トレーニングを週2〜3日
    • 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする

    高齢者では1日約6,000歩以上が目安となります。

    当院がお伝えしていること

    とはいえ、いきなり8,000歩は続きません。続かない目標は、生活習慣になりません。

    ですので当院では、まず1日5,000歩を最低ラインに置いていただき、そこから8,000歩へ近づけていくことをお勧めしています。スマートフォンのアプリ(iPhoneなら「ヘルスケア」)で、毎日の歩数を確認してください。

    筋力トレーニング週2〜3日は、ぜひ取り入れてください。理由は理論編で述べたとおりです。ダイエットの目的は体重計の数字ではなく、身体の体積を減らすこと。筋肉が落ちれば、体重が減っても身体は締まりません。

    「運動の時間」を作ろうとしない

    時間を新たに確保しようとすると、挫折します。すでにある行動を、運動に変えてください。

    • 天気の良い朝、1時間早起きして30分散歩する
    • 車通勤を電車通勤に変える
    • 通勤・通学の帰りに、1駅〜3駅、歩けるだけ歩く(途中から電車やバスに乗ればいい)
    • マンションやビルでは、階段を昇れるだけ昇る(途中の階からエレベーターに乗ればいい)

    「全部やらなくていい、途中まででいい」と決めておくと、続きます。

    なお、平地での自転車は、あまり良い運動にはなりません。移動手段としては優秀ですが、運動量としては期待しないでください。

    有酸素運動とは?|「会話できる強さ」が健康の秘訣|心不全・生活習慣病・ダイエットへの効果を解説

    4. 食事習慣 ― 食事の間隔を空ける

    ここが最も効きます。

    体脂肪は、糖の供給が途切れて初めて、エネルギーとして使われ始めます。逆に言えば、何かを食べ続けている限り、体脂肪の出番はありません。ですから食事と食事の間隔を空けることが重要になります。

    当院がお勧めしているのは、1日15時間以上、食事の間隔を空ける形です。

    夜21時までに夕食を済ませる
    → 朝食は摂らない
    → 翌日12時以降に昼食
    (21時 → 翌12時で、15時間)

    朝食を抜くことに抵抗を感じられるかもしれませんが、「3食きちんと」は、減量を目指す方にとって最適解とは限りません。減量期においては、空腹の時間を確保するほうが理にかなっています。

    【必ずお読みください】この方法が適さない方

    以下に当てはまる方は、自己判断で行わず、必ず主治医にご相談ください。低血糖などの危険があります。

    • 糖尿病で治療中の方(特にインスリン、SU薬を使用中の方)
    • その他、低血糖を起こしうるお薬を使用中の方
    • 妊娠中・授乳中の方
    • 高齢の方、痩せている方、体力の落ちている方
    • 摂食障害の既往がある方
    • 成長期のお子さま

    「空腹であればあるほど良い」ではありません。
    空腹の時間を確保することは有効ですが、極端な絶食は逆効果です。エネルギーもタンパク質も不足した状態が続くと、身体は筋肉を分解してエネルギーに変えます。筋肉が落ちれば身体の体積は減らず、見た目も締まりません。ふらつき、集中力の低下、体調不良が出るような空腹は、行き過ぎです。

    5. 栄養 ― 炭水化物を控え、タンパク質を守る

    炭水化物

    目標体重に達するまでは、炭水化物を極力控えましょう。ご飯、パン、麺、そして砂糖入りの飲料です。

    タンパク質は「削らない」

    ここは削ってはいけない項目です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における、タンパク質の推奨量は次のとおりです。

    タンパク質の推奨量(g/日)
    年齢 男性 女性
    18〜49歳 65 50
    50〜64歳 65 50
    65歳以上 60 50

    減量中こそ、この量を下回らないようにしてください。タンパク質が不足したまま減量すると、身体は脂肪ではなく筋肉を削ります。

    タンパク質を多く含む食品

    食品 目安量 タンパク質
    鶏むね肉(皮なし) 100 g 約 23 g
    サラダチキン 1個(110 g) 約 24 g
    牛肉・豚肉(赤身) 100 g 約 20 g
    魚(鮭・さばなど) 1切れ(80 g) 約 18 g
    木綿豆腐 1/2丁(150 g) 約 10 g
    納豆 1パック(50 g) 約 8 g
    卵 1個 約 6 g
    牛乳 200 ml 約 7 g

    たとえば、サラダチキン1個+魚1切れ+卵2個+納豆1パックで、およそ 62g。ここに豆腐か牛乳を足せば、男性の推奨量にも届きます。

    水分とビタミン

    • 水分:食事量が減ると、食事から摂っていた水分も減ります。ノンカロリーの水分をしっかり摂ってください。
    • ビタミン:食事量が減ればビタミンも不足します。マルチビタミンのサプリメントで補いましょう。

    6. どうしても食べたいときは

    我慢しきれないときの、現実的な選び方です。

    • タンパク質の多いものを選ぶ ― 焼肉、焼き鳥、魚料理、卵料理
    • どうしても牛丼なら ― 小盛り+牛皿+温玉のせ(ご飯を減らし、タンパク質を足す)
    • どうしてもラーメンなら ― 麺をできるだけ残し、チャーシューと味付け卵をトッピング

    考え方はどれも同じです。炭水化物を減らし、タンパク質に置き換える。

    7. たまになら、しっかり食べても大丈夫です

    これは「ダイエット論」から直接導かれる、重要な帰結です。

    体重は生活習慣で決まります。裏返せば、習慣でない一度きりの行動は、体重を決めません。

    仮にある日、2,100kcal 余計に食べてしまったとします。体脂肪1g=7kcal ですから、増えるのは300gだけです。そしてそれが習慣でない限り、体重はやがて今の習慣で決まる体重へ戻っていきます。

    一度の食べ過ぎで、これまでの努力が消えることはありません。気にすべきは1日ではなく、習慣です。

    8. お酒を飲むなら

    蒸留酒を選んでください。特にハイボールがお勧めです。ビール、日本酒、甘いカクテルは糖質が多くなります。

    ただし一点。表示カロリーが低くても、量を飲めば同じことです。「糖質ゼロだから」と本数が増えては、意味がありません。

    なお、飲酒は体重とは別に、血圧・不整脈・肝臓への影響もあります。減らせるのであれば、減らすに越したことはありません。

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    お酒は太る?アルコールのカロリーと脂肪肝の関係

    9. 「昔、痩せていた頃」を思い出してみてください

    痩せていた頃のご自身は、おそらくこうだったはずです。

    • 空腹を感じている時間が、今よりずっと長かった
    • 財布の中のお金が、今より少なかった
    • コンビニに、今ほど行かなかった

    体重は生活習慣で決まるのですから、その頃の生活習慣を取り戻せば、その頃の体重に戻ります。具体的には——

    • 身の回りに炭水化物を置かない。間食をしない
    • 財布にお金をあまり入れておかない
    • コンビニには極力行かない

    意志の力に頼るのではなく、意志を試される場面そのものを減らす。これが続けるコツです。

    10. 歳を取ると、同じ生活では太ります

    理論編の式を思い出してください。分母の基礎代謝量基準値は、年齢とともに下がります。

    分母が小さくなるということは、同じ分子(同じ生活習慣)なら、収束する体重は大きくなるということです。

    つまり、歳を取る分だけ食べる量を減らしていかないと、必ず太ります。「昔と同じように食べているのに太った」のではなく、「昔と同じように食べているから太った」のです。

    11. 体重がなかなか減らないときは

    厳しいようですが、式はこう言っています。

    生活習慣の改善が、まだ不十分です。

    現状では、食べ過ぎか、運動不足か、その両方ということになります。

    ただし、減り方が鈍ること自体は正常です。理論編で示したとおり、体重は減り続けるのではなく、ある一点へ収束していきます。停滞は失敗ではなく、その生活習慣で決まる体重に近づいたということです。さらに減らしたいのであれば、生活習慣をもう一段変える必要があります。

    なお、急激な体重の増減や、生活習慣で説明のつかない変化がある場合は、甲状腺機能異常などの疾患が隠れていることもあります。気になる場合はご相談ください。

    健康診断の受け方と結果票の見方|健診の流れ・A〜F判定・血液検査・「要再検査」と言われたら【大阪・心斎橋 福本医院】

    12. 食事習慣を変えるのが難しい方へ

    ここまでお読みになって、「食事習慣を変えるのが、どうしても難しい」と感じられた方もおられると思います。

    当院では、そうした方を対象に、自由診療(保険適用外)による減量治療を行っています。

    • 自由診療のため、費用は全額自己負担となります
    • BMI 27以上の方が対象です
    • 主な副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲不振などが報告されています
    • 効果や副作用には個人差があります。医師の診察のうえ、適応を判断します
    • 詳細・費用は自由診療のご案内をご覧ください

    ただし、これは「新しい生活習慣を一つ取り入れる」ことにほかなりません。理論編で示したとおり、治療をやめて元の生活習慣に戻れば、体重も元に戻ります。

    ですから当院では、治療と並行して生活習慣を改善していただき、目標体重を維持できる習慣が身についた時点で終了するという進め方をお勧めしています。治療は目的ではなく、生活習慣が変わるまでの助走です。

    なお、糖尿病の治療(保険診療)とは、対象も目的も異なります。糖尿病の治療については、別途ご相談ください。

    13. リバウンドとは何か

    もう一度だけ、確認します。

    「体重は、生活習慣と年齢と性別で決まる」ということは、「元の生活習慣に戻れば、体重も元に戻る」ということです。

    これがリバウンドです。意志の問題でも、体質の問題でもありません。式が元に戻っただけです。

    リバウンドしないために

    目標体重を維持できる新しい生活習慣を身につけてから、
    ダイエットを終了する。

    これが決定的に重要です。ダイエットのゴールは「目標体重に到達すること」ではありません。「目標体重を維持できる生活習慣が定着すること」です。

    まとめ

    • ダイエットを趣味にする ― 続かないものは生活習慣にならない
    • 毎日測り、トレンドで評価する
    • まず1日5,000歩から、国の推奨8,000歩へ。筋トレは週2〜3日
    • 食事の間隔を15時間以上空ける(該当する方は必ず主治医にご相談を)
    • 炭水化物を控え、タンパク質は推奨量を下回らない(男性65g・女性50g)
    • たまになら大丈夫。決めるのは1日ではなく習慣
    • 意志に頼らず、意志を試される場面を減らす
    • 維持できる習慣が身についてから、ダイエットを終了する

    体重の増加は、高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病、さらには心不全のリスクに直結します。減量についてお困りのことがあれば、どうぞ当院にご相談ください。

    理論的な裏づけを詳しくお知りになりたい方は、「ダイエット論 ― 体重は生活習慣と年齢と性別で決まる」をご覧ください。

    この理論をまとめた本を刊行しました

    『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)の表紙

    本記事の内容をまとめた『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)を、2026年9月に刊行しました。Amazon Kindleストアで発売中です。Kindle Unlimitedの対象なので、会員の方は追加料金なしでお読みいただけます。紙の本(A5判・110ページ)は準備中です。

    書誌・出典一覧と、ご自身の条件で将来の体重の目安を計算できる体重予測計算表は、『ダイエット論』の案内ページにまとめています。計算表は、本を読まなくてもお使いいただけます。

    同じ内容をいのねえがたどるカラー漫画も刊行しました。第1巻「私、いつの間に?」と第2巻「ちゃんとやってるのに。」がKindleストアで読めます。詳しくはマンガ『いのねえがダイエット論を読んでみた』第1巻・第2巻の案内ページをご覧ください。

    ダイエット論 ― 体重は「生活習慣と年齢と性別」で決まる

    CKM症候群(心腎代謝症候群)とは?肥満・高血圧から心不全までを循環器専門医が解説

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

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    この記事の監修

    福本医院 院長 福本 淳
    内科・循環器内科
    平成9年 神戸大学医学部医学科卒
    医学博士
    循環器専門医(登録番号 15490)
    経歴について、詳しくはこちら

