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【進化する脂質異常症の治療】 ―コレステロールだけで語れない、心臓と代謝のリスク管理―
✅ 最近、健康診断で「脂質異常症」と言われた方へ
「LDL(悪玉)コレステロールが高いですね」
「中性脂肪が多いですね」
こんな言葉にドキッとされたことはありませんか?
実は、“脂質異常症”は単にコレステロールの話だけではありません。糖尿病、肥満、肝臓の脂肪、さらには動脈硬化や心筋梗塞に直結する重要なサインでもあるのです。
🔬 脂質異常症は「代謝異常」の一部です
近年の研究では、血液中の脂質バランスの異常(高LDL、低HDL、高トリグリセリド)は、インスリン抵抗性や**肝臓・筋肉に脂肪がたまる“異所性脂肪”**とも深く関係していることがわかってきました。
これは、脂質異常が単なる「血液の数値異常」ではなく、全身の代謝の乱れ、つまり生活習慣病の根幹であることを意味します。
🧬 放置するとどうなる?
脂質異常を放っておくと、以下のような疾患のリスクが高まります:
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虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
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脳梗塞
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非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
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2型糖尿病
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慢性腎臓病
つまり、「まだ症状がないから大丈夫」は大きな誤解です。
コレステロールの蓄積により血管が狭くなり、血流が阻害されている様子を示しています。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の原因となります。
💊 現代の脂質異常治療はここまで進んでいます
世界的な医学誌「The Lancet」や「NEJM」でも、以下のような新しい薬剤や戦略が紹介されています:
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スタチン:LDLを効果的に下げる基本薬
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エゼチミブ:コレステロールの吸収を抑制
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PCSK9阻害薬:注射製剤で大幅なLDL低下を実現
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トリグリセリドやLipoprotein(a)を標的とする新薬も登場
さらに、肝臓の脂肪を減らす生活習慣改善や薬物療法が注目されています。
🏥 福本医院でできること
福本医院では、以下のような脂質異常に対する診療を行っています:
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採血検査による脂質バランスチェック
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食事・運動・睡眠のアドバイス
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体脂肪・内臓脂肪測定
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薬物治療(スタチン・エゼチミブ・その他)
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糖尿病や肝機能との総合的評価
心筋梗塞や動脈硬化が気になる方、健康診断で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
📚 参考文献
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1. Dyslipidemia in type 2 diabetes mellitus
著者: Arshag D. Mooradian
掲載誌: Nature Reviews Endocrinology, 2009年
要点: このレビューでは、2型糖尿病における脂質異常症の特徴、病態生理、治療戦略について詳述されています。特に、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、小型で密度の高いLDL粒子の増加といった、糖尿病に特有の脂質異常パターンに焦点を当てています。また、スタチン療法の有効性や、複数の薬剤を組み合わせた治療の必要性についても論じられています。
2. Pharmacological lipid-modification therapies for prevention of ischemic cardiovascular events: current and future options
著者: Kausik K. Ray, Henry N. Ginsberg, et al.
掲載誌: The Lancet, 2019年
要点: このレビューでは、虚血性心血管イベントの予防を目的とした脂質修飾療法の現状と将来の選択肢について評価しています。スタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害薬などの既存の治療法に加え、リポタンパク質(a)やトリグリセリドを標的とした新たな治療法の可能性についても論じられています。
3. Ectopic Fat in Insulin Resistance, Dyslipidemia, and Cardiometabolic Disease
著者: Samuel Klein, et al.
掲載誌: The New England Journal of Medicine, 2014年
要点: このレビューでは、インスリン抵抗性、脂質異常症、心代謝性疾患における異所性脂肪の役割について詳述されています。特に、肝臓や筋肉などの非脂肪組織への脂肪蓄積が代謝異常に与える影響や、これらの状態が心血管リスクを高めるメカニズムについて解説されています。
2025.03.30 HDL, LDLコレステロール, スタチン, 中性脂肪, 予防医療, 内臓脂肪, 動脈硬化, 大阪市中央区, 循環器内科, 心斎橋, 心筋梗塞, 心臓病, 生活習慣病, 福本医院, 糖尿病, 脂質バランス, 脂質異常症, 血液検査, 食事療法, 高脂血症
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【心斎橋 福本医院】狭心症・心筋梗塞:虚血性心疾患とは?症状・検査・治療法までわかりやすく解説!
虚血性心疾患とは?
