■この記事のポイント

・2026年から高齢者の肺炎球菌ワクチンはPCV20へ変更されています
・1回接種で完結し、従来よりシンプルな制度になりました
・重症感染(敗血症など)の予防効果が期待されます
・すべての肺炎を防ぐわけではないため、正しい理解が重要です

 

高齢女性(いのばあ)が椅子に座り、看護師(リリー看護師)から左腕に肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)の接種を受けているイラスト。高齢者の感染症予防をやさしく伝える医療啓発デザイン。

65歳を迎えた方へ。
肺炎は高齢者で重症化しやすい感染症です。
2026年からは「プレベナー20(PCV20)」による接種へ変更され、
1回の接種で予防効果が期待できます。
体調や接種歴によって判断が異なる場合もありますので、
気になる方はお気軽にご相談ください。
大阪・心斎橋の内科 福本医院

 

肺炎球菌ワクチンが変わりました(2026年最新)

65歳を迎える方を対象とした肺炎球菌ワクチンの制度が、2026年4月から変更されました。
これまで使用されていたワクチンに代わり、新たに「PCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)」が導入されています。

肺炎は日本において依然として重要な疾患であり、とくに高齢者では重症化や入院のリスクが高くなります。今回の制度変更は、その予防効果を高めることを目的としています。

 

肺炎球菌とは何か

肺炎球菌は、肺炎だけでなく、敗血症や髄膜炎などの重篤な感染症を引き起こす細菌です。
健康な方でも感染する可能性はありますが、特に次のような方ではリスクが高くなります。

  • 65歳以上の方
  • 糖尿病や心臓病、呼吸器疾患のある方
  • 免疫力が低下している方

日常的にみられる「肺炎」の中にも、肺炎球菌が関与しているケースは少なくありません。

 

2026年の制度変更のポイント

今回の変更で最も大きな点は、使用されるワクチンの種類です。

これまでの定期接種では、23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)が用いられていましたが、2026年度からは20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)へと変更されています。
この変更は、厚生労働省の方針によるものです。

 

PCV20(プレベナー20)の特徴

PCV20は、20種類の肺炎球菌に対応した結合型ワクチンです。
従来のワクチンと比べ、免疫の質や持続性の点で優れていると考えられています。

また、原則として1回の接種で完結するため、接種スケジュールがシンプルになったことも特徴のひとつです。

 

有効性に関する科学的根拠

肺炎球菌ワクチンの有効性については、多くの研究が行われています。
その中でも代表的なものが、The New England Journal of Medicineに掲載された大規模臨床試験です。

この研究では、65歳以上の成人において、ワクチンに含まれる血清型による肺炎を約45%、侵襲性肺炎球菌感染症を約75%減少させる効果が示されています。

一方で、すべての肺炎を予防できるわけではない点も重要です。
原因となる細菌やウイルスは多岐にわたるため、ワクチンはあくまで「特定の肺炎球菌に対する予防」と理解する必要があります。

 

集団免疫と今後の課題

肺炎球菌ワクチンは、小児への接種が広く行われるようになったことで、成人の感染も減少する「集団免疫」の効果が確認されています。

その一方で、ワクチンに含まれない型の菌が増える「血清型置換」という現象も報告されています。
PCV20のような多価ワクチンは、この課題に対応するために開発されたものです。

 

日本の接種指針

最新の接種方針については、日本呼吸器学会などの学会が合同で提言を出しています。

65歳の方に対する定期接種は引き続き推奨されており、PCV20は有力な選択肢と位置付けられています。

ただし、新しいワクチンであるため、日本国内での長期的な有効性に関するデータは現在蓄積中です。

 

大阪市における対象と費用

制度の詳細は自治体ごとに定められており、大阪市では以下のようになっています。

対象者は、65歳の方、または60〜64歳で一定の基礎疾患を有する方です。
これは大阪市の制度に基づいています。

自己負担額は6,000円となっており、生活保護受給者や市民税非課税世帯の方は免除の対象となります。

 

接種を検討したい方

以下に当てはまる方は、接種を前向きに検討することが望ましいと考えられます。

  • 持病がある
  • 体力の低下を感じている
  • 過去に肺炎で入院したことがある
  • 高齢のご家族と同居している

体調や既往歴によっては、接種のタイミングや適応について個別に判断が必要です。

 

肺炎球菌ワクチン(PCV20)の案内ポスター。65歳以上の高齢者を対象に、効果・対象・費用(大阪市6000円)を分かりやすく説明し、医師キャラクターが接種を呼びかけているイラスト。

65歳を迎えた方へ。
肺炎は高齢者で重症化しやすい病気です。
2026年からはPCV20(プレベナー20)による接種へ変更され、
1回の接種で予防効果が期待できます。
大阪市では自己負担6,000円(条件により免除あり)。
詳しくは医師までご相談ください。
大阪・心斎橋の内科 福本医院

 

よくある質問

Q. いつ接種するのがよいですか?

65歳の誕生日を迎えた年度内に接種するのが基本です。
体調が安定している時期であれば、季節による制限は特にありません。

 

Q. インフルエンザワクチンと同時に接種できますか?

原則として同時接種は可能です。
ただし、副反応の区別が難しくなるため、医師と相談のうえ判断します。

 

Q. 風邪をひいているときは接種できますか?

発熱や明らかな体調不良がある場合は、回復してから接種します。
軽い鼻風邪程度であれば接種可能なこともありますが、個別判断となります。

 

Q. 以前にPPSV23を接種していますが、PCV20は必要ですか?

接種歴や年齢によって対応が異なります。
追加接種が推奨されるケースもあるため、個別に確認が必要です。

 

Q. 副作用が心配です

多くは接種部位の痛みや軽い発熱などで、数日以内に改善します。
重篤な副反応はまれとされています。

 