     

    参考文献

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年10月公表)
      https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
    2. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月) https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf

     

    ※ 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療に代わるものではありません。
    ※ 持病のある方、治療中の方は、実施前に必ず主治医にご相談ください。
    ※ 自由診療による減量治療は保険適用外であり、費用は全額自己負担となります。効果・副作用には個人差があります。

    初出:2021年7月26日(動画公開)/全面改訂:2026年7月

    2026.07.12 , , , ,

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    ダイエット論 ― 体重は「生活習慣と年齢と性別」で決まる

    この記事をスマートフォンで読むためのQRコード(大阪・心斎橋 福本医院)

    この記事について

    本記事は、当院がダイエット診療を行ううえでの理論的根拠を示すものです。数式を用いて体重の決まり方を導くため、やや専門的な内容になっています。

    具体的な減量の方法をお探しの方は、続編の「ダイエット方法 ―『ダイエット論』に基づいた具体的な進め方」を直接ご覧ください。
    ダイエット全般の概要は、「医学的ダイエットの基本|体重は生活習慣で決まる―継続できる減量法とGLP-1治療―」にまとめています。

    「食事制限を続けているのに、途中から体重が減らなくなった」
    「ダイエットをやめたら、あっという間に元通りになった」

    診療の場で、非常に多くの方から伺うお話です。そして多くの場合、それは意志が弱いからでも、体質のせいでもありません。体重というものが、そもそもそういう性質を持っているからです。

    本記事では、体重が何によって決まるのかを、数式によって導きます。用いるのは四則演算のみです。結論から先に示します。

    体重=(摂取カロリー-活動で消費したカロリー)÷基礎代謝量基準値

    【この式の根拠と限界】
    この式は、現在の体重を一時点で正確に言い当てるものではなく、同じ生活習慣を続けたときに長期的に落ち着く体重を考えるための簡易式です。摂取エネルギーと消費エネルギーの差が体重変化を生み、体重が変わると消費エネルギーも変化するため、体重は新しい均衡点へ徐々に近づく、という考え方を単純化しています。Kには厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の基礎代謝量基準値を用いています。体重変化を動的に捉える考え方はHallらの研究と共通しますが、そのモデルをそのまま再現したものではありません。実際の体重変化には個人差があるため、結果は生活習慣を見直すための目安です。詳しい出典は記事末尾の参考文献をご覧ください。
    基礎代謝量基準値(kcal/kg体重/日)
    年齢 男性 女性
    18〜29歳 23.7 22.1
    30〜49歳 22.5 21.9
    50〜64歳 21.8 20.7
    65〜74歳 21.6 20.7
    75歳以上 21.5 20.7

    ※ 基礎代謝量基準値については後述。

     

    分子は生活習慣で決まり、分母は年齢と性別で決まる定数です。すなわち——

    体重は、生活習慣と年齢と性別で決まります。

    言い換えれば、体重が100kgの方は「100kgを維持する生活習慣」で過ごしておられる、ということです。生活習慣が変われば体重も変わり、生活習慣が元に戻れば体重も元に戻ります。

    この一文が、当院のダイエット診療のすべての出発点です。以下、なぜこの式が導かれるのかを、順に示します。

    【動画でご覧になりたい方へ】
    同じ内容を動画でも公開しています。数式の部分は早送りしていただいても、結論は伝わるように構成しています。

    1. 出発点となる三つの式

    いずれも異論の余地のない、三つの式から始めます。

    出発点となる三つの式:体重変化量、消費カロリー、基礎代謝量

    基礎代謝量とは

    基礎代謝量とは、皮膚・脂肪・筋肉・骨といった骨格と、内臓が成長・維持されるために使われるエネルギーです。骨格や内臓が大きいほど、基礎代謝量は多くなります。

    植物で考えると理解しやすくなります。植物は葉、枝、幹、根、花や実を成長・維持するためにエネルギーを使いますが、自ら動きません。つまり植物の「活動で消費したカロリー」はゼロであり、消費カロリーはすべて基礎代謝量ということになります。人間の基礎代謝量も、これと同様に「身体を成長・維持するために必要なエネルギー」です。

    基礎代謝量基準値とは

    基礎代謝量基準値とは、体重1kgあたり1日に必要な基礎代謝量(kcal/kg体重/日)です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に、年齢と性別ごとの数値が示されています(2025年版では「基礎代謝量基準値」と表記されます)。

    基礎代謝量基準値(kcal/kg体重/日)
    年齢 男性 女性
    18〜29歳 23.7 22.1
    30〜49歳 22.5 21.9
    50〜64歳 21.8 20.7
    65〜74歳 21.6 20.7
    75歳以上 21.5 20.7

     

    ここで決定的に重要なのは、これが年齢と性別だけで決まる定数であるという点です。ご本人の努力によって変えられる数字ではありません。

    そして、年齢とともに下がっていくことにもご注目ください。この事実は、後ほど効いてきます。

    以降、この基礎代謝量基準値を K と表記します。

    2. 三つの式を一本にまとめる

    ②と③を①に代入します。

    三つの式を1本にまとめる(体重変化量=摂取カロリー-活動で消費したカロリー-K×体重)

    ここで注意すべき点が一つあります。左辺の単位は「kg」、右辺の単位は「kcal」であり、このままでは等式として成立しません。実際には体重変化に伴うエネルギー量は一定ではありませんが、本記事の簡易モデルでは、便宜上、体重1kgの変化に相当するエネルギー量を7,200kcalと置きます。

    1日あたりで書き直すと、こうなります。

    1日の体重変化量(kg)=(摂取カロリー-活動で消費したカロリー-K×体重)÷7,200

    これが本記事の中心となる式です。ここから二つの結論が導かれます。

    3. なぜ、減り方はだんだん鈍るのか

    新しい生活習慣を始めた方を考えます。摂取カロリーと活動で消費したカロリーは、新しい習慣のもとで一定であるとします。

    1ヶ月目:70kg → 66kg(4kg減)

    30日間の合計で式を立てます。基礎代謝量は、その期間の平均体重で計算します。

    1か月目のA式

    2ヶ月目:66kg から ΔW kg 減ったとする

    同じ生活習慣を続けます。

    2か月目のB式

    A式 - B式

    生活習慣を変えていないため、摂取カロリーと活動で消費したカロリーの項は打ち消し合います。残るのは基礎代謝の項のみです。

    A式からB式を引く

    したがって、

    ΔW=(28,800-60K)÷(7,200+15K)

    ここで、4 という数字を同じ分母で書き直します。

    4=(28,800+60K)÷(7,200+15K)

    両者を比較すると、分子が 120K だけ異なります。すなわち、

    ΔW=4-120K÷(7,200+15K) よって ΔW<4kg

    1ヶ月目に4kg減った生活習慣をそのまま続けても、2ヶ月目に減る量は必ず4kgを下回ります。これが数式から導かれる答えです。

    理由は明快です。体重が減った分だけ、基礎代謝量(= K × 体重)も減少します。同じ食事量・同じ運動量であっても、消費カロリーが目減りするため、エネルギー収支の赤字幅が縮んでいくのです。

    3ヶ月目、4ヶ月目…

    まったく同じ計算を繰り返せば、次が成り立ちます。

    4>ΔW2>ΔW3>ΔW4>…>ΔWn>0(減少量はゼロに収束する)減少量は毎月小さくなり続け、しかし決して負にはなりません。つまりΔW はゼロに収束します。体重は減り続けるのではなく、ある一点で止まるのです。

    4. では、どこで止まるのか

    中心の式に戻り、体重が減らなくなった状態を代入します。

    体重変化量=0 を代入すると、0=摂取カロリー-活動で消費したカロリー-K×体重

    これを体重について解けば、冒頭に示した結論が得られます。

    体重=(摂取カロリー-活動で消費したカロリー)÷基礎代謝量基準値(K)

    注目すべきは、7,200 という換算係数が消えていることです。この係数は「どれくらいの速さで収束するか」を決めるだけで、「どこに収束するか」には一切影響しません。

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    分子は摂取カロリーと活動量、すなわち生活習慣。分母は年齢と性別で決まる定数。以上により、体重が生活習慣と年齢と性別で決まることが示されました。

    5. 具体例:1日100kcalだけ減らすと、どうなるか

    夕食のご飯を半分にする。おおよそ1日100kcalの節約です。これを続けると、どうなるでしょうか。

    素朴な予測

    100 kcal × 365日 = 36,500 kcal。体脂肪1g=7.2kcalですから、7,200で割ると1年で5.07kg減るはずです。

    実際

    そうはなりません。体重が減るにつれて基礎代謝量も減り、収束していくからです。結論の式より、収束先の体重の変化は次のように求まります。

    体重の減少幅=100kcal÷基礎代謝量基準値K

    30〜49歳男性(参照体重70.0kg、K=22.5)で実際に計算すると、こうなります。

    1日100kcalの食事制限を続けた場合の体重変化。素朴な予測では毎年5.07kg減り続けるが、実際は約4.4kg減った65.6kgで収束する

    点線=素朴な予測(直線的に減り続ける)/実線=実際(収束する)
    出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の基礎代謝量基準値を用いて著者作成

    体重は約4.4kg減ったところで頭打ちになります。1年後の時点でおよそ −3.0kg。その後どれだけ続けても、−4.4kg より先には進みません。

    1年目に減るのは約3.0kg。2年目は0.96kg、3年目は0.31kgです。素朴な予測なら2年目も5.07kg減るはずですから、差は2年目の終わりに6kgあまりに開きます。「去年はあれだけ減ったのに」という感覚の正体が、この数字です。

    減り幅が小さくなってきたときは、そこが限界ということではありません。新しい生活習慣をもう一つ加えれば、体重はそこからさらに減っていきます。

    自分の条件で計算してみる

    体重予測計算表

    性別・年齢・現在の体重・生活習慣の変更分を入力すると、3か月後、6か月後、1年後と行き先を計算できます。入力内容は保存されません。

    体重予測計算表を開く

    別画面で開きます。スマートフォンからも利用できます。

    はじめて使う方へ。入力する五つの項目と、結果がどう表示されるかは、体重予測計算表の使い方と画面例で説明しています。

     

    ダイエットで体重がどう減るかを示したグラフ。男性40歳・体重70kgが1日100kcal減らした場合、3か月で68.9kg、6か月で68.1kg、1年後に67.0kgとなり、新しい行き先である65.6kgへ向かってだんだん鈍りながら近づく。

    体重は直線では減りません。だんだん鈍りながら、新しい行き先(この例では65.6kg)に近づいていきます。

    6. この式から言えること ― 停滞とリバウンド

    なぜ痩せないのか

    体重が減らないということは、現在の生活習慣が、その体重に見合っているということです。つまり改善が不十分——今なお食べ過ぎか、運動不足か、その両方である、ということになります。厳しい言い方ですが、式はそう述べています。

    ただし、減り方が鈍ること自体は正常です。停滞は失敗ではありません。その生活習慣で決まる体重に近づいた、というだけのことです。さらに減らしたいのであれば、生活習慣をもう一段変える必要があります。

    リバウンドとは何か

    「生活習慣が体重を決める」ということは、そのまま裏返せば

    「元の生活習慣に戻れば、体重も元に戻る」

    ということです。これがリバウンドの正体です。意志の問題でも、体質の問題でも、代謝が壊れたのでもありません。式が元に戻っただけです。

    目標体重に到達したところでダイエットだけをやめる、というのは「元の生活習慣に戻る」ことにほかなりません。したがって、必ず元の体重に戻ります。

    ダイエット方法・ダイエット薬の位置づけ

    世の中には有効なダイエット方法もダイエット薬もあります。本理論の枠組みでは、それらを始めることは「新しい生活習慣を一つ取り入れる」ことに相当します。

    したがって、リバウンドを避ける道は二つしかありません。

    1. その方法・治療を継続する
    2. 目標体重を維持できる新しい生活習慣が身についてから、終了する

    70kgから50kgへの減量を望まれる方であれば、「−20kgを達成できる方法」を導入しながら、並行して生活習慣を改善し、50kgを維持できる生活習慣が定着した時点で終了する。これが唯一の道筋ということになります。

    ダイエット治療は目的ではなく、生活習慣が変わるまでの助走である——当院がこの立場を取る理由が、ここにあります。

    歳を取ると、同じ生活では太る

    先ほどの表のとおり、基礎代謝量基準値 K は年齢とともに低下します。結論の式において分母が小さくなるということは、同じ分子(同じ生活習慣)であれば、収束する体重は大きくなることを意味します。

    「昔と同じように食べているのに太った」のではありません。「昔と同じように食べているから太った」のです。

    7. よくある誤解 ― 基礎代謝を上げれば痩せる?

