はしか(麻疹)が再び増加|特効薬がない感染症だからこそ予防を【大阪・心斎橋の内科】
【この記事のポイント】
・麻疹(はしか)には特効薬がない
・対症療法のみで重症化リスクあり
・日本でも患者数が増加
・抗体検査とワクチンで予防可能
麻疹(はしか)は、特効薬が存在しない感染症です。
感染した場合は、解熱剤などで症状を和らげる対症療法が中心となります。
そのため、発症してからできる治療には限界があり、
ワクチンによる予防が極めて重要とされています。
最近はニュースでも報道されているように、
日本国内でも患者数が増加しており、注意が必要な状況です。
自分に免疫があるか不安な方は、まず抗体検査で確認することをおすすめします。

■ 現在使用されているワクチンについて(重要)
現在、日本で接種されている麻しんワクチンは、
MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)です。
麻しん単独ではなく風しんも同時に予防できるため、
成人の追加接種としても合理的な選択とされています。
■ 今、何が起きているのか(最新ニュース)
現在の状況は比較的はっきりしています。
- 東南アジアを中心に流行
- 海外からの持ち込み感染が増加
- 日本国内でも患者数が増加
- 渡航歴のない感染例も確認
日本は一度「麻疹排除国」とされましたが、現在は海外からの流入をきっかけに再び感染が広がりつつあります。
■ 麻疹は非常に感染力の強い病気です
麻疹は数ある感染症の中でも特に感染力が強く、
- 空気感染(同じ空間にいるだけで感染する可能性)
- 免疫がなければ高確率で発症
という特徴があります。
■ 大人の感染が増えています
最近は成人の感染も目立っています。
- ワクチン接種が1回のみの世代
- 接種歴が不明な方
- 自然感染を経験していない方
などが背景にあり、免疫が不十分な方が一定数存在しています。
■ 重症化する可能性もあります
麻疹は軽く見られがちですが、注意が必要な病気です。
- 肺炎
- 脳炎
- SSPE(数年後に発症する重篤な合併症)
特効薬がないため、重症化を完全に防ぐ治療は存在しません。
■ 麻疹の症状と経過
麻疹(はしか)は非常に感染力が強く、
典型的には以下の3つの段階を経て進行します。
■ 1. 潜伏期間(約10〜12日)
感染してすぐは症状はありませんが、体内でウイルスが増殖しています。
■ 2. カタル期(最も感染力が強い時期)
期間:3〜4日
風邪のような症状が現れます。
- 発熱(38℃前後)
- 咳、鼻水
- 目の充血、目やに
この時期の終わりに、
頬の内側にコプリック斑(白い小さな斑点)が出現するのが特徴です。
■ 3. 発疹期
期間:4〜5日
一度下がりかけた熱が再び上昇し、
39℃以上の高熱(二峰性発熱)となります。
同時に発疹が出現し、
- 耳の後ろ → 顔 → 体 → 手足
の順に広がります。
発疹は次第に融合し、赤みが強くなります。
■ 4. 回復期
熱が下がり、全身状態は徐々に改善します。
発疹は消えていきますが、
- 色素沈着(茶色っぽい跡)
- 皮膚の落屑(皮むけ)
がしばらく残ることがあります。
■ 注意すべき合併症
麻疹は免疫を低下させるため、合併症に注意が必要です。
- 肺炎(最も多い死亡原因)
- 中耳炎(約5〜15%)
- 脳炎(約1,000人に1人)
合併症は決して珍しくなく、重症化の原因となります。
■ 感染期間と出席停止
- 発症1〜2日前から感染力あり
- 発疹消失後まで感染性あり
学校保健安全法では
「解熱後3日を経過するまで出席停止」とされています。
■ 受診時の注意(重要)
麻疹が疑われる場合は、
直接来院せず、事前に医療機関へ電話連絡をしてください。
院内感染防止のため、受診方法の案内を受けることが重要です。
当院では、オンライン診療で対応しています。
■ 自宅療養の考え方
麻疹には特効薬がないため、
基本は安静と水分補給を中心とした対症療法になります。
■ 自宅療養で重要なポイント
① 厳重な隔離