虚血性心疾患(IHD: Ischemic Heart Disease)は、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が届かず、酸素不足になることで生じる疾患です。代表的なものに「狭心症」や「心筋梗塞」があります。
心筋に酸素を届ける冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり詰まったりすると、胸の痛みや圧迫感といった症状が現れます。日本でも高齢化の影響で患者数は増加傾向にあり、早期発見・早期治療が重要です。
主な症状
以下のような症状がある場合、虚血性心疾患の可能性があります:
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胸が締め付けられるような痛み(特に運動時)
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胸の圧迫感や重苦しさ
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左腕や顎、背中に広がる痛み
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呼吸困難
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冷や汗、めまい、吐き気
症状は「数分で治まる軽いもの」から、「命に関わる緊急状態」まで様々です。特に高齢者や糖尿病の方では、痛みを感じにくいこともあるため注意が必要です。
検査について
当院では、以下の検査を組み合わせて診断を行っています:
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心電図(安静時・運動負荷)
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心エコー検査
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胸部レントゲン
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血液検査(心筋逸脱酵素、LDL・HbA1cなど)
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心臓CT・冠動脈CT検査
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必要に応じて心臓カテーテル検査
特に心臓CTは、冠動脈の狭窄を評価できる有用な検査です。最近では被曝量も低減されました。
治療法
症状の重症度や冠動脈の状態に応じて、以下の治療を行います:
1. 薬物治療
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抗血小板薬(アスピリンなど)
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硝酸薬(ニトロ)
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β遮断薬、Ca拮抗薬
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スタチン(脂質低下薬)
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ARB/ACE阻害薬(高血圧・心不全予防)
2. カテーテル治療(PCI)
細くなった冠動脈を風船やステントで広げる治療です。入院期間が短く、負担の少ない治療法です。
3. 冠動脈バイパス手術(CABG)
複数の血管が詰まっている場合や、左主幹部病変がある場合には手術が適応となります。
虚血性心疾患は「生活習慣病」
以下のような因子がリスクを高めます:
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高血圧
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高コレステロール
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糖尿病
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喫煙
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運動不足
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ストレス
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睡眠不足
当院では、再発予防のための生活習慣改善プログラムや栄養指導も行っています。
当院でのフォローアップ
当院では、虚血性心疾患の早期発見・再発予防に力を入れています。
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定期的な心電図と血液検査
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専門医による動脈硬化のリスク評価
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心臓リハビリテーションのご案内も可能
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手術後・カテーテル治療後の外来フォローも対応
紹介状がなくてもご相談いただけます。
参考文献
1. Journal of the American College of Cardiology(JACC)
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記事タイトル: 「Evolving Management Paradigm for Stable Ischemic Heart Disease」
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概要: このレビューでは、安定型虚血性心疾患の管理における薬物療法と手技的アプローチの統合が、患者の転帰を最適化する可能性について論じられています。
2. Nature Reviews Cardiology
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記事タイトル: 「Clinical quantitative cardiac imaging for the assessment of myocardial ischaemia」
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概要: このレビューでは、心筋虚血の評価における心臓画像診断の役割について、SPECT、PET、MRI、心エコー、CTなどの各モダリティの利点と限界を概説しています。
3. International Journal of Molecular Sciences(MDPI)
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記事タイトル: 「Ischemic Heart Disease and Heart Failure: Role of Coronary Ion Channels」
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概要: このレビューでは、冠動脈のイオンチャネルが虚血性心疾患および心不全の病態生理において果たす役割について詳述されています。
日本循環器学会ガイドライン
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タイトル: 「慢性冠動脈疾患診療ガイドライン(2023年改訂版)」
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概要: このガイドラインは、慢性冠動脈疾患(虚血性心疾患を含む)の診療に関する最新のエビデンスと推奨を提供しています。
最後に
胸の違和感や息切れを感じたら、それは心臓からのサインかもしれません。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
2025.03.29 冠動脈CT, 動脈硬化, 大阪 心臓病, 循環器内科, 心エコー, 心斎橋 内科, 心斎橋 循環器専門医, 心筋梗塞, 心臓カテーテル, 心臓病, 心電図, 息切れ 原因, 狭心症, 福本医院, 紹介状不要 心臓, 胸が苦しい, 胸の痛み, 虚血性心疾患
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心臓弁膜症とは?診断・治療の最前線|早期発見と選べる治療法について解説
心臓には、血液の流れを一方向に導くための「弁」が4つあります。この弁がうまく開閉しなくなる病気が「心臓弁膜症」です。代表的なものに「大動脈弁狭窄症」「僧帽弁閉鎖不全症」などがあります。
💡どんな症状が出るの?
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息切れや動悸
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むくみ
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胸の痛みや圧迫感
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疲れやすさ など
年齢とともに進行することが多く、高齢者では特に注意が必要です。
🔍 どうやって診断するの?
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聴診器による心雑音の確認
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心エコー(超音波)検査:弁の動きをリアルタイムで評価します
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必要に応じて心臓CTや心臓カテーテル検査も行います
Mayo Clinicのレビューでは、心エコーが診断の中心であるとされています。
🩺 どんな治療があるの?
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経過観察:軽症では定期的なフォローアップ
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薬物治療:症状緩和や合併症予防
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手術による弁置換・弁形成術
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カテーテル治療(TAVIなど):高齢者や開胸手術が難しい方に適応
Circulation誌のガイドラインでも、症状と弁の重症度に応じて治療法を選ぶ重要性が強調されています。
最近ではAIを用いた診断支援も始まり、より早期かつ的確な対応が期待されています(British Journal of Cardiologyより)。
TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を行うカテーテル室の全景。大腿動脈アプローチにより、人工弁(右下拡大図)が心臓まで導かれています。
🏥 当院では
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心エコーやCTなど、非侵襲的検査に力を入れています
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心臓外科・循環器内科と連携し、適切な治療へつなぐ体制を整えています
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手術後のワーファリン管理や通院フォローも可能です
「最近、息切れしやすい」「胸が苦しい気がする」など、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
🔍 参考文献
1. Valvular Heart Disease: Diagnosis and Management
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雑誌名:Mayo Clinic Proceedings
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発行年:2010年
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概要:この論文は、心臓弁膜症の診断と管理に関する包括的なレビューを提供しています。特に、心エコー図検査の役割や、重度の大動脈弁狭窄症(AS)の管理戦略について詳述しています。
2. 2020 ACC/AHA Guideline for the Management of Patients With Valvular Heart Disease
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雑誌名:Circulation
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発行年:2020年
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概要:このガイドラインは、成人の心臓弁膜症患者の診断と管理に関する最新の推奨事項を提供しています。特に、診断手法、治療のタイミング、外科的および経皮的介入の選択について詳述しています。
3. Artificial Intelligence in Heart Valve Disease: Diagnosis, Innovation and Treatment – A State-of-the-Art Review
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雑誌名:British Journal of Cardiology
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発行年:2024年
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概要:このレビュー論文は、人工知能(AI)が心臓弁膜症の診断と治療にどのように応用されているかを詳細に探求しています。AIの導入により、診断精度の向上や治療戦略の最適化が期待されています。
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💤ぐっすり眠れてますか? ― 睡眠時無呼吸症候群の原因とCPAP療法 ―
夜、しっかり寝ているはずなのに「昼間に眠くて仕方がない」「朝起きてもスッキリしない」…そんなことはありませんか?