    三つ目の式を、もう一度ご覧ください。

    基礎代謝量=基礎代謝量基準値K×現在の体重

    K は年齢と性別で決まる定数です。したがって、基礎代謝量を上げるには、体重を増やすほかありません。そして当然ながら、ダイエットによって体重が減れば、基礎代謝量は減ります。

    「基礎代謝を上げて痩せる」という発想は、この式の上では成立しません。

    それでも筋肉が重要である理由

    では筋力トレーニングは無意味かというと、まったく逆です。体積で考えてください。

    同じ重さでも、筋肉は脂肪より体積が小さい

    体重は1kgも変わらないにもかかわらず、身体は目に見えて締まります。ダイエットの本当の目的は、体重計の数字ではなく、体脂肪を減らし身体の体積を減らすことです。したがって筋肉量を増やす、少なくとも維持することが決定的に重要になります。

    そのためには、タンパク質を推奨量(18〜64歳で男性65g・女性50g)以上摂ることと、生活習慣のなかへの適切な運動の組み込みが必要です。

    8. この理論の限界

    科学的な議論である以上、適用の限界を明示しておきます。

    • 高度の肥満・やせの方には当てはまりません。基礎代謝量基準値は、標準的な体格の集団から得られた値です。
    • 基礎代謝量には個人差があります。本理論は集団の平均値を用いた近似であり、個々人の予測を保証するものではありません。
    • 甲状腺機能異常など、代謝に影響する疾患がある場合は前提が変わります。急激な体重の増減がある場合は、まず疾患の除外が必要です。
    • 体重の増減には、水分やグリコーゲンの変動が大きく寄与します。短期間の変動を、そのまま体脂肪の増減と解釈することはできません。
    • 体脂肪1g=7.2kcalは近似値です。脂肪組織には水分等が含まれるため、この換算を用いています。

    なお、体重が収束するという性質そのものは、国際的にも確認されています。Hall らは数理モデルによって、摂取カロリーを減らしたときの体重が新しい定常状態へ向かうこと、そしてその変化の半分に到達するのに約1年、95%に達するのに約3年を要することを示しました2)。本記事の式が示す収束は、実際にはこれよりさらに緩やかである可能性があります。いずれにせよ、停滞は失敗ではありません。

    これらの限界はありますが、「体重は生活習慣によって決まり、ある一点に収束する」という骨格は変わりません。分母がどのような値であれ、収束するという性質そのものは保たれるからです。

    9. まとめ

    • 体重は生活習慣と年齢と性別で決まる
    • 同じ生活習慣を続ける限り、体重は減り続けず一点に収束する
    • 収束先は(摂取カロリー − 活動で消費したカロリー)÷ 基礎代謝量基準値
    • 元の生活習慣に戻れば体重も戻る。それがリバウンド
    • 基礎代謝量は上げられない。しかし筋肉量の維持が身体の体積を決める
    • 年齢とともに K は下がる。同じ生活では太る

    現在の体重が望ましくないのであれば、変えるべきは体重ではなく、生活習慣です。目標体重の生活習慣で過ごす。ダイエットとは、突き詰めればそれだけのことです。

    具体的にどのように生活習慣を変えていくかについては、続編の「ダイエット方法 ―『ダイエット論』に基づいた具体的な進め方」で詳しくご説明します。

    体重の増加は、高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病、さらには心不全のリスクに直結します。減量についてお困りのことがあれば、どうぞ当院にご相談ください。

    ダイエット方法 ―「ダイエット論」に基づいた、具体的な進め方

    ダイエットの基本 ― 何から始めるか、医療で何ができるか

    お腹が空いていない時に食べると太る理由 ― 人類は“飢餓”に備えて、食べ過ぎた分を蓄えるから ―

    有酸素運動とは?|「会話できる強さ」が健康の秘訣|心不全・生活習慣病・ダイエットへの効果を解説

    お酒は太る?アルコールのカロリーと脂肪肝の関係

    付録:体重予測計算表の数式と導出

    ここでは、体重予測計算表の中で実際に使っている計算式を示します。これは人体のすべてを再現する式ではなく、生活習慣を一定量変えたとき、体重が新しい行き先へ近づく過程を表す簡易モデルです。

    記号の定義

    • W0:計算開始時の体重(kg)
    • W(t):開始からt日後の体重(kg)
    • W∞:行き先(kg)
    • ΔC:1日あたりの生活習慣の変更分(kcal/日)。正の値を減量方向とします。
    • K:年齢・性別ごとの基礎代謝量基準値(kcal/kg体重/日)
    • E:体重1kgの変化に相当すると仮定するエネルギー量。本計算表では7,200kcal/kgとします。

    1.生活を変える前の均衡

    変更前の摂取エネルギーをI、活動による消費エネルギーをAとします。開始時の体重W0が、それまでの生活習慣による行き先にあるなら、

    I − A = K × W0 ……①

    2.生活を変えた後の体重変化

    生活習慣をΔCだけ減量方向へ変えた後、体重がW(t)である日のエネルギー収支は、

    E × dW(t)/dt = I − A − ΔC − K × W(t) ……②

    です。dW(t)/dtは、その時点における1日あたりの体重変化量です。①を②に代入すると、

    E × dW(t)/dt = K ×[W0 − W(t)]− ΔC ……③

    となります。体重が減るほどK×W(t)も小さくなるため、同じ生活を続けても減量速度は次第に遅くなります。

    3.行き先

    体重が動かなくなった状態ではdW(t)/dt=0です。③から、

    W∞ = W0 − ΔC/K ……④

    となります。これが計算表の「行き先」です。

    4.3か月後、6か月後、1年後を求める式

    ③を解くと、途中経過は次の指数関数で表されます。

    W(t) = W∞ +(W0 − W∞)× exp(−K×t/E) ……⑤

    E=7,200と④を代入すると、計算表が実際に使っている式になります。

    W(t) = W0 −(ΔC/K)×[1 − exp(−K×t/7,200)] ……⑥

    exp(x)は自然対数の底eのx乗です。計算表は⑥にt=90、180、365を代入し、3か月後、6か月後、1年後の体重を表示しています。

    5.具体例

    30〜49歳の男性、現在70.0kg、ΔC=200kcal/日ではK=22.5です。

    • 行き先:61.1kg
    • 3か月後(90日):67.8kg
    • 6か月後(180日):66.2kg
    • 1年後(365日):64.0kg

    最終的には開始時から8.9kg減る計算ですが、1年後でもまだ最終値には達していません。K=22.5の場合、最終的な変化量の半分に達するまでの期間は約222日、約7.3か月です。

    6.この式の前提と限界

    この計算表は、①開始時の体重がすでに均衡している、②ΔCが毎日一定である、③Kが計算期間中一定である、④体重1kgあたりのエネルギー量を7,200kcalとする、⑤活動による消費量は体重変化の影響を受けない、という仮定を置いた教育用の簡易モデルです。実際には、体水分、グリコーゲン、体組成、食事誘発性熱産生、活動量、代謝適応、薬剤、病気などが影響します。Hallらのモデルはこれらをより詳しく扱いますが、本計算表はそのモデルを再現したものではありません。結果は体重変化の方向と時間経過を理解するための概算であり、診断や治療方針を決めるものではありません。18歳未満、妊娠・授乳中の方、著しい肥満ややせ、浮腫を伴う病気などでは使用せず、医療者による個別評価を優先してください。

    この理論をまとめた本を刊行しました

    『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)の表紙

    本記事の内容をまとめた『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)を、2026年9月に刊行しました。Amazon Kindleストアで発売中です。Kindle Unlimitedの対象なので、会員の方は追加料金なしでお読みいただけます。紙の本(A5判・110ページ)は準備中です。

    書誌と出典一覧は、『ダイエット論』の案内ページにまとめています。

    同じ内容をいのねえがたどるカラー漫画も刊行しました。第1巻「私、いつの間に?」と第2巻「ちゃんとやってるのに。」がKindleストアで読めます。詳しくはマンガ『いのねえがダイエット論を読んでみた』第1巻・第2巻の案内ページをご覧ください。

    この記事の監修

    福本医院 院長 福本 淳
    内科・循環器内科
    平成9年 神戸大学医学部医学科卒
    医学博士
    循環器専門医(登録番号 15490)
    経歴について、詳しくはこちら

     

    参考文献

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年10月公表)
      https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
    2. Hall KD, Sacks G, Chandramohan D, Chow CC, Wang YC, Gortmaker SL, Swinburn BA. Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet. 2011;378(9793):826-837.
      https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21872751/

    ※ 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療に代わるものではありません。
    ※ 記載の基礎代謝量基準値は、高度の肥満・やせの方には適用できません。
    ※ 糖尿病などで治療中の方は、食事内容の変更前に必ず主治医にご相談ください。

    初出:2021年7月13日(動画公開)/全面改訂:2026年7月

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。
    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

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    2026.07.12 , , , ,

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    入浴・サウナは心臓に良い?悪い? 高血圧・心不全・不整脈・ヒートショックまで循環器専門医が最新研究をもとに解説【2026年版】福本医院(大阪市中央区・心斎橋)

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    この記事のポイント

    • ♨️ 入浴は血圧管理に役立つ可能性
    • ❤️ サウナと心血管疾患の最新研究
    • 🔢 サウナは週何回が目安?頻度と心血管リスクの関係
    • 🩺 高血圧・心不全・不整脈での注意点
    • 🧊 水風呂・外気浴は無理をしない
    • ⚠️ 入浴中の死亡者数は交通事故の約7倍——ヒートショックの真のリスク
    • 🚿 ヒートショックを予防する入浴法
    • 🌏 世界が注目する日本のお風呂文化

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    Key Points

    • ♨️ Hot-water bathing may help support healthy blood pressure
    • ❤️ Latest research on sauna bathing and cardiovascular health
    • 🔢 How often should you use a sauna? Frequency and cardiovascular risk
    • 🩺 Important precautions for hypertension, heart failure, and arrhythmias
    • 🧊 Avoid excessive cold-water immersion and overcooling after sauna
    • ⚠️ Bath-related deaths are approximately 7 times higher than traffic fatalities in Japan
    • 🚿 Safe bathing habits to prevent heat shock
    • 🌏 Japanese bathing culture is gaining worldwide medical attention

     

     

    福本医院公式キャラクターの「いのぱぱ」「いのにい」「いのっち」が夕方の屋内温泉で濁り湯に浸かり、安全な入浴方法を紹介する3Dイラスト。湯温41℃、入浴時間10分の目安を表示し、循環器専門医が推奨する安全な入浴習慣を解説しています。

    福本医院公式キャラクター「いのぱぱ」「いのにい」「いのっち」が、夕方の屋内温泉でリラックス。適切な湯温(41℃以下)と入浴時間(約10分)を守ることは、ヒートショック予防や循環器疾患のある方にも重要なポイントです。

     

    はじめに

    日本人にとって、お風呂は毎日の生活に欠かせない文化です。

    湯船にゆっくり浸かることで体が温まり、疲れが取れたと感じる方も多いでしょう。また近年ではサウナ人気も高まり、「ととのう」という言葉も広く知られるようになりました。

    一方で、

    • 高血圧でもお風呂に入ってよい?
    • 心不全患者はサウナに入れる?
    • 心房細動があっても大丈夫?
    • サウナ後の水風呂は安全?
    • ヒートショックはなぜ起こる?