空気感染するため、同居家族への感染に注意が必要です。
解熱後3日経過するまでは外出を控えます。
② 入院が必要になるケース
以下の場合は注意が必要です。
- 水分が摂れず脱水がある
- 呼吸が苦しい(肺炎の可能性)
- 意識がもうろうとしている、けいれん(脳炎の可能性)
麻疹は他のウイルス感染症と比べても
合併症の頻度が高く(約30%)、
状況によっては入院治療が必要になります。
基本的には自宅療養が中心となる病気ですが、
体力の消耗が非常に激しい感染症です。
少しでも様子がおかしい場合は、
早めの受診(事前連絡の上)が重要です。
■ ワクチンの効果について
ワクチンの有効性は明確です。
- 1回接種で約93%
- 2回接種で約97%
と高い予防効果が確認されています。
■ 「接種した記憶がある」だけでは不十分です
臨床ではここが重要です。
- 接種回数が不足している可能性
- 抗体が十分でない可能性
- 記録が曖昧なケース
このため、「接種歴」よりも「現在の抗体の有無」が重要になります。
■ 福本医院の推奨プラン
当院では、以下の流れをおすすめしています。
1回目受診時
① 抗体検査を実施
② 感染歴またはワクチン接種歴がない、あるいは不明な場合は同日にワクチンを1回接種
4週間後に再診
③ 抗体検査の結果を確認
④ 抗体が不十分な場合のみ追加接種
この方法により、無駄な接種を避けながら、必要な方には確実に免疫をつけることができます。
接種歴がはっきりしない場合は、まず抗体検査で確認することが現実的です。
■ 今、対策しておくべき理由
今回の流行は、
- 海外での流行
- 人の移動増加
- 国内での感染拡大
が重なって起きています。
今後さらに増加する可能性もあり、早めの対策が重要です。
■ まとめ
・麻疹は特効薬がない感染症
・非常に感染力が強い
・大人でも感染する
・ワクチンによる予防が重要
麻疹は予防できる感染症です。
必要な対策を早めに行うことで、安心して日常生活を送ることができます。
心斎橋の内科・循環器内科 福本医院では、抗体検査およびワクチン接種に対応しています。
ご不安な方は一度ご相談ください。
■ FAQ
Q1. 麻疹(はしか)とはどんな病気ですか?
麻疹はウイルスによる感染症で、発熱・咳・発疹が特徴です。空気感染する非常に感染力の強い病気です。
Q2. 麻疹はどれくらいうつりやすいですか?
免疫がない場合、同じ空間にいるだけで感染する可能性があり、非常に感染力が強いとされています。
Q3. 麻疹の初期症状は?
発熱、咳、鼻水、目の充血など風邪に似た症状から始まり、その後全身に発疹が出ます。
Q4. 麻疹は大人もかかりますか?
はい。近年は大人の感染が増えており、重症化しやすい傾向があります。
Q5. 麻疹は重症化しますか?
肺炎や脳炎などの合併症を起こすことがあり、注意が必要です。
Q6. 麻疹ワクチンは何回打つ必要がありますか?
通常は2回接種で十分な免疫が得られます。
Q7. 現在の麻疹ワクチンは何ですか?
日本ではMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)が使用されています。
Q8. 1回だけ接種していれば大丈夫ですか?
1回でも効果はありますが、十分な免疫のためには2回接種が推奨されます。
Q9. 昔ワクチンを打ったか覚えていません。どうすればいいですか?
抗体検査で現在の免疫状態を確認することができます。
Q10. 大人でもワクチンを打てますか?
はい。成人でも接種可能で、むしろ必要な方も多いです。
Q11. 抗体検査とは何ですか?
血液検査で麻疹に対する免疫(抗体)があるかを調べる検査です。
Q12. 抗体検査だけ受けることはできますか?
はい。抗体検査のみの受診も可能です。
Q13. 抗体があればワクチンは不要ですか?
十分な抗体があれば、追加接種は不要です。
Q14. 抗体がなければどうなりますか?
ワクチン接種により免疫をつけることができます。
Q15. 麻疹には治療薬はありますか?