もしかすると、それは「睡眠時無呼吸症候群(OSA)」かもしれません。
🧐 睡眠時無呼吸症候群ってなに?
睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。多くは「いびき」とセットで起こります。自分では気づきにくいですが、ご家族から「息が止まってたよ」と言われることも。
OSAでは、喉の奥(上気道)が睡眠中にふさがり、息ができなくなります。その結果、脳や体に十分な酸素が届かず、睡眠の質が悪くなってしまいます。
🚨 どんな症状があるの?
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朝の頭痛やだるさ
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日中の眠気や集中力の低下
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大きないびき
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起床時の口の乾き
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夜間の頻尿
放っておくと…
高血圧、心不全、不整脈、脳卒中、糖尿病など、全身の病気を引き起こすことがわかっています。
📚 科学が解き明かす、OSAのリスク
✔ 肥満は最大のリスク因子。特に首周りの脂肪が気道を狭くします。
✔ 加齢・男性・遺伝的体質も影響します。
✔ アルコールや睡眠薬は筋肉をゆるめて悪化させます。
👉 2023年のNature系列論文では、上気道の筋肉のコントロール障害や、脳からの呼吸指令の乱れが関係していると報告されています。
👉 心臓の専門誌JACC(2017年)では、OSAが心臓病(特に高血圧・心房細動)と密接に関係していると警鐘を鳴らしています。
🔍 どうやって診断するの?
「睡眠検査(簡易検査/ポリソムノグラフィー)」で調べます。
当院でも、自宅でできる簡易検査を導入しています。
💡 どんな治療があるの?
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CPAP(シーパップ)療法
鼻にマスクを装着し、気道に空気を送り込みます。最も効果的な治療法です。
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マウスピース(口腔内装置)
軽症の場合に有効です。
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生活習慣の改善
体重管理、禁酒、寝る姿勢の工夫が効果的です。
👉 NEJMのレビュー(2019年)によると、早期治療によって心血管リスクも軽減できるとされています。
🏥 福本医院の取り組み
当院では、以下のようなサポートを行っています。
✅ 自宅でできる睡眠検査の導入
✅ CPAP療法の導入と管理、マウスピース作成のための歯科紹介
✅ 生活習慣のアドバイス(栄養指導やダイエット相談)
✅ 心臓疾患との関係が疑われる場合の精密検査(心電図・心エコーなど)
🌙 さいごに
「眠っている間のことだから、よくわからない」と思いがちですが、質の悪い睡眠は、人生の質にも大きく影響します。眠りが浅い、昼間にぼーっとする、いびきが大きい…そんなときは、ぜひ一度ご相談くださいね。
📌参考文献
1. Wang Y et al.
論文タイトル: Pathophysiological mechanisms and therapeutic approaches in obstructive sleep apnea syndrome
掲載誌: Signal Transduction and Targeted Therapy, 2023年
DOI: 10.1038/s41392-023-01496-3
概要: この総説論文では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の病態生理学的メカニズムと治療法について詳述されています。特に、間欠的低酸素(IH)が腸内細菌叢の変化や全身性炎症、交感神経系の活性化を引き起こすことが示されています。また、CPAP療法、減量、薬物療法、外科的治療などの最新の治療戦略も取り上げられています 。
2. Javaheri S et al.
論文タイトル: Sleep Apnea: Types, Mechanisms, and Clinical Cardiovascular Consequences
掲載誌: Journal of the American College of Cardiology, 2017年
DOI: 10.1016/j.jacc.2016.11.069
概要: このレビュー論文では、睡眠時無呼吸の種類(閉塞性および中枢性)、その病態メカニズム、および心血管疾患との関連性について詳述されています。間欠的低酸素、酸化ストレス、交感神経系の活性化、内皮機能障害などが心血管疾患の主要な媒介因子として取り上げられています 。
3. Malhotra A et al.
論文タイトル: Obstructive Sleep Apnea in Adults
掲載誌: New England Journal of Medicine, 2019年
DOI: 10.1056/NEJMcp1816152
概要: この論文は、成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断と管理に関する包括的なレビューです。症状、診断方法(ポリソムノグラフィーなど)、治療選択肢(CPAP、口腔内装置、外科的介入など)について詳述されています 。
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突然ドキドキ…それって「発作性上室性頻拍(PSVT)」かも?
こんにちは。心斎橋の福本医院です。
今回は、突然「ドキドキ」と強い動悸が始まり、数分〜数時間続いて、ふっと治る――そんな症状を引き起こす「発作性上室性頻拍(PSVT)」についてお話します。
◆ PSVTってどんな病気?