    など、不安を感じる方も少なくありません。

    近年、フィンランド、日本、欧米を中心に入浴やサウナに関する研究が急速に進み、循環器疾患との関係について多くの科学的知見が蓄積されています。

    この記事では、循環器専門医の立場から、最新の医学研究をもとに、安全な入浴・サウナの楽しみ方についてわかりやすく解説します。

     

    入浴すると体では何が起こる?

    40℃前後のお湯に入ると、体では次のような変化が起こります。

    • 血管が広がる(血管拡張)
    • 血流が増える
    • 心拍数がやや増える
    • 血圧が緩やかに低下する
    • 副交感神経が優位になりリラックスする

    このような反応により、筋肉の緊張がほぐれ、血流改善やリラックス効果が期待されます。

     

    入浴は高血圧に良い?

    近年の研究では、適切な温度・時間での入浴は血圧管理に役立つ可能性が報告されています。

    温熱療法のメタ解析では、サウナや温水浴は収縮期血圧・拡張期血圧の低下や血管内皮機能の改善と関連していました。

    また、日本人を対象とした研究では、週5回以上の入浴習慣は動脈硬化指標や心血管機能の維持と関連する可能性が示されています。

    ただし、

    • 極端な高温
    • 長時間入浴
    • 脱水

    は逆効果になることもあります。

     

    サウナは心臓に良い?

    世界で最も有名なのがフィンランドの前向きコホート研究です。 約2,300人を20年間追跡した結果、サウナ利用頻度が高い人ほど

    • 突然死
    • 心血管死亡
    • 冠動脈疾患死亡
    • 総死亡

    が少ないという関連が報告されました。

    ただし、この研究は観察研究であり、「サウナが寿命を延ばす」と証明したものではありません。 健康的な生活習慣を持つ人ほどサウナを利用していた可能性なども考慮する必要があります。

    週何回が目安?頻度による違い

    同じ研究グループによる2018年のレビュー論文(Mayo Clinic Proceedings)では、サウナ利用頻度と心血管リスクの関係がより詳しく整理されています。

    週1回の利用と比べると、週4〜7回利用するグループでは心血管死亡リスクが約50%低かったという関連が示されています。また、1回あたりの入浴時間が19分以上のグループでは、11分未満のグループと比べてリスクがより低い傾向も報告されています。

    ただし、これらはあくまでフィンランド人男性を対象とした観察データです。日本人への直接の適用には注意が必要です。

    日本人のデータはある?

    日本人を対象とした研究は、欧米のサウナ研究と比べるとまだ数が限られています。ただし、入浴習慣全般については、日本人873人を対象とした研究(Scientific Reports, 2018)で、週5回以上の入浴習慣が動脈硬化指標や心血管機能の維持と関連する可能性が報告されています(参考文献6)。

    日本のお風呂文化は、毎日湯船に浸かるという点でフィンランドのサウナ文化と共通する「習慣的な温熱刺激」という側面を持っています。日本独自の入浴習慣と心血管健康との関係は、今後さらなる研究が期待される分野です。

    なお、サウナ利用の効果を最大限に引き出すには、十分な水分補給・飲酒を避けること・体調に合わせた無理のない利用が前提となります。

     

    福本医院公式キャラクター「いのばあ」と「いのねえ」が木造サウナで気持ちよく汗を流している3Dイラスト。サウナ後の水分補給の大切さを紹介し、安全なサウナ利用を呼びかけています。

    福本医院公式キャラクター「いのばあ」と「いのねえ」がサウナでリラックス。サウナでは汗とともに多くの水分が失われるため、入浴前後の十分な水分補給が大切です。無理をせず、自分の体調に合わせてサウナを楽しみましょう。

     

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    心不全患者はサウナに入れる?

    ここで重要なのが「和温療法」です。

    和温療法は約60℃の低温サウナを用いた医療用温熱療法で、日本で開発されました。

    慢性心不全患者では、

    • 血管内皮機能改善
    • 血流改善
    • 運動耐容能改善
    • 症状改善

    などが報告されています。

    一方、一般的な高温サウナとは条件が異なります。

    急性心不全や症状が不安定な患者さんではサウナは勧められません。

     

    心房細動・不整脈では?

    サウナや入浴そのものが心房細動を起こすという強い証拠はありません。

    しかし、

    • 脱水
    • 飲酒後
    • 長時間サウナ
    • 強い温冷刺激

    では不整脈を誘発しやすくなる可能性があります。

    特に心房細動のある方では、水分補給を十分に行い、無理のない入浴を心掛けましょう。

     

    サウナ後の水風呂は安全?

    水風呂では血管が急速に収縮し、一時的に血圧が上昇します。サウナで下がった血圧が水風呂によって再上昇するというこの変化は、健康な人では通常問題になりませんが、循環器疾患のある方では注意が必要です。

    安定した心疾患患者ではどうか?

    ヨーロッパ予防循環器学会誌(European Journal of Preventive Cardiology, 2016)に掲載されたRadtkeらの研究では、慢性心不全患者・冠動脈疾患患者・健常者を対象に、フィンランド式サウナ(約80℃・20分)のあとに冷水浴(約20℃・1分)を行った際の循環動態を詳しく測定しました(参考文献10)。

    結果として、

    • サウナ中は血圧が低下し、心拍数が上昇
    • 水風呂では血圧が再び上昇し、心拍数はやや低下
    • 安定した慢性心不全・冠動脈疾患患者では、重篤な不整脈や過度な交感神経の亢進は認められなかった

    ことが報告されています。

    この結果は「症状が安定していれば、水風呂が即座に危険というわけではない」という一定の根拠になります。

    ただし、重要な前提条件があります。

    この研究はあくまで「症状が安定した」患者を対象としたものです。以下のケースでは安全性が確認されておらず、水風呂は避けるべきです。

    • 急性心筋梗塞・治療直後
    • 不安定狭心症
    • 急性心不全・症状が不安定な心不全

    また、研究対象は医療管理下の患者であり、日常のサウナ施設での水風呂利用とは条件が異なる点にも注意が必要です。

    外気浴だけでも「ととのう」効果は十分

    水風呂に入らなくても、サウナ後に涼しい場所でゆっくり休憩し、体温を自然に下げる「外気浴」だけでリラックス効果を感じる方は多くいます。循環器疾患のある方や高齢者では、無理に水風呂へ入る必要はありません。

    体調・病状に合わせた判断を

    「自分は水風呂に入っても大丈夫か?」と気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。病状や服薬状況に応じて、安全なサウナ・入浴の楽しみ方をご一緒に考えます。

     

    ヒートショックとは?

    冬場の寒い脱衣所から熱い浴槽へ入ると、血圧が大きく変動します。これが「ヒートショック」です。

    実は、交通事故より多い?入浴中の死亡者数

    あまり知られていませんが、入浴中の死亡事故は日本で非常に多く発生しています。

    消費者庁の推計によると、年間約19,000人が入浴中に亡くなっているとされています(参考文献11)。これは交通事故死亡者数(年間約2,600人・2023年)と比べても大幅に多い数字です。

    その多くは65歳以上の高齢者で、冬場に集中する傾向があります。

    なぜ血圧が急変動するのか?

    ヒートショックが起こるメカニズムはシンプルです。

    • 寒い脱衣所・浴室→血管が収縮→血圧が急上昇
    • 熱い湯船に入る→血管が拡張→血圧が急低下
    • 湯船から急に立ち上がる→さらに血圧が変動

    この急激な血圧の乱高下が、失神・溺水・心筋梗塞・脳卒中につながることがあります。特に高血圧・糖尿病・動脈硬化のある方はリスクが高くなります。

    ヒートショックが起きやすい条件

    以下に当てはまる方は特に注意が必要です。

    • 65歳以上
    • 高血圧・糖尿病・脂質異常症がある
    • 飲酒後に入浴する習慣がある
    • 熱いお湯(42℃以上)が好き
    • 冬場に寒い脱衣所・浴室で着替える
    • 一人で入浴することが多い

     

    安全な入浴方法

    循環器専門医としておすすめする入浴方法です。

    • 湯温40〜41℃
    • 入浴時間10分程度
    • 入浴前後に水分補給
    • 飲酒後は避ける
    • 脱衣所を暖める
    • 急に立ち上がらない
    • 発熱時や脱水時は控える

    高齢者では家族へ一声かけてから入浴するとより安心です。

     

    世界から見た日本のお風呂文化

    日本では毎日湯船に浸かる文化があります。

    欧米ではシャワー中心の国も多く、日本のような毎日の温浴習慣は珍しい存在です。

    近年、日本の入浴文化は医学研究の対象にもなっており、血圧や血管機能、生活習慣病との関連について世界中で研究が進んでいます。

    適切な入浴は、日本が世界に誇る健康文化の一つと言えるかもしれません。

     

    English Summary

    Japanese Bathing Culture and Cardiovascular Health: Evidence-Based Guide by a Cardiologist

    Hot-water bathing is a cornerstone of daily life in Japan, and its cardiovascular effects have become a growing focus of international medical research.

    What happens to the body during bathing? Immersion in water at approximately 40°C causes vasodilation, increased blood flow, mild elevation of heart rate, and gradual reduction in blood pressure, with activation of the parasympathetic nervous system.

    Sauna and cardiovascular mortality A landmark prospective cohort study of 2,315 Finnish men followed for approximately 20 years (Laukkanen et al., JAMA Internal Medicine, 2015) found that higher sauna frequency was associated with lower risks of sudden cardiac death, cardiovascular mortality, coronary artery disease mortality, and all-cause mortality. A subsequent review (Mayo Clinic Proceedings, 2018) reported that sauna use 4–7 times per week was associated with approximately 50% lower cardiovascular mortality risk compared to once-weekly use. These findings are observational and do not establish causation.

    Japanese bathing data A Japanese study of 873 participants (Kohara et al., Scientific Reports, 2018) found that bathing five or more times per week was associated with maintenance of cardiovascular function and arterial stiffness markers.

    Cold-water immersion after sauna A study by Radtke et al. (European Journal of Preventive Cardiology, 2016) examined hemodynamic responses to Finnish sauna followed by cold-water immersion in patients with stable chronic heart failure, coronary artery disease, and healthy controls. No serious arrhythmias or excessive sympathetic activation were observed in stable patients. Cold-water immersion should be avoided in acute myocardial infarction, unstable angina, and acute heart failure.

    Heat shock: a serious public health concern in Japan According to the Consumer Affairs Agency of Japan, approximately 19,000 people die annually in bath-related incidents — roughly seven times the number of traffic fatalities. Most victims are aged 65 or older, with incidents concentrated in winter months. Heat shock is caused by rapid blood pressure fluctuation triggered by moving between cold changing rooms and hot baths.

    Safe bathing recommendations Water temperature: 40–41°C / Duration: approximately 10 minutes / Adequate hydration before and after / Avoid bathing after alcohol consumption / Warm the changing room / Rise slowly to avoid orthostatic hypotension.

    About the author This article was written by Dr. Atsushi Fukumoto, Director of Fukumoto Medical Clinic (Shinsaibashi, Chūō-ku, Osaka, Japan), a board-certified cardiologist (Certification No. 15490), MD, PhD, graduate of Kobe University School of Medicine (1997). The clinic is located in Minami-Senba, within walking distance of Shinsaibashi, Nagahori-bashi, Hommachi, Yotsubashi, Shinmachi, Horikoshi, and Tatematsuri stations and neighborhoods.