Q. 肺炎には必ず効きますか?

すべての肺炎を予防するものではありません。
ただし、肺炎球菌による重症感染の予防効果は高いとされています。

 

Q. 家族も接種したほうがいいですか?

高齢者や基礎疾患のある方は特に推奨されます。
同居家族の感染予防という観点でも重要です。

 

Q. 接種しないとどうなりますか?

必ず感染するわけではありませんが、重症化リスクは高くなります。
とくに高齢者では入院や死亡につながるケースもあります。

 

Q. 予約は必要ですか?

ワクチンの在庫や接種体制の関係で、事前予約をお願いすることが一般的です。

 

Q. どこの医療機関でも受けられますか?

自治体の指定医療機関で接種可能です。
大阪市の場合は登録医療機関で受ける必要があります。

副作用については、接種部位の痛みや軽度の発熱などがみられることがありますが、多くは数日で軽快します。
重篤な副反応はまれとされています。

接種回数は原則として1回です。
過去に肺炎球菌ワクチンを接種している場合は、接種歴に応じて追加接種の適否を検討します。

 

Q. 65歳以外でも受けられますか?

はい、65歳未満の方でも接種は可能です。
ただし定期接種の対象外となるため、自費での接種となります。

当院では自費での肺炎球菌ワクチン接種も行っております。(予約制)
費用は税込7,700円です。
詳しくは以下をご確認ください。
https://shinsaibashi-fukumotocl.jp/vaccine/#a01

持病のある方や、感染症予防を意識したい方は、年齢に関わらず接種を検討する価値があります。

 

Q. 効果はどれくらい持続しますか?

肺炎球菌ワクチンの効果持続期間は明確に一律ではありませんが、
一般的には数年以上にわたり免疫が維持されると考えられています。

PCV20(プレベナー20)は結合型ワクチンであり、
従来のワクチンと比べて免疫の持続性が高い可能性があります。

ただし、長期的な実臨床データはまだ蓄積中であり、
追加接種の必要性については今後の研究や個々の状態によって判断されます。

 

Q. 接種していない人は多いですか?

実際には、対象となる高齢者の中でも接種率は十分とはいえないのが現状です。

理由としては
・制度が分かりにくい
・対象年齢を過ぎてしまう
・必要性が十分に知られていない

などが挙げられます。

一方で、肺炎は高齢者の入院や重症化の原因となることが多く、
ワクチンによる予防の重要性は広く認識されています。

接種するかどうか迷われている場合は、一度医師にご相談ください。

 

まとめ

2026年から、高齢者の肺炎球菌ワクチンはPCV20へと変更されました。
より多くの菌型に対応し、1回接種で完結する点が特徴です。

肺炎のすべてを防ぐものではありませんが、重症化予防という観点では重要な選択肢となります。

 

受診のご案内

肺炎球菌ワクチンの対象かどうか分からない場合や、接種のタイミングについて迷われている場合は、個別にご相談ください。

大阪・心斎橋で内科をお探しの方は、福本医院で対応しております。

 

リンク

1. 厚生労働省 高齢者の肺炎球菌ワクチン

2. 大阪市 高齢者用肺炎球菌ワクチン接種について

  • URL: https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000623098.html

  • 概要: 大阪市民を対象とした定期接種の要件、実施手順、および指定医療機関の案内が掲載されています。令和8年(2026年)4月1日の制度改定に伴い、使用ワクチンがPCV20(プレベナー20)へと移行し、自己負担費用が6,000円に改定された詳細が記載されています。また、生活保護受給者や市民税非課税世帯に対する自己負担免除の取り扱いについても確認できます。

※上記の情報は、現時点(2026年4月時点)で公開されている最新の一次情報に基づいています。

 

参考文献

1. 65歳以上の成人におけるPCV13の有効性(CAPiTA試験)

成人に対する肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)の有効性を実証した、最も基礎となる大規模ランダム化比較試験(RCT)の論文です。

  • 文献名: Polysaccharide Conjugate Vaccine against Pneumococcal Pneumonia in Adults

  • 著者: Bonten MJ, et al.

  • 掲載誌: The New England Journal of Medicine. 2015;372(12):1114-1125.

  • DOI: 10.1056/NEJMoa1408544

  • リンク: https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1408544

  • 主要な知見: 65歳以上の成人約8万4千人を対象とした試験において、PCV13はワクチン血清型の市中肺炎の発症を45.6%、ワクチン血清型の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を75.8%予防することが実証されました。

  • 情報の限界・不確実性: ワクチンに含まれる血清型には高い予防効果を示した一方で、原因菌を問わない「すべての市中肺炎」に対する予防効果は5.1%にとどまり、統計学的に有意な肺炎全体の予防効果は証明されていません。

2.小児へのワクチン接種が成人に与える間接効果のレビュー

  • 文献名: Public health impact of pneumococcal conjugate vaccination: a review of measurement challenges

  • 著者: Horn EK, Wasserman MD, Hall-Murray C, Sings HL, Chapman R, Farkouh RA.

  • 掲載誌: Expert Review of Vaccines. 2021;20(10):1291-1309.

  • DOI: 10.1080/14760584.2021.1971521

  • リンク: PubMed (PMID: 34424123) または Taylor & Francis Online

  • 主要な知見: 小児に対する肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)の導入が、集団免疫(間接効果)を通じて未接種者におけるワクチン血清型の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を減少させることを総説しています。同時に、ワクチンに含まれない血清型による感染が増加する「血清型置換(Serotype replacement)」が重要な課題となっており、より多価なPCV(PCV15、PCV20など)の必要性を指摘しています。

  • 情報の限界・不確実性: 論文内でも詳細に言及されている通り、間接効果の正確な測定には多くの課