PSVTは、「パロキシズマル・スープラベンチュラル・タキカーディア」の略で、心臓の上のほう(心房や房室接合部)で起きる不整脈のひとつです。
心臓の電気信号がグルグルと異常に回ることで、心拍が急に速くなります。
✅ 主な症状は…
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強い動悸(心臓がバクバクする感じ)
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胸の違和感や苦しさ
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めまい、ふらつき
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まれに意識がぼんやりすることも…
実際に、当院にも「突然胸がドキドキしてしゃがみこんでしまった」という若い女性が来院された例がありました。
◆ 原因は?
多くの場合、生まれつき、“電気の通り道”が多く存在していることが原因です。
過労、ストレス、カフェインやアルコールなども引き金になることがあります。
◆ 治療はどうするの?
PSVTの治療には、大きく2つの選択肢があります。
① 薬による治療
発作時には心拍を抑えるお薬を使ったり、心拍を整える薬で再発を予防します。
最近では海外で「エトリパミル」という鼻にシュッとする新しいお薬も登場しています。
患者さん自身が、発作が起きた時に自宅などで自己投与できるのが特徴です。
※現在、日本では未承認です。当院では「ベラパミル」という内服薬を頓服として処方します。
② カテーテルアブレーション(根治療法)
心臓の中の“余分な電気の通り道”を焼き切る治療です。
1泊〜2泊の入院で済むことが多く、成功率も高く、再発もしにくいのが特徴です。
✔ 日本循環器学会のガイドラインでも、頻繁な発作やQOL(生活の質)を下げている場合には、この治療が推奨されています。
◆ 放っておいて大丈夫?
PSVTは命にかかわることは少ないですが、生活の質を下げたり、発作時に転倒してケガをするリスクもあります。
また、稀に心房細動など他の不整脈につながることもあるため、専門医による診断・治療が大切です。
◆ 当院でできること
福本医院では、心電図・ホルター心電図(24時間×5日間心電図)などで診断を行い、
必要に応じて専門医によるカテーテル治療もご案内可能です。
「動悸が気になる」「ふいにドキッとすることがある」という方は、お気軽にご相談くださいね。
💬 まとめ
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PSVTは突然始まり、突然治まる不整脈
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強い動悸やめまいを感じたら要注意
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薬物療法もカテーテル治療も選べます
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専門医と一緒に、安心できる治療法を選びましょう
📍心斎橋駅すぐの福本医院では、循環器専門医による診療を行っています。
オンライン予約も可能ですので、お気軽にご相談ください!
🔖 参考文献
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Calkins H, et al.
2017 HRS/EHRA/ECAS/APHRS/SOLAECE Expert Consensus Statement on Catheter and Surgical Ablation of Atrial Fibrillation
Heart Rhythm. 2017;14(10):e275–e444.
DOI: 10.1016/j.hrthm.2017.05.012
▶ PSVTも含む心房頻拍・アブレーション治療に関する国際的コンセンサスステートメント。
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Stambler BS, et al.
Intranasal Etripamil for Acute Termination of Paroxysmal Supraventricular Tachycardia (NODE-301 Study)
Journal of the American College of Cardiology (JACC). 2023;81(1):10–20.
PMID: 36441560
▶ 自己投与型の鼻腔内薬エトリパミルの有効性と安全性を示した国際多施設ランダム化比較試験。
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Josephson ME.
Josephson’s Clinical Cardiac Electrophysiology: Techniques and Interpretations. 5th ed.
Wolters Kluwer; 2015. ISBN: 978-1451187416
▶ PSVTを含む心電生理学的メカニズムとアブレーション治療の定番教科書。
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日本循環器学会/日本不整脈心電学会(2018)
不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp
▶ PSVTに対するカテーテルアブレーションの適応や手技に関する国内ガイドライン。
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Milestone Pharmaceuticals Inc.
Clinical Development of Etripamil for PSVT – Regulatory and Trial Summary
https://www.milestonepharma.com
▶ エトリパミルに関する国際的な臨床試験(NODEシリーズ)のまとめ。FDAの対応なども含む。
2025.03.28 PSVT, QOL改善, エトリパミル, カテーテルアブレーション, ホルター心電図, めまい, 不整脈, 動悸, 大阪市内科, 女性の不整脈, 循環器内科, 心斎橋クリニック, 心臓ドック, 心臓専門外来, 心電図検査, 意識消失, 発作性上室性頻拍, 福本医院, 突然の動悸, 若年性不整脈
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【慢性心不全の症状・検査・治療】
慢性心不全(CHF)は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を供給できなくなる進行性の疾患です。日本循環器学会のガイドラインや主要な国際的なレビューに基づき、症状、診断、治療について解説します。
症状
慢性心不全の主な症状は、心拍出量の低下や体液のうっ滞によって引き起こされます。代表的な症状には以下のものがあります:
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呼吸困難:運動時や横になると息切れが生じ、夜間に悪化することがあります。
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倦怠感・易疲労感:身体活動に対する耐性が低下します。
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浮腫:足首や下肢、腹部のむくみが見られます。
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体重増加:体液の貯留による急激な体重増加が起こることがあります。
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頻尿:特に夜間に尿意が増すことがあります。
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食欲不振・悪心:消化器系への血流不足や腹部のうっ血が原因です。
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認知機能の低下:記憶力や注意力の低下が報告されています。
診断
慢性心不全の診断には、以下の検査や評価が用いられます:
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身体診察:頸静脈の怒張、肺のラ音、下肢の浮腫などを確認します。
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血液検査:BNPやNT-proBNPの測定は心不全の診断や重症度評価に有用です。
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胸部X線:心拡大や肺うっ血の有無を確認します。
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心電図(ECG):不整脈や心筋の異常を検出します。
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心エコー検査:左室駆出率(LVEF)を測定し、心不全のタイプ(収縮不全または拡張不全)を評価します。
また、心不全の重症度は、NYHA(ニューヨーク心臓協会)分類によりIからIVの4段階で評価されます。
治療
慢性心不全の治療は、症状の緩和、生活の質の向上、進行の抑制を目的としています。治療法は以下の通りです:
薬物療法
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ACE阻害薬/ARB:血管拡張作用により心臓の負担を軽減します。
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ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬):例:サクビトリル/バルサルタン。心血管死や入院リスクを低下させます。
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β遮断薬:心拍数を抑制し、心機能を改善します。
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MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬):例:スピロノラクトン。心不全の進行を抑制します。
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SGLT2阻害薬:例:ダパグリフロジン。心不全患者の予後を改善します。
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利尿薬:体液の貯留を軽減し、症状を緩和します。
デバイス療法
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CRT(心臓再同期療法):心室の同期を改善し、心機能を向上させます。
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ICD(植込み型除細動器):致死性不整脈の予防に使用されます。
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補助人工心臓(VAD)や心臓移植:重症例に対する治療選択肢です。
生活習慣の改善
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食事療法:塩分制限(1日6g未満)や体重管理が推奨されます。
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運動療法:医師の指導のもと、適度な運動を行います。
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禁煙・禁酒:心臓への負担を軽減します。
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ストレス管理:心拍数や血圧の上昇を防ぎます。
これらの治療法を組み合わせることで、慢性心不全の進行を遅らせ、患者の生活の質を向上させることが可能です。
参考文献
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日本循環器学会. 「慢性心不全診療ガイドライン(2021年改訂版)」.
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Mayo Clinic. “Heart failure – Diagnosis and treatment”.
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Cleveland Clinic. “Congestive Heart Failure: Symptoms, Stages & Treatment”.
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Health.com. “Heart Failure Linked to a Decline in Thinking and Memory, Study Finds”
慢性心不全は、早期の診断と適切な治療により、症状の改善や予後の向上が期待できます。定期的な医療機関でのフォローアップと、生活習慣の見直しが重要です。
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🧠慢性炎症をコントロールして、生活習慣病を防ごう — 肥満・歯周病を見直すことが、未来の健康への第一歩です —
🔥「見えない炎症」が、体をむしばむ
近年、**慢性炎症(low-grade chronic inflammation)**が生活習慣病の共通の引き金になっていることが、数々の研究から明らかになっています。糖尿病、動脈硬化、高血圧、がん、認知症などの病気の背景には、日々の生活習慣によって生じる持続的な軽度炎症が潜んでいるのです。
この“静かな炎症”は自覚症状がほとんどないまま、じわじわと体を蝕んでいきます。
慢性炎症は体のさまざまな臓器に影響を及ぼし、糖尿病や高血圧、動脈硬化、がん、認知症などの病気のリスクを高めます。
🍔慢性炎症の主な原因は?
以下のような生活習慣や状態が、慢性炎症の温床になります:
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肥満(特に内臓脂肪型肥満)
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歯周病
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加工食品や糖分の多い食生活
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運動不足
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睡眠の質の低下
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喫煙・過度な飲酒
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慢性的なストレス
この中でも、肥満と歯周病は、コントロール可能でありながら、見過ごされがちです。
⚖️肥満を見直すことが炎症抑制につながる
肥満、特に内臓脂肪は**炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)**の分泌源となり、全身性の炎症状態を招きます。
ある大規模コホート研究(UK Biobank)では、肥満+慢性炎症+インスリン抵抗性の三重苦を抱えると、全死因死亡率やがんの発症リスクが大幅に上昇することが報告されています(参考文献④)。
✅ 福本医院では、体組成計を用いた定期的な内臓脂肪チェックや、栄養指導を通じて炎症リスクの可視化と改善をサポートします。
🦷「沈黙の病」歯周病は、全身炎症の火種
歯周病は「口の中の病気」と思われがちですが、慢性的な感染と炎症を伴う全身疾患です。
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歯周病菌は、血流に乗って全身に拡散し、動脈硬化や糖尿病の悪化、早産のリスクなどにも関与。
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歯周病がある人は、炎症マーカー(CRPなど)が有意に高いことが複数の研究で示されています。
✅ 当院では、歯科と連携した歯周病の早期発見と治療支援を行っています。糖尿病や高血圧がある方は、特に歯周病のコントロールが重要です。
🌱慢性炎症を抑える生活習慣7選
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適正体重の維持(BMI22前後)
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野菜・果物・発酵食品を多く含む地中海型の食生活
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禁煙・節酒
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1日30分の有酸素運動
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6~7時間の良質な睡眠
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ストレス管理(深呼吸・瞑想・趣味など)
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定期的な健診と口腔ケア
🏥当院でできること
福本医院では、慢性炎症のリスクを評価し、生活習慣病の予防・早期発見に努めています。
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内臓脂肪・血糖・コレステロールのチェック
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歯周病スクリーニング
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栄養相談・運動指導
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必要に応じて血液検査による炎症マーカー(CRP等)の測定
「まだ病気ではないけど、健康に不安がある」
そんな時は、ぜひご相談ください。
📚参考文献
① Furman D et al. (2019). Chronic inflammation in the etiology of disease across the life span. Nature Medicine.