     

     

    福本医院からのメッセージ

    日本のお風呂文化は、世界に誇れる健康文化の一つです。

    近年では、入浴やサウナが循環器の健康に与える影響について世界中で研究が進み、その効果や注意点が科学的に明らかになってきました。

    入浴やサウナは、多くの方にとって健康的な生活習慣の一つですが、高血圧、心不全、不整脈などの循環器疾患がある場合には、病状に応じた適切な利用が大切です。

    福本医院では、循環器専門医が患者さん一人ひとりの病状や生活スタイルに合わせて、安全な入浴方法やサウナの利用についてもご相談を承っています。

    これからも最新の医学研究を分かりやすくお伝えし、皆さまが安心して日本のお風呂文化を楽しみながら、健康づくりに役立てられるようサポートしてまいります。

    「自分は入浴しても大丈夫かな?」「サウナに入っても問題ないかな?」と不安な方は、どうぞお気軽にご相談ください。

     

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    よくある質問(FAQ)

    Q1. 毎日お風呂に入ることは健康に良いですか?

    適切な温度・時間での入浴は、リラックスや血流改善に役立つと考えられています。近年の研究では、習慣的な入浴と血圧や心血管機能との関連も報告されています。ただし、発熱時や脱水時などは無理に入浴しないようにしましょう。

    Q2. 理想的なお湯の温度は何℃ですか?

    一般的には40〜41℃程度がおすすめです。熱すぎるお湯では血圧や心拍数が急激に変化することがあるため、高齢者や循環器疾患のある方は特に注意が必要です。

    Q3. 入浴時間はどれくらいが適切ですか?

    10分程度を目安にするとよいでしょう。長時間の入浴は脱水や立ちくらみの原因となることがあります。

    Q4. 朝風呂と夜風呂ではどちらがおすすめですか?

    リラックス効果や睡眠の質の向上を期待する場合は夜の入浴がおすすめです。朝風呂は目覚めを促しますが、熱いお湯や急な立ち上がりには注意しましょう。

    Q5. 高血圧でも湯船に浸かって大丈夫ですか?

    血圧が安定している方であれば、多くの場合は適切な温度・時間で入浴できます。血圧が著しく高い場合や体調が優れない場合は、主治医へ相談しましょう。

    Q6. 入浴すると血圧は上がりますか?下がりますか?

    入浴中は温熱によって血管が広がり、血圧は緩やかに低下することが一般的です。ただし、入浴前後や立ち上がる際には血圧が変動するため注意が必要です。

    Q7. 血圧の薬を飲んでいてもサウナに入れますか?

    病状が安定していれば利用できる場合もありますが、降圧薬により脱水や立ちくらみが起こりやすくなることがあります。十分な水分補給を心掛けましょう。

    Q8. 心不全でも入浴できますか?

    症状が安定した慢性心不全では、適切な入浴が可能な場合があります。一方、急性心不全や症状が悪化している場合は入浴を控え、主治医へ相談してください。

    Q9. 狭心症や心筋梗塞の後でもサウナに入れますか?

    病状が安定している場合は利用できることがありますが、発症直後や治療直後は避ける必要があります。利用を再開する時期は主治医と相談しましょう。

    Q10. 心臓病がある人は温泉旅行へ行っても大丈夫ですか?

    体調が安定していれば、多くの場合は温泉旅行を楽しめます。ただし、長湯や脱水を避け、無理のないスケジュールを心掛けましょう。

    Q11. 心房細動でもサウナは利用できますか?

    症状が安定している方では利用できることがありますが、脱水や過度な温熱刺激は心房細動を誘発する可能性があります。水分補給を十分に行いましょう。

    Q12. サウナで動悸がしたらどうすればよいですか?

    すぐにサウナを出て涼しい場所で休み、水分補給を行ってください。症状が続く場合や胸痛・息苦しさを伴う場合は医療機関を受診しましょう。

    Q13. サウナは不整脈の原因になりますか?

    サウナそのものが不整脈の原因になるという明確な証拠はありません。しかし、脱水や飲酒後、過度な高温環境は不整脈を誘発する可能性があります。

    Q14. サウナ後の水風呂は入った方が良いですか?

    水風呂は急激に血圧や心拍数が変化することがあります。循環器疾患のある方や高齢者では、無理をせず外気浴だけでも十分です。

    Q15. 外気浴だけでも「ととのう」効果は期待できますか?

    はい。サウナ後にゆっくり休憩し体温を自然に下げるだけでも、リラックスしやすいと感じる方が多くいます。

    Q16. 高齢者も水風呂に入って大丈夫ですか?

    急激な温度変化は身体への負担となるため、高齢者では無理に水風呂へ入る必要はありません。

    Q17. ヒートショックとは何ですか?

    寒暖差によって血圧が急激に変動し、失神や心筋梗塞、脳卒中などの原因となることがある状態です。冬場の入浴では特に注意が必要です。

    Q18. ヒートショックを防ぐ方法はありますか?

    脱衣所や浴室を暖める、41℃以下のお湯に10分程度浸かる、水分補給を行う、急に立ち上がらないなどが予防につながります。

    Q19. 冬の入浴で注意することは何ですか?

    寒い脱衣所から急に熱い湯船へ入ることは避けましょう。浴室を暖め、かけ湯をしてから入浴することが大切です。

    Q20. 温泉と普通のお風呂では健康効果は違いますか?

    温泉には泉質による特徴がありますが、温熱による循環への作用は一般的な家庭のお風呂でも期待できます。

    Q21. サウナは毎日入っても大丈夫ですか?

    健康な方では毎日利用する方もいますが、疲労感や脱水を感じる場合は無理をせず休みましょう。

    Q22. サウナではどれくらい汗をかきますか?

    個人差はありますが、1回のサウナ浴で数百mL以上の汗をかくこともあります。入浴前後の水分補給が重要です。

    Q23. 入浴前後の水分補給はなぜ必要ですか?

    入浴やサウナでは汗をかいて体内の水分が失われます。脱水を防ぐため、入浴前後にコップ1杯程度の水を飲むことがおすすめです。

    Q24. 飲酒後にお風呂やサウナへ入ってはいけない理由は何ですか?

    飲酒は脱水や血圧低下、意識障害を起こしやすくし、転倒や溺水事故の危険性が高まります。飲酒後の入浴やサウナは避けましょう。

    Q25. 循環器専門医がおすすめする安全な入浴方法を教えてください。

    40〜41℃のお湯に10分程度浸かり、入浴前後は十分に水分補給を行いましょう。脱衣所を暖め、急に立ち上がらず、体調が悪い日は無理をしないことが、安全に入浴を楽しむポイントです。

     

    参考文献

    1.Laukkanen JA, Khan H, Zaccardi F, Laukkanen T.

    Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events

    JAMA Internal Medicine. 2015;175(4):542-548.

    フィンランド男性2,315人を約20年間追跡した代表的な前向きコホート研究です。サウナ浴の頻度が高い人ほど、突然死・冠動脈疾患死亡・心血管死亡・総死亡のリスクが低いことが報告されました。ただし、観察研究であり因果関係を証明するものではありません。

    http://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25705824/

    2.Laukkanen JA, Laukkanen T, Kunutsor SK.

    Cardiovascular and Other Health Benefits of Sauna Bathing: A Review of the Evidence

    Mayo Clinic Proceedings. 2018;93(8):1111-1121.

    サウナ浴に関する代表的なレビュー論文です。血圧、血管内皮機能、心血管疾患、認知症、総死亡など、これまでの研究成果を総括しています。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29351426/

    3.Heinonen I, Laukkanen JA.

    Effects of Heat and Cold on Health, with Special Reference to Finnish Sauna Bathing

    American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology. 2018;314:R629-R638.

    温熱・寒冷刺激が循環器系へ与える影響をまとめたレビューです。血圧、心拍数、血流、自律神経、血管内皮機能などについて、生理学的メカニズムを詳しく解説しています。https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpregu.00115.2017?rfr_dat=cr_pub++0pubmed&url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org

    4.Pizzey FK, Smith EC, Ruediger SL, et al.

    The Effect of Heat Therapy on Blood Pressure and Peripheral Vascular Function: A Systematic Review and Meta-analysis

    Experimental Physiology. 2021;106(10):2019-2036.

    サウナや温水浴などの温熱療法が血圧や血管機能へ及ぼす影響を解析したシステマティックレビュー・メタ解析です。温熱療法による血圧低下や血管機能改善の可能性が示されています。

    http://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33866630/

    5.Laukkanen JA, Kunutsor SK.

    Is Sauna Bathing Protective of Sudden Cardiac Death? A Review of the Evidence

    Progress in Cardiovascular Diseases. 2019;62(3):288-293.

    サウナ浴と突然心臓死との関連をまとめたレビューです。安全性や考えられる作用機序についても解説されています。

    https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0033062019300763

    6.Kohara K, et al.

    Habitual Hot Water Bathing Protects Cardiovascular Function in Middle-aged to Elderly Japanese Subjects

    Scientific Reports. 2018;8:8687.

    日本人873人を対象とした研究です。週5回以上の入浴習慣は、心血管機能や動脈硬化指標の維持と関連する可能性が示されました。

    http://www.nature.com/articles/s41598-018-26908-1

    7.Yamasaki S, et al.

    Night-Time Hot Spring Bathing Is Associated with a Lower Systolic Blood Pressure among Japanese Older Adults

    Geriatrics. 2024.

    日本の高齢者を対象とした研究です。夜間の温泉入浴習慣は翌朝の収縮期血圧低下と関連していました。

    http://www.mdpi.com/2308-3417/9/1/2

    8.Tai Y, et al.

    Blood Pressure, Pulse Rate, and Skin Temperature During Hot-Water Bathing in Real-world Settings

    Journal of Epidemiology and Health Prevention Medicine. 2024.

    家庭での入浴中の血圧・脈拍・皮膚温を測定した研究です。実際の家庭入浴時に循環動態がどのように変化するかを示しています。

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/ehpm/29/0/29_23-00320/_article/-char/ja

    9.Tei C, et al.

    Waon Therapy for Cardiovascular Disease.

    Circulation Journal. 2009;73(7):1218-1224.

    60℃前後の低温サウナを用いる「和温療法」に関するレビューです。慢性心不全患者で症状や血管内皮機能の改善が報告されています。一般的なサウナとは異なる医療用温熱療法です。

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/74/4/74_CJ-09-0939/_article

    10.Radtke T, Poerschke D, Wilhelm M, et al.

    Acute Effects of Finnish Sauna and Cold-Water Immersion on Haemodynamic Variables and Autonomic Nervous System Activity in Patients with Heart Failure

    European Journal of Preventive Cardiology. 2016;23(6):593-601.