特効薬はなく、解熱剤などによる対症療法が中心となります。
Q16. 麻疹にかかった場合どうなりますか?
多くは回復しますが、肺炎や脳炎などの重い合併症が起こることがあります。
Q17. 麻疹は予防できますか?
ワクチン接種により高い確率で予防可能です。
Q18. 接種歴が不明な場合どうすればいいですか?
抗体検査を行い、必要に応じてワクチン接種を行うのが確実です。
Q19. ワクチンと抗体検査は同日にできますか?
はい。状況に応じて同日に実施可能です。
Q20. どのタイミングで受診すればいいですか?
流行前・流行初期の早めの確認が重要です。不安があれば早めの受診をおすすめします。
参考文献
1. WHO(世界保健機関)の麻疹ワクチン公式ポジションペーパー
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タイトル: Measles vaccines: WHO position paper – April 2017
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発表機関: World Health Organization (WHO)
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掲載誌: Weekly Epidemiological Record / Vaccine
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出版年: 2017年
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概要: WHOによる麻疹ワクチンの世界的な使用に関する公式なガイドラインと推奨事項をまとめたものです。世界規模での予防接種プログラムの方針として、生後6ヶ月からのワクチン接種ガイダンスや、HIV感染児への再接種に関する評価基準など、免疫獲得に向けた科学的根拠に基づく基準が明確に示されています。
2. CDC(米国疾病予防管理センター)の予防ガイドライン (ACIP推奨)
-
タイトル: Prevention of Measles, Rubella, Congenital Rubella Syndrome, and Mumps, 2013: Summary Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
-
発表機関: Centers for Disease Control and Prevention (CDC) / 米国予防接種諮問委員会 (ACIP)
-
掲載誌: MMWR Recommendations and Reports
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出版年: 2013年 (※適宜2022年等に新ワクチンの追記あり)
-
リンク: CDC公式リンク (MMWR)
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概要: 米国における麻疹、風疹、おたふく風邪の予防に関する基礎的かつ包括的なガイドラインです。2回のMMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)ワクチンの接種スケジュールの科学的根拠や、集団免疫の維持、医療従事者や海外渡航者への具体的な予防接種の推奨事項を網羅しています。
3. The Lancet誌における包括的レビュー
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タイトル: Measles
-
著者: William J Moss
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掲載誌: The Lancet
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出版年: 2017年
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概要: 臨床医学のトップジャーナルであるLancetに掲載された、麻疹に関する代表的なレビュー論文です。麻疹ウイルスの疫学、臨床的特徴、合併症、そしてワクチン接種が世界の公衆衛生にもたらした多大な貢献について解説するとともに、ワクチン接種率の低下がもたらす再流行の脅威について、実証的データに基づいて論じています。
4. New England Journal of Medicine (NEJM) 誌の最新レビュー
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タイトル: Measles 2025
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著者: Lien Anh Ha Do, et al.
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掲載誌: The New England Journal of Medicine
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出版年: 2025年
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概要: 世界で最も権威ある医学誌の一つであるNEJMに掲載された最新のレビュー記事です。COVID-19パンデミックによる世界的な予防接種プログラムの混乱とワクチン忌避による近年の麻疹の急速な感染拡大(基本再生産数12〜18)を背景に、最新の臨床症状、合併症、遺伝子型の分子疫学、および現在のガイドラインに関する検証可能な情報を提供しています。
5. Nature Reviews Disease Primersの疾患解説プライマー
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タイトル: Measles
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著者: Strebel, P. M., et al.
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掲載誌: Nature Reviews Disease Primers
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出版年: 2016年
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DOI: 10.1038/nrdp.2016.50
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概要: 麻疹ウイルスの病態生理から、宿主の免疫応答、感染による深刻な免疫抑制(麻疹による免疫記憶の喪失など)、および後遺症(亜急性硬化性全脳炎: SSPEなど)に至るまで、疾患の全容を詳細に解説したNature系列の網羅的なレビューです。基礎医学と臨床医学の双方の視点から事実に基づいた強固な知見を提示しています。
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この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
平成9年 神戸大学医学部医学科卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)
