https://www.nature.com/articles/s41591-019-0675-0
② Dounavi K et al. (2023). Tryptophan degradation across 13 chronic inflammatory diseases. The Lancet EBioMedicine.
https://www.thelancet.com/pdfs/journals/ebiom/PIIS2352-3964%2824%2900091-4.pdf
③ Kubo T et al. (2024). Lifestyle deterioration linked to elevated inflammatory cytokines. Scientific Reports.
https://www.nature.com/articles/s41598-024-69967-3
④ Liu S et al. (2024). Chronic low-grade inflammation and cardiometabolic multimorbidity. Scientific Reports.
https://www.nature.com/articles/s41598-024-72988-7
⑤ Zhang Y et al. (2025). Severe obesity, inflammation, insulin resistance with mortality and cancer risk. Scientific Reports.
https://www.nature.com/articles/s41598-025-85519-9
⑥ Christ A et al. (2019). The Western lifestyle has lasting effects on metaflammation. Nature Reviews Immunology.
https://www.nature.com/articles/s41577-019-0156-1
2025.03.21 CRP, 内臓脂肪, 動脈硬化予防, 大阪 生活習慣病, 心斎橋 健診, 心斎橋 内科, 心斎橋 医院, 心斎橋 歯周病, 心斎橋 肥満外来, 慢性炎症, 歯周病, 炎症マーカー, 生活習慣改善, 生活習慣病, 福本医院, 糖尿病予防, 肥満
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【尿酸値コントロールのすすめ】痛風の再発予防だけじゃない、血管と腎臓を守るために
「最近、健康診断で尿酸値が高めって言われた…」
「痛風は昔なったけど、今は落ち着いてるから大丈夫でしょ?」
そう思っていませんか?
実は、高尿酸血症は「痛風」だけでなく、「動脈硬化」や「腎臓の病気(慢性腎臓病)」のリスクにも深く関係していることが、近年の科学研究から分かってきました。
🔍 高尿酸血症とは?
尿酸は、体内でプリン体という物質が分解されてできる老廃物です。通常は尿と一緒に排出されますが、量が多すぎたり、腎臓でうまく処理できなかったりすると、血液中に尿酸がたまり「高尿酸血症」となります。
⚡ 高尿酸血症が引き起こす3つの重大リスク
① 痛風(関節の激痛)
突然の激痛と腫れが出る「痛風発作」。これは尿酸が結晶化して関節に炎症を起こすためです。
✅ 再発を防ぐには、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことが大切です。
② 動脈硬化・心血管疾患
有名医学誌NEJMのレビューによると、尿酸は血管の内皮細胞を傷つけ、高血圧や動脈硬化を進行させる原因になることが示されています。これにより、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。
③ 腎機能障害(慢性腎臓病)
尿酸が腎臓に沈着することで、糸球体硬化や尿細管間質の炎症が起き、腎臓の働きが低下する可能性があります。
腎臓は尿酸を排出する臓器でもあるため、悪循環に陥りやすくなります。
🌱 尿酸値を下げる生活習慣
✅ 水分をこまめに摂る(1日1.5~2L)
✅ プリン体の多い食品を控える(内臓肉・ビールなど)
✅ 肥満を避ける(体重を5%減らすだけでも尿酸値改善に効果)
✅ 飲酒は控えめに(特にビール・焼酎に注意)
✅ ストレス・過労を避ける
💊 治療が必要なケースとは?
尿酸値が7.0mg/dL以上で痛風歴がある方、腎機能が低下している方、高血圧・糖尿病・脂質異常症などを合併している方には、内服治療(アロプリノール、フェブキソスタットなど)を検討します。
尿酸値が「高いだけ」でも、放置は禁物です。
🏥 福本医院での取り組み
当院では、尿酸値の定期チェックに加え、血圧・腎機能・コレステロール値などの総合評価を行い、生活習慣の見直しや必要に応じた薬物治療をご提案しています。
痛風発作が出る前、または再発する前に、尿酸値を「コントロールする医療」を始めませんか?
📚 参考文献
1. Feig DI, Kang D-H, Johnson RJ.
Uric Acid and Cardiovascular Risk
New England Journal of Medicine. 2008;359(17):1811–1821.
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概要: 高尿酸血症が心血管疾患(高血圧・動脈硬化・心不全)の独立したリスク因子である可能性を、疫学・動物実験・臨床研究の視点からまとめたレビュー。
2. Jalal DI, Chonchol M.
Uric acid and chronic kidney disease: Which is chasing which?
Nephrology Dialysis Transplantation. 2013;28(9):2221–2228.
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概要: 尿酸は腎機能低下の結果であるだけでなく、CKDの発症・進行因子である可能性を示唆。動物実験と小規模介入研究を踏まえ、さらなるRCTの必要性を指摘。
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🔗 PubMed: 23058478|PDF(Oxford Academic)|DOI: 10.1093/ndt/gft029
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知られざる「大動脈疾患」──命を守るために知っておきたい診断と治療の最前線
大動脈瘤や大動脈解離など、大動脈疾患は早期発見と迅速な治療が命を守る鍵となります。
● はじめに
心臓から全身へ血液を送り出す「大動脈」。その大動脈に異常が生じると、命に関わる危険な状態に陥ることがあります。大動脈瘤や大動脈解離などは、早期発見と迅速な治療がカギになります。
この記事では、最新の国際ガイドラインと科学論文に基づき、「大動脈疾患の診断と治療」について解説します。
● 大動脈疾患とは?