    慢性心不全患者・冠動脈疾患患者・健常者を対象に、サウナ後の水風呂が循環動態へ与える影響を検討した研究です。サウナでは血圧が低下し、水風呂では再上昇しましたが、安定した患者では重篤な不整脈や過度な交感神経亢進は認められませんでした。急性心不全や不安定な循環器疾患患者には適用できません。

    URL
    http://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26152773/

    11.消費者庁

    高齢者の入浴事故を防ぎましょう

    高齢者の入浴中事故やヒートショックを予防するための公的資料です。41℃以下の湯温、10分程度の入浴、水分補給、飲酒後の入浴を避けることなどが推奨されています。

    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/

    12.環境省

    温泉の禁忌症及び入浴又は飲用上の注意等について

    温泉・入浴時の医学的注意事項をまとめた公的資料です。高血圧や心疾患、脱水、長湯などへの注意点が示されており、安全な入浴方法を患者さんへ説明する際の参考になります。

    https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-5_p_11.pdf

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

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    【ラジオ出演】福本医院 院長と総合診療、感染症専門医が生放送で解説|総合診療と感染症の正しい知識 📻 ラジオ関西「寺谷一紀のまいど!まいど!」出演のご報告 心斎橋の内科・循環器内科

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    院長の著書

    『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)の表紙

    ダイエット論 ── 体重の行き先は、一つの式でわかる
    福本医院ライブラリー 第2巻

    食事を減らしているのに途中から減らなくなる。痩せたのに元に戻ってしまう。この二つを、意志の強さではなく仕組みとして説明した本です。体重は生活習慣と年齢と性別で決まります。その関係を、四則演算だけの一本の式にまとめました。サウナや筋トレで代謝は上がるのかといった、診察室でよく受ける質問にも順に答えています。

    本の内容と体重予測計算表を見る

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    【症状・健康診断・ワクチンから探せる】福本医院 医療情報センター|AIチャット対応

    こんにちは。大阪市中央区・心斎橋の福本医院です。

    「動悸がするけど何科を受診すればいい?」
    「健康診断で異常を指摘されたけど大丈夫?」
    「帯状疱疹ワクチンは受けた方がいい?」

    このページでは、福本医院が公開している医療ブログを症状や目的別にまとめています。

     

    この記事をスマートフォンで読むためのQRコード(大阪・心斎橋 福本医院)福本医院公式キャラクターのいのっちが聴診器をかけて指を立て、「AIに質問」と書かれた吹き出しを示しているイラスト

    AIチャットからも検索できます

    福本医院ホームページ右下の「AIに質問」では、24時間いつでもご質問していただけます。

    AIへの質問例

    • 動悸がします。何科ですか?
    • 健診でBNP高値と言われました
    • eGFR 58は大丈夫ですか?
    • シングリックスと生ワクチンの違いは?
    • Apple Watchで不整脈通知が来ました
    • 心電図で異常と言われました
    • 高血圧の薬は一生飲み続けますか?
    • 健康診断の結果を見てほしいです

    こんな内容を検索できます

    • 動悸
    • 胸痛
    • 息切れ
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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

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    この記事のポイント

    • 有酸素運動とは、酸素を使いながら長時間続けられる運動です
    • ウォーキングや自転車、水泳などが代表的です
    • 強度の目安は「会話できる」「息切れしない」レベルです
    • 心拍数では最大心拍数の60〜70%程度が目安です
    • 世界のガイドラインでは週150分以上の運動が推奨されています
    • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・心不全の予防や改善に役立ちます
    スポーツジムでランニングマシーンを使って早歩きをする福本医院公式キャラクターの「いのばあ」と「いのねえ」。いのばあの心拍数は105回/分、いのねえは運動時間30分を表示。二人が「日本代表勝つかしら?」「期待しましょ」と会話しながら有酸素運動を楽しんでいるイラスト。

    有酸素運動は無理なく続けられる早歩きがおすすめ。いのばあといのねえがランニングマシーンで会話を楽しみながら運動している様子を描いたイラストです。

     

    「健康のために運動しましょう」と言われても、

    • どんな運動をすればよいのか
    • どのくらいの強さがよいのか
    • 毎日どれくらい続ければよいのか

    迷う方は少なくありません。

    健康維持やダイエット、生活習慣病の改善に最もおすすめなのが有酸素運動です。

    有酸素運動は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、脂肪肝(MASLD)、慢性腎臓病(CKD)、CKM症候群(心腎代謝症候群)、心不全などの予防や改善に役立つことが、多くの研究で示されています。

    また、適度な有酸素運動を継続することで、動脈硬化の進行を抑え、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスク低下にもつながることが期待されています。

    この記事では、有酸素運動の基本から適切な運動強度、効果的な時間の目安まで、循環器専門医の立場からわかりやすく解説します。

     
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    有酸素運動とは?

    有酸素運動とは、酸素を利用しながらエネルギーを作り出す運動のことです。

    比較的軽い負荷で長時間続けることができるのが特徴です。

    私たちの体は、筋肉を動かすためのエネルギー(ATP)を、主に脂肪や糖から作り出しています。酸素を十分に取り込みながら運動できる強度であれば、脂肪や糖を効率よく分解してエネルギーに変えることができるため、息切れせずに長く運動を続けられます。これが「有酸素運動」と呼ばれる理由です。

    代表的な有酸素運動と、運動強度の目安(METs)は以下の通りです。

    運動の種類

    運動強度の目安(METs)

    散歩(ゆっくり)

    約2.5

    ウォーキング(普通歩行)

    約3.0

    自転車(普通の速さ)

    約4.0〜6.8

    水泳(ゆっくり)

    約6.0

    軽い登山・ハイキング

    約6.0

    エアロビクス

    約6.5

    ジョギング

    約7.0

    出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に掲載のメッツ表をもとに作成。

    ※METs(メッツ)は運動強度の単位で、安静時を1として、その何倍のエネルギーを消費するかを表す目安です。数値が大きいほど運動強度が高くなります。

    心臓や肺に適度な刺激を与えながら全身の筋肉を使うため、健康維持や生活習慣病予防に効果的です。

    無酸素運動との違い

    有酸素運動と対照的なのが無酸素運動です。

    無酸素運動には、

    • 短距離走
    • 全力ダッシュ
    • 筋力トレーニング
    • 重量挙げ

    などがあります。

    有酸素運動は長時間続けられる運動ですが、無酸素運動は短時間で大きな力を発揮する運動です。

    筋力維持や転倒予防のためには筋力トレーニングも重要ですが、生活習慣病予防や脂肪燃焼、心不全管理の基本となるのは有酸素運動です。

    有酸素運動と無酸素運動の境目は?

    運動生理学では、有酸素運動と無酸素運動の境目をAT(Anaerobic Threshold:嫌気性代謝閾値)と呼びます。

    ATを超えると乳酸が増え始め、運動を長時間続けることが難しくなります。

    アスリートでは運動負荷試験でATを測定することがありますが、一般の方が日常生活でATを意識する必要はありません。

    実際には、もっと簡単な目安があります。

    「会話できる強さ」が健康の秘訣

    有酸素運動の強さを判断する最も簡単な方法は、「会話できるかどうか」です。

    有酸素運動の目安としては、

    • 隣の人と会話できる
    • 息切れしない
    • 30分以上続けられる
    • 運動後も強い疲労感が残らない

    程度の強さが適しています。

    一方で、

    • 会話が難しい
    • 息が上がる
    • 数分で疲れてしまう

    場合は、運動強度が高すぎる可能性があります。

    心不全や生活習慣病の改善を目的とする場合は、AT(嫌気性代謝閾値)の80%以下程度の「会話できる強さ」が理想的とされています。

    ゼーゼーと息が切れる運動を短時間行うよりも、会話しながら30分程度続けられる運動の方が、心臓への負担が少なく、脂肪燃焼や生活習慣病の改善にもつながります。

    有酸素運動の目安となる心拍数は?

    「会話できる強さ」と言われても、実際にはどのくらいの運動強度なのか気になる方もいるでしょう。

    有酸素運動の目安としてよく使われるのが心拍数です。

    一般的には、

    最大心拍数 = 220 − 年齢

    でおおよその最大心拍数を推定します。

    そして有酸素運動として推奨される強度は、

    最大心拍数の60〜70%程度

    とされています。

    例えば60歳の方の場合、

    220 − 60 = 160

    最大心拍数は約160回/分です。

    その60〜70%は約96〜112回/分となります。

    この程度の心拍数であれば、多くの場合は会話を続けながら運動することができます。

    ただし、高血圧や心不全、不整脈のある方、心臓の薬を服用している方では心拍数の目安が変わることがあります。

    特にビソプロロールなどのβ遮断薬を服用している方では心拍数が上がりにくいため、心拍数よりも「会話できる強さ」を優先する方が実践的です。

    Apple Watchを活用すると運動強度がわかりやすい

    最近はApple Watchなどのスマートウォッチを利用している方も増えています。

    Apple Watchでは運動中の心拍数をリアルタイムで確認できるため、有酸素運動の強度管理に役立ちます。

    例えばウォーキング中に心拍数を確認し、

    • 会話できる
    • 息切れしない
    • 心拍数が目標範囲内

    であれば、適切な有酸素運動ができている可能性が高いと考えられます。

    反対に、

    • 会話が難しい
    • 息が上がる
    • 心拍数が高すぎる

    場合は、少しペースを落とした方がよいかもしれません。

    Apple Watchは医療機器ではありませんが、日々の運動習慣を見直すきっかけとして非常に便利なツールです。

    福本医院でも、Apple Watchの心拍数記録や心電図記録を持参される患者さんが増えています。

    1日30分が理想と言われる理由

    世界保健機関(WHO)や米国スポーツ医学会(ACSM)は、週150分以上の中等度有酸素運動を推奨しています。

    これは、

    1日30分 × 週5日

    に相当します。

    まとまった時間が取れない場合は、

    • 10分を3回
    • 15分を2回

    に分けても構いません。

    大切なのは、一度に長時間行うことよりも継続することです。

    ダイエットに有酸素運動は効果がある?

    有酸素運動は体重管理やダイエットにも有効です。

    運動を続けることでエネルギー消費量が増え、内臓脂肪や体脂肪の減少につながります。

    さらに、

    • 血糖値改善
    • インスリン抵抗性改善
    • 血圧低下
    • 中性脂肪改善

    などの効果も期待できます。

    肥満やメタボリックシンドローム、CKM症候群の予防や改善にも重要な治療の一つです。

    心不全患者さんにも有酸素運動が勧められる理由

    以前は心不全患者さんには安静が勧められることがありました。

    しかし現在では、病状が安定している心不全患者さんに対しては、有酸素運動が重要な治療の一つと考えられています。

    適切な有酸素運動によって、

    • 運動能力の改善
    • 息切れの軽減
    • 生活の質(QOL)の改善
    • 心不全による入院リスクの低下

    などが期待できます。

    運動中に胸痛や強い息切れ、めまいなどが出る場合は運動を中止し、医師に相談してください。

    高血圧・糖尿病・脂肪肝にも有効

    有酸素運動は、

    など、多くの生活習慣病の予防や改善に役立ちます。

    薬だけに頼るのではなく、

    「食事」「運動」「睡眠」

    を整えることが健康管理の基本です。

    循環器専門医として日々診療していると、生活習慣病の改善に成功される方の多くは、特別なトレーニングをしているわけではありません。

    無理のないウォーキングや自転車などの有酸素運動を習慣化し、自分のペースで長く続けている方がほとんどです。

    有酸素運動は、必ずしも激しく行う必要はありません。

    • エレベーターではなく階段を使う
    • 一駅分歩く
    • 買い物の際に少し遠回りする

    このような日常生活の中での小さな積み重ねも、健康維持に十分役立ちます。

    運動習慣を身につけるうえで大切なのは、短期間だけ頑張ることではありません。

    「頑張ること」よりも、「続けること」。

    それが、高血圧や糖尿病、脂肪肝、CKD、心不全などの予防・改善につながる第一歩です。

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    まとめ

    有酸素運動とは、酸素を使いながら長時間続けられる運動です。

    ウォーキングや自転車、水泳などが代表的で、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、脂肪肝、慢性腎臓病、心不全などの予防や改善に役立ちます。

    運動強度の目安は、

    「会話できる」「息切れしない」

    レベルです。

    頑張りすぎる必要はありません。

    まずは1日30分を目標に、自分のペースで続けられる運動習慣を始めてみましょう。

     

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    よくある質問(FAQ)