大動脈疾患とは、大動脈の壁が弱くなって膨らむ「大動脈瘤」や、壁が裂ける「大動脈解離」、感染や外傷などによって起こる疾患の総称です。
特に注意が必要なのが「急性大動脈解離」です。胸や背中の激しい痛みとともに突然発症し、緊急手術が必要になることもあります。
● どうやって診断するの?
最新の**ACC/AHAガイドライン(2022)**では、症状・身体所見・家族歴に加えて、CTやMRI、超音波(エコー)などの画像診断が重要だとされています。また、遺伝的要因(マルファン症候群など)やバイオマーカーの研究も進んでおり、将来的には血液検査での早期スクリーニングも期待されています。
● どんな治療があるの?
Stanford分類でA型(上行大動脈を含む)に該当する急性解離は、基本的に緊急手術が必要です。一方、B型(下行大動脈)の場合は、薬物による血圧管理を中心に、必要に応じてステントグラフト(TEVAR)が行われます。
最近では、大動脈瘤に対するカテーテル治療(EVAR)も一般的となり、高齢者への負担を軽減する治療法として注目されています。
● なぜ早期発見が重要?
大動脈疾患は、症状が出ないまま進行することがあります。健診や心臓病のフォローアップで胸部CTを定期的に行うことが、命を守るカギとなります。
また、家族に大動脈疾患の既往がある方は特に注意が必要です。遺伝性の背景が関与することもあるため、早期の評価・管理が大切です。
● 福本医院でできること
当院では、動悸や胸痛、健診異常などを契機とした精査に対応し、必要に応じて連携病院への迅速な紹介も行っています。また、手術後の長期フォローアップにも対応しております。
✅参考文献リスト
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Isselbacher EM, Preventza O, Black JH, et al.
2022 ACC/AHA Guideline for the Diagnosis and Management of Aortic Disease.
Circulation. 2022;146(24):e334–e482.
doi: 10.1161/CIR.0000000000001106
ACC/AHAの大動脈疾患に関する最新ガイドライン。大動脈瘤、解離、外傷性損傷などを包括的に取り上げており、診断・画像評価、リスク層別化、治療戦略(手術 vs 保存)を網羅しています。Thoracic Endovascular Aortic Repair(TEVAR)やスクリーニング指針も含まれています。
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Evangelista A, Czerny M, Nienaber CA, et al.
Acute aortic dissection: a review.
European Heart Journal. 2023;44(10):813–830.
doi: 10.1093/eurheartj/ehac705
急性大動脈解離に関する包括的な総説。疫学、リスク因子、分類(Stanford分類、DeBakey分類)、画像診断(CT、MRI、TEE)、および緊急対応や外科的・内科的治療を詳述。慢性期管理にも言及しています。
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Yoon SJ, Park S, Kim JY.
Aortic aneurysms: current pathogenesis and therapeutic targets.
Experimental & Molecular Medicine. 2023;55:931–943.
doi: 10.1038/s12276-023-01130-w
分子レベルでの大動脈瘤形成のメカニズム(炎症、細胞外マトリックスの崩壊、免疫反応など)と、新たな治療標的(MMP阻害薬、抗炎症薬、分子標的治療)について解説。再生医療やRNAベース治療など将来的な治療戦略も示唆されています。
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Pape LA, Awais M, Woznicki EM, et al.
Presentation, diagnosis, and outcomes of acute aortic dissection: 17-year trends from the International Registry of Acute Aortic Dissection.
Journal of the American College of Cardiology. 2015;66(4):350–358.
doi: 10.1016/j.jacc.2015.05.029
IRAD(国際大動脈解離レジストリ)の17年間のデータを基に、急性大動脈解離の臨床像・診断精度・治療成績の変遷を分析。死亡率の改善、手術適応の変化、高齢患者の増加傾向などが明らかにされています。
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Czerny M, Bonser RS, Eggebrecht H, et al.
The European Association for Cardio-Thoracic Surgery/European Society for Vascular Surgery 2023 Clinical Practice Guidelines on the management of thoracic aortic pathologies involving the aortic arch.
European Journal of Cardio-Thoracic Surgery. 2023;63(1):ezac571.
EACTS(心胸外科学会)およびESVS(血管外科学会)の共同ガイドライン。弓部大動脈疾患(瘤・解離・閉塞)の診断・画像評価・治療(ハイブリッド治療・Frozen Elephant Trunk法など)に焦点を当てています。外科手技の選択や合併症管理についても詳細です。
2025.02.28 TEVAR, カテーテル治療, ステントグラフト, 上行大動脈瘤, 人工血管置換術, 動脈瘤の早期発見, 動脈瘤手術, 命を守る治療, 大動脈CT, 大動脈外科, 大動脈瘤治療, 大阪市中央区, 弓部大動脈瘤, 循環器専門医, 心斎橋クリニック, 心臓血管外科, 福本医院, 緊急手術, 胸部下行大動脈瘤, 胸部大動脈瘤
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🦠腸内細菌があなたの健康を左右する? ~肥満や生活習慣病、メンタルにも影響する腸内環境の話~
🍽️「太りやすい体質」は腸から?
最近の研究では、「腸内細菌」が太りやすさや生活習慣病の発症リスクに深く関わっていることが分かってきました。
とくに注目されているのが、「バクテロイデス」や「フィルミクテス」といった腸内細菌のバランス。
肥満の方では、エネルギーをより多く吸収するタイプの菌が多い傾向があります(Turnbaughら, 2006年 Nature)。
🧪腸内フローラが変わると、体質も変わる?