    Q. 有酸素運動とは何ですか?

    有酸素運動とは、酸素を利用しながらエネルギーを作り出す運動のことです。ウォーキングや自転車、水泳などが代表的で、比較的軽い負荷で長時間続けられるのが特徴です。

    Q. ウォーキングは有酸素運動ですか?

    はい。ウォーキングは代表的な有酸素運動です。特別な道具が不要で始めやすく、高血圧や糖尿病、肥満の予防・改善にも役立ちます。

    Q. 散歩でも効果はありますか?

    はい。ゆっくりした散歩でも身体活動量を増やす効果があります。健康維持のためには、会話できる程度の少し速めの歩行を意識するとさらに効果的です。

    Q. 有酸素運動は毎日した方が良いですか?

    毎日行う必要はありませんが、継続が大切です。WHOでは週150分以上の中等度有酸素運動が推奨されています。1日30分を週5日程度が目安です。

    Q. 有酸素運動は何分行えば良いですか?

    1回20〜30分程度が目安です。まとまった時間が取れない場合は、10分ずつに分けて行っても構いません。

    Q. 有酸素運動の理想的な心拍数は?

    一般的には最大心拍数(220−年齢)の60〜70%程度が目安です。ただし、最も簡単な目安は「会話できる強さ」です。

    Q. Apple Watchで運動強度はわかりますか?

    Apple Watchでは運動中の心拍数を確認できます。会話ができて、心拍数も目標範囲内であれば、適切な有酸素運動ができている可能性があります。

    Q. 有酸素運動と筋トレはどちらが先ですか?

    どちらでも構いませんが、ダイエットや筋力維持を目的とする場合は筋力トレーニングを先に行い、その後に有酸素運動を行う方法がよく用いられます。

    Q. 高血圧でも運動して大丈夫ですか?

    多くの場合は問題ありません。むしろ有酸素運動は血圧を下げる効果が期待できます。ただし、血圧が著しく高い場合や症状がある場合は医師に相談してください。

    Q. 心不全でも有酸素運動はできますか?

    病状が安定している心不全患者さんでは、有酸素運動が推奨されています。運動能力や生活の質(QOL)の改善につながることが知られています。

    Q. CKD(慢性腎臓病)でも運動して大丈夫ですか?

    はい。多くのCKD患者さんでは適度な有酸素運動が推奨されています。ただし、病状によっては制限が必要な場合もあるため、主治医と相談しましょう。

    Q. 脂肪肝の改善に有酸素運動は有効ですか?

    有効です。有酸素運動は内臓脂肪や肝脂肪の減少に役立ち、MASLD(脂肪肝)の改善につながることが期待されています。

    Q. ダイエットにはウォーキングとジョギングどちらが良いですか?

    どちらも有効ですが、継続しやすい運動を選ぶことが重要です。膝や腰への負担が少ないウォーキングは、多くの方におすすめです。

    Q. 運動中に胸痛や息切れが出たらどうすればよいですか?

    直ちに運動を中止してください。症状が続く場合や繰り返す場合は、循環器内科を受診することをおすすめします。

    Q. 運動すると動悸がします。受診した方がよいですか?

    運動中の軽い脈拍増加は正常ですが、急に脈が速くなる、脈が乱れる、胸痛やめまいを伴う場合は不整脈の可能性もあります。気になる場合は循環器内科にご相談ください。

     

    参考文献・ガイドライン

    1. 2022 AHA/ACC/HFSA 心不全診療ガイドライン

    Heidenreich PA, et al. 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure

    心不全診療の世界標準ガイドラインです。運動療法(Exercise Training)は、心不全患者の運動能力や生活の質(QOL)を改善するため推奨されています。心臓リハビリテーションの重要性についても詳しく解説されています。

    https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001063

    2. ACC(米国心臓病学会)ガイドライン解説

    2022 AHA/ACC/HFSA Heart Failure Guideline: Key Perspectives

    上記ガイドラインの要点解説です。運動療法は心不全患者の身体機能や運動耐容能の改善に有効とされています。

    https://www.acc.org/latest-in-cardiology/ten-points-to-remember/2022/03/29/19/53/2022-aha-acc-hfsa-heart-failure-guideline-gl-hf

    3. HF-ACTION Trial

    O’Connor CM, et al. Exercise Training in Patients With Chronic Heart Failure

    心不全患者2,300人以上を対象にした歴史的臨床試験です。定期的な有酸素運動が運動能力やQOLの改善に有効であることを示しました。

    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0900101

    4. ESC(欧州心臓病学会)心不全ガイドライン

    2021 ESC Guidelines for the Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure

    欧州の心不全診療ガイドラインです。安定した慢性心不全患者では有酸素運動を積極的に推奨しています。心臓リハビリテーションの重要性も強調されています。

    https://academic.oup.com/eurheartj/article/42/36/3599/6358045

    5. WHO身体活動ガイドライン(2020)

    World Health Organization Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour

    成人は週150〜300分の中等度有酸素運動、または75〜150分の高強度運動を行うことが推奨されています。

    「1日30分×週5日」が推奨される根拠となる世界的ガイドラインです。

    https://www.who.int/publications/i/item/9789240015128

    6. JAMA Network Open(2024)

    Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: Systematic Review and Meta-analysis

    6,800人以上を対象としたメタ解析です。有酸素運動は体重減少だけでなく、腹囲や体脂肪率の改善にも有効であることが示されました。

    https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2828487

    7. ACSM Position Stand

    Appropriate Physical Activity Intervention Strategies for Weight Loss and Prevention of Weight Regain for Adults

    米国スポーツ医学会(ACSM)の代表的ポジションステートメントです。

    ダイエット目的では150分/週以上、体重維持には200〜300分/週程度の運動が推奨されています。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19127177/

     

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

    大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅から徒歩2分、なんば(難波)からは1駅です。長堀橋・本町・四ツ橋からも徒歩圏内で、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

     

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

    経歴について、詳しくはこちら

     

    当院について

    【ラジオ出演】福本医院 院長と総合診療、感染症専門医が生放送で解説|総合診療と感染症の正しい知識 📻 ラジオ関西「寺谷一紀のまいど!まいど!」出演のご報告 心斎橋の内科・循環器内科

    【週刊現代掲載】福本医院が「最高の病院&クリニック(心臓・循環器科編)」に掲載されました

     

    院長の著書

    『ダイエット論——体重の行き先は、一つの式でわかる』(福本医院ライブラリー 第2巻)の表紙

    ダイエット論 ── 体重の行き先は、一つの式でわかる
    福本医院ライブラリー 第2巻

    食事を減らしているのに途中から減らなくなる。痩せたのに元に戻ってしまう。この二つを、意志の強さではなく仕組みとして説明した本です。体重は生活習慣と年齢と性別で決まります。その関係を、四則演算だけの一本の式にまとめました。サウナや筋トレで代謝は上がるのかといった、診察室でよく受ける質問にも順に答えています。

    本の内容と体重予測計算表を見る

    2026.06.20 , , , ,

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    CKM症候群(心腎代謝症候群)とは?肥満・高血圧から心不全までを循環器専門医が解説

    この記事のポイント

    • CKM症候群は肥満・高血圧・糖尿病・CKD・心疾患をまとめて考える新しい概念
    • 肥満→生活習慣病→CKD→心不全・脳卒中へ進行する
    • 睡眠時無呼吸症候群も重要なリスク因子
    • ステージ2〜3で見つけることが将来の予防につながる
    • 健診異常は早めに相談を

     

    CKM(心腎代謝)症候群のステージ0〜4をわかりやすく示した図解。ふくぼ先生のイラストを用いて、肥満から高血圧・糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、動脈硬化を経て、心筋梗塞・心不全・脳卒中へ進行する流れとリスクの上昇を説明している。

    CKM(心腎代謝)症候群は、肥満や内臓脂肪から始まり、高血圧・糖尿病・慢性腎臓病(CKD)を経て心血管疾患へ進行します。ステージ3までに見つけて進行を防ぐことが大切です。

     
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    目次

    1. はじめに
    2. CKM症候群(心腎代謝症候群)とは?
    3. CKM症候群はどのように進行する?
    4. CKMステージ分類
    5. 慢性腎臓病(CKD)は心臓病のリスクを高める
    6. 糖尿病と脂肪肝(MASLD)も重要
    7. CKM症候群セルフチェック
    8. こんな健康診断結果の方は要注意
    9. 福本医院でできること
    10. CKM症候群で本当に大切なこと
    11. まとめ
    12. よくある質問(FAQ)
    13. 参考文献

     

    はじめに

    健康診断で

    • 血圧が高い
    • 血糖値が高い
    • コレステロールが高い
    • 脂肪肝を指摘された
    • 腎機能が低下していると言われた

    ことはありませんか?

     

    福本医院の診察室で、いのねえが健診結果票を見ながら、ふくぼ先生から健康診断結果の説明を受けているイラスト。血圧・コレステロール・血糖値・肝機能・腎機能などの健診項目について相談している様子。

    これらは別々の病気のように見えますが、実は互いに深く関連しています。

    2026年、米国心臓協会(AHA)、米国心臓病学会(ACC)、米国糖尿病学会(ADA)、米国腎臓学会(ASN)は、心臓・腎臓・代謝の病気を一体として考える「CKM症候群(心腎代謝症候群)」の診療ガイドラインを発表しました。

    CKM症候群は、これからの生活習慣病診療の中心となる可能性がある新しい考え方です。

    従来は高血圧、糖尿病、慢性腎臓病を別々の病気として治療していました。しかし実際には互いに密接に関連しており、まとめて管理した方が心筋梗塞や心不全を予防できることが分かってきました。

     

    CKM症候群とは?

    CKMとは、

    • C:Cardiovascular(心血管)
    • K:Kidney(腎臓)
    • M:Metabolic(代謝)

    の頭文字を取ったものです。

    高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症、慢性腎臓病(CKD)などが互いに影響し合いながら進行し、最終的に心筋梗塞、脳卒中、心不全などにつながる一連の病態を指します。

    従来は、

    • 循環器内科
    • 糖尿病内科
    • 腎臓内科

    が別々に診療することが多くありました。

    しかし実際には、これらの病気は密接につながっていることが分かってきました。

     

    CKM症候群はどのように進行する?

    CKM症候群は、心臓病、腎臓病、糖尿病が突然発症する病気ではありません。

    多くの場合は、

    肥満・内臓脂肪増加

    ホテルの朝食ビュッフェで、高カロリーな料理やクロワッサンを楽しそうに食べている、黄緑のワンピース姿のちょいぽちゃのいのねえのイラスト。朝日が差し込む明るいホテルレストランで、胸には福本医院のロゴマークが入っている。

    ↓

    高血圧・糖尿病・脂質異常症

    福本医院の公式キャラクター「いのばあ」が、オムロンのBluetooth対応上腕式血圧計を右上腕に装着し、スマートフォンのOMRON connectアプリで家庭血圧を確認しているイラスト。高血圧の家庭管理を表現。

    いのばあが椅子に座り、マンジャロ(チルゼパチド)を腹部に皮下注射しているイラスト

    ↓

    慢性腎臓病(CKD)

    慢性腎臓病を心配する福本医院キャラクター「いのばあ」が椅子に座り、eGFR 38mL/min/1.73m²、タンパク尿2+と記載された検査結果票を見つめて困った表情をしているイラスト。顔や手足に軽いむくみが表現されている。

    ↓

    動脈硬化

    ↓

    心不全・心筋梗塞・脳卒中

    息切れして胸を押さえる福本医院公式キャラクター「いのばあ」(心不全の症状イメージ)

    という流れで徐々に進行します。

    特に内臓脂肪は単なる脂肪の蓄積ではありません。

    炎症や酸化ストレスを引き起こし、

    • 血管
    • 心臓
    • 腎臓

    に負担をかけることが知られています。

    さらに、睡眠時無呼吸症候群(OSA)はこの流れを加速させる可能性があります。

    OSAでは睡眠中に低酸素状態が繰り返されることで、

    • 血圧上昇
    • 交感神経の活性化
    • インスリン抵抗性の増加
    • 全身の炎症

    が生じます。

    その結果、

    • 高血圧
    • 糖尿病
    • 慢性腎臓病(CKD)
    • 心房細動
    • 心不全

    などのリスクが高まることが知られています。

    実際に、肥満、高血圧、睡眠時無呼吸症候群はしばしば同時にみられ、互いに悪影響を及ぼしながらCKM症候群を進行させます。

     