アメリカの研究では、肥満の双子とやせ型の双子から腸内細菌をマウスに移植したところ、体型もそれに応じて変わったという驚きの結果が出ました(Ridauraら, 2013年 Science)。
つまり、「遺伝」だけでなく、「腸の中身」も肥満に関係するのです。
🥦腸内細菌を整えるには?
腸内環境を整える方法には次のようなものがあります:
✅ 食物繊維をしっかりとる
野菜・豆類・海藻・きのこなどに含まれる食物繊維は、善玉菌のエサになり、腸内環境を改善します(Davidら, 2014年 Nature)。
✅ 発酵食品やプロバイオティクス
ヨーグルト・納豆・味噌・ぬか漬けなどの発酵食品は、腸に良い菌を届ける手助けをします(Hillら, 2014年 Nat Rev Gastroenterol Hepatol)。
✅ 腸をいじめない生活
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睡眠不足、ストレス、抗生物質の乱用は腸内環境を悪化させます。
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地中海食(野菜・魚・オリーブオイル中心の食事)は、腸の多様性を高めるといわれています(Cryanら, 2020年 Nat Rev Microbiol)。
魚・野菜・ナッツ・オリーブオイルが揃った、腸内環境を整える理想的な地中海式メニュー。
🧠腸と脳はつながっている?
「腸は第二の脳」とも呼ばれます。腸内環境が整うと、ストレスに強くなったり、気分が安定するという報告もあります(Cryanら, 2020)。
腸から脳へ──肥満や生活習慣病、メンタルヘルスに関わる腸内細菌の重要性を示すイラスト
🧾まとめ:腸内環境を整える5つのポイント
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食物繊維をしっかりとる(野菜・海藻・豆)
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発酵食品を毎日少しずつ
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甘いものや加工食品は控えめに
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睡眠・ストレス管理も大切
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プロバイオティクス(ヨーグルトなど)をうまく活用
✅ 参考文献
1. Yatsunenko et al., 2012
📚 Human gut microbiome viewed across age and geography
📍 Nature 2012; 486(7402):222-227
🔗 DOI: 10.1038/nature11053
アメリカ・南米・アフリカの人々の腸内細菌を比較し、食生活や環境が腸内フローラに大きく影響することを示した研究。年齢とともに腸内細菌がどう変化するかも分析。
2. Turnbaugh et al., 2006
📚 An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest
📍 Nature 2006; 444(7122):1027-1131
🔗 DOI: 10.1038/nature05414
肥満マウスの腸内細菌は、より多くのカロリーを吸収・蓄積する能力を持っていたという動物実験。腸内細菌が肥満の一因になることを示した最初期の重要論文。
3. Ridaura et al., 2013
📚 Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice
📍 Science 2013; 341(6150):1241214
🔗 DOI: 10.1126/science.1241214
肥満と非肥満の双子の腸内細菌を無菌マウスに移植すると、受けたマウスの体重や代謝が変化した。腸内細菌が肥満の伝播因子になり得ることを証明。
4. Valdes et al., 2018
📚 Role of the gut microbiota in nutrition and health
📍 BMJ 2018; 361:k2179
🔗 DOI: 10.1136/bmj.k2179
食物繊維や発酵食品の摂取によって、善玉菌を増やし、代謝や免疫を整える効果があると解説した臨床レビュー。腸内環境改善の基本がよくわかる内容。
5. Cani, 2017
📚 Gut microbiota in obesity and metabolic disorders
📍 Nature Reviews Endocrinology 2017; 13(11): 692–706
🔗 DOI: 10.1038/nrendo.2017.42
腸内細菌が肥満・糖尿病・脂肪肝といった生活習慣病にどう関わるかをまとめたレビュー。炎症、内毒素(エンドトキシン)、腸バリア機能の視点で解説。
6. Cryan et al., 2019
📚 The gut microbiome: relationships with disease and opportunities for therapy
📍 Nature Reviews Microbiology 2020; 18: 305–320
🔗 DOI: 10.1038/s41579-019-0284-8
腸と脳の関係(腸−脳相関)やメンタルヘルス、炎症、免疫への影響をまとめた総説。プロバイオティクスやプレバイオティクスによる予防的介入の可能性を示唆。
7. David et al., 2014
📚 Diet rapidly and reproducibly alters the human gut microbiome
📍 Nature 2014; 505(7484):559-563
🔗 DOI: 10.1038/nature12820
植物中心の食事と動物性中心の食事では、わずか2日で腸内フローラが変化することを示した実験。食事の内容が直接腸内細菌を決定することを明示。
8. Hill et al., 2014
📚 The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics consensus statement on the scope and appropriate use of the term probiotic
📍 Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology 2014; 11(8): 506–514
🔗 DOI: 10.1038/nrgastro.2014.66
プロバイオティクスの定義とその効果、適切な利用法をまとめた国際的ガイドライン的論文。乳酸菌・ビフィズス菌などの摂取が腸内環境改善に有効であることを科学的に支持。
2025.02.27 プレバイオティクス, プロバイオティクス, メタボ予防, 健康づくり, 内科, 善玉菌, 地中海式食事, 大阪内科クリニック, 大阪市中央区, 心斎橋, 心斎橋クリニック, 悪玉菌, 消化器内科, 生活習慣病, 発酵食品, 福本医院, 糖尿病, 肥満対策, 腸-脳相関, 腸内環境改善, 腸内細菌, 腸活, 長堀橋, 食物繊維
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