    CKMステージ分類

    ステージ0

    肥満や代謝異常がなく、CKMリスク因子が認められない状態です。

    ステージ1

    過剰な脂肪蓄積や脂肪組織の機能異常が認められる段階です。

    肥満や内臓脂肪蓄積が中心となります。

    ステージ2

    高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病などの代謝リスク因子が出現した状態です。

    健康診断で異常を指摘される方の多くはこの段階に該当します。

    ステージ3

    まだ症状はないものの、動脈硬化や前心不全などの心血管障害が始まっている状態です。

    冠動脈石灰化や心臓バイオマーカー異常などが含まれます。

    ステージ4

    心筋梗塞、狭心症、心不全、脳卒中など、実際に心血管疾患を発症した段階です。

     

    CKM(心腎代謝)症候群のステージ0〜4をわかりやすく示した図解。ふくぼ先生のイラストを用いて、肥満から高血圧・糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、動脈硬化を経て、心筋梗塞・心不全・脳卒中へ進行する流れとリスクの上昇を説明している。

     

    健診結果

    CKMステージ

    BMI25以上

    ステージ1

    高血圧

    ステージ2

    HbA1c高値

    ステージ2

    eGFR低下

    ステージ2

    心不全

    ステージ4

     

    慢性腎臓病(CKD)は心臓病のリスクを高める

    慢性腎臓病は単なる腎臓の病気ではありません。

    eGFR低下や尿蛋白がある方では、

    • 心筋梗塞
    • 心不全
    • 脳卒中

    のリスクが高くなることが知られています。

    今回のガイドラインでは、

    • eGFR
    • 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)

    の定期的な評価が推奨されています。

    実際には、CKD患者さんの多くは腎不全よりも心血管疾患で生命予後が左右されます。

    そのため腎臓だけでなく、心臓も同時に評価することが重要です。

     

    糖尿病と脂肪肝(MASLD)も重要

    糖尿病患者さんでは、

    MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)

    の評価も重要です。

    脂肪肝は単なる肝臓の病気ではなく、

    • 糖尿病
    • 動脈硬化
    • 心血管疾患

    と深く関係しています。

    ガイドラインでは、

    FIB-4 index

    を用いた肝線維化リスク評価が推奨されています。

     

    福本医院のふくぼ先生が、小型ポケットエコーを使用して、病衣姿でベッドに横になったいのぱぱのお腹を腹部エコー検査している3Dイラスト。「脂肪肝ですねぇ」という吹き出し付き。

    健康診断で脂肪肝を指摘された方へ。福本医院では、腹部エコーやFIB-4 index、MRIを用いて、脂肪肝や肝線維化リスクを評価しています。

     

    CKM症候群のセルフチェック

    以下の項目に当てはまるものはありますか?

    □ 高血圧がある

    □ 糖尿病がある

    □ LDLコレステロールが高い

    □ BMI25以上である

    □ 睡眠時無呼吸症候群がある

    □ eGFRが60未満と言われた

    □ 尿蛋白を指摘された

    □ 脂肪肝と言われたことがある

    □ 心房細動がある

    3項目以上当てはまる方は、CKM症候群のリスクが高い可能性があります。

     

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    こんな健診結果の方は要注意

    • 血圧140/90以上
    • HbA1c 6.5%以上
    • LDL 140以上
    • eGFR 60未満
    • 尿蛋白陽性
    • BMI25以上

     

    福本医院でできること

    福本医院では、

    • 健康診断
    • 高血圧診療
    • 糖尿病診療
    • 心電図検査
    • 心エコー検査
    • ホルター心電図検査(最長7日間)
    • 睡眠時無呼吸症候群検査
    • 慢性腎臓病評価

    を行っています。

    生活習慣病を別々の病気としてではなく、心臓・腎臓・代謝をまとめて評価することを大切にしています。

    リリー看護師が、上半身裸のいのぱぱの胸にOMRON Heartnoteを装着し、防水フィルムを貼っている様子を描いた福本医院オリジナルキャラクターのイラスト。

    自宅のベッドで簡易PSG検査(簡易睡眠時無呼吸検査)を受けながら、いびきをかいて眠っている「いのぱぱ」のイラスト。鼻カニューレと指の酸素センサーを装着している。

     

    CKM症候群で本当に大切なこと

    CKM症候群の目的は、心筋梗塞や脳卒中、心不全が起こってから治療することではありません。

    これらを発症する前に見つけ、予防することです。

    CKMステージ4は、

    • 心筋梗塞
    • 狭心症
    • 心不全
    • 脳卒中

    などを発症した状態です。

    命に関わるだけでなく、後遺症による生活の質の低下や寝たきりにつながることもあります。

    一方で、ステージ2やステージ3の段階では、自覚症状がほとんどないことも少なくありません。

    しかし、この段階で適切な治療や生活習慣改善を行うことで、

    • ステージ2からステージ1への改善
    • ステージ3からステージ4への進行予防

    が期待できます。

    高血圧、糖尿病、脂肪肝、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群は、それぞれ別の病気ではありません。

    将来の心不全や脳卒中につながる可能性がある「CKM症候群」の一部として考えることが重要です。

    健康診断で異常を指摘された方は、「まだ症状がないから大丈夫」ではなく、「今が予防のチャンス」と考えていただければと思います。

     

    まとめ

    CKM症候群(心腎代謝症候群)は、肥満、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患を一体として考える新しい概念です。

    健康診断で異常を指摘された段階から適切な治療や生活習慣改善を行うことで、将来の心筋梗塞や心不全、脳卒中の予防につながる可能性があります。

    気になる症状や健診異常がある方は、お気軽にご相談ください。

     

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    よくある質問(FAQ)

    Q. CKM症候群とは何ですか?

    CKM症候群(心腎代謝症候群)は、心臓(Cardiovascular)、腎臓(Kidney)、代謝(Metabolic)の病気を一体として考える新しい概念です。

    Q. CKM症候群は新しい病気ですか?

    病気そのものが新しいわけではありません。肥満、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患の関連性をまとめて捉える考え方です。

    Q. CKM症候群の原因は何ですか?

    肥満や内臓脂肪の蓄積を背景に、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが相互に影響しながら進行します。

    Q. CKM症候群は危険ですか?

    進行すると心筋梗塞、心不全、脳卒中など重大な病気につながる可能性があります。

    Q. CKM症候群は治りますか?

    早期であれば生活習慣改善や適切な治療によって改善が期待できます。

    Q. CKM症候群は何科を受診すればよいですか?

    内科、循環器内科、糖尿病内科、腎臓内科などが対象ですが、総合的な評価が重要です。

    Q. CKMステージ2とは何ですか?

    高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病などのリスク因子が出現した状態です。

    Q. CKMステージ3とは何ですか?

    自覚症状はなくても動脈硬化や前心不全などが始まっている状態です。

    Q. CKMステージ4とは何ですか?

    心筋梗塞、狭心症、心不全、脳卒中などを発症した状態です。

    Q. 健康診断で血圧が高いと言われました。CKM症候群ですか?

    高血圧はCKM症候群の重要なリスク因子です。ほかの異常も含めて評価が必要です。

    Q. 健康診断でeGFR低下を指摘されました。どうすればよいですか?

    慢性腎臓病(CKD)の可能性があります。再検査や尿検査を受けることをおすすめします。

    Q. 尿蛋白はCKM症候群と関係ありますか?

    あります。尿蛋白は腎障害のサインであり、心血管疾患リスクとも関連しています。

    Q. 脂肪肝はCKM症候群に含まれますか?

    含まれます。MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)はCKM症候群と深く関係しています。

    Q. 睡眠時無呼吸症候群はCKM症候群と関係ありますか?

    あります。高血圧、糖尿病、心不全、心房細動などのリスクを高めることが知られています。

    Q. BMIが25以上だとCKM症候群ですか?

    BMI25以上は肥満に該当しますが、ほかのリスク因子の有無も含めて判断します。

    Q. CKM症候群とメタボリックシンドロームの違いは何ですか?

    CKM症候群はメタボに加え、慢性腎臓病や心血管疾患まで含めて考える概念です。

    Q. CKM症候群は若い人でもなりますか?

    はい。肥満や生活習慣の変化により若年層でも増加しています。

    Q. CKM症候群の予防法はありますか?

    減量、運動、減塩、禁煙、適切な睡眠、生活習慣病の治療継続が重要です。

    Q. Apple WatchでCKM症候群は分かりますか?

    CKM症候群そのものは分かりませんが、不整脈や睡眠時無呼吸症候群の発見につながる場合があります。

    Q. 福本医院ではCKM症候群の相談ができますか?

    健康診断、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、心不全リスクなどを総合的に評価しています。

     

     

    参考文献

    1. Ndumele CE, Newby DE, de Boer IH, et al.

    2026 AHA/ACC/ADA/ASN Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of Cardiovascular-Kidney-Metabolic Syndrome.
    Circulation. 2026.

    【解説】
    CKM症候群に関する初の診療ガイドライン。AHA、ACC、ADA、ASNが合同で策定し、心血管疾患・腎疾患・代謝疾患を統合的に管理する新たな診療指針を示した。

    https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001453

    2. Ndumele CE, Newby DE, de Boer IH, et al.

    2026 AHA/ACC/ADA/ASN Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of Cardiovascular-Kidney-Metabolic Syndrome.
    Journal of the American College of Cardiology (JACC). 2026.

    【解説】
    Circulationと同時掲載されたJACC版。循環器領域の観点からCKM症候群の診断・予防・治療戦略を詳述している。

    https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2026.03.056

    3. Ndumele CE, Rangaswami J, Chow SL, et al.

    Cardiovascular-Kidney-Metabolic Health: A Presidential Advisory From the American Heart Association.
    Circulation. 2023;148:1606-1635.

    【解説】
    CKM症候群という概念を初めて提唱したAHAのプレジデンシャルアドバイザリー。2026年ガイドラインの基盤となった重要文献。

    https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001184

    4.Ndumele CE, Rangaswami J, Chow SL, et al.

    A Synopsis of the Evidence for the Science and Clinical Management of Cardiovascular-Kidney-Metabolic Syndrome: A Scientific Statement From the American Heart Association.
    Circulation. 2023;148:1636-1664.

    【解説】
    CKMステージ0〜4の分類、スクリーニング方法、予防・治療戦略の科学的根拠をまとめたAHA声明。2026年CKMガイドラインの重要な土台となった文献。

    https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001186

    5. Khan SS, Matsushita K, Sang Y, et al.

    Development and Validation of the American Heart Association Predicting Risk of Cardiovascular Disease Events (PREVENT) Equations.
    Circulation. 2024;149:430-449.

    【解説】
    AHAが新たに提唱したPREVENTリスク予測モデルの原著論文。BMI、eGFR、HbA1cなどを含めた包括的な心血管リスク評価を可能にした。

    https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.123.067626

    6. American Heart Association

    PREVENT™ Online Calculator

    【解説】
    PREVENTリスクスコアを実際に計算できるAHA公式ツール。CKMガイドラインでも推奨されている。

    https://professional.heart.org/en/guidelines-and-statements/prevent-calculator

    7. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)

    KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease

    【解説】
    慢性腎臓病(CKD)の国際標準ガイドライン。eGFRと尿アルブミン(UACR)を用いたリスク評価が推奨されている。

    https://kdigo.org/guidelines/ckd-evaluation-and-management/

    8. American Diabetes Association

    Standards of Care in Diabetes—2026

    【解説】
    糖尿病診療に関する最新の国際標準ガイドライン。GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の位置づけを理解する上で重要。

    https://diabetesjournals.org/care/issue/49/Supplement_1

     

    福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

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    動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

     

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    この記事の監修

    福本医院

    院長 福本 淳

    内科・循環器内科

    平成9年 神戸大学医学部医学科卒

    医学博士

    循環器専門医(登録番号15490)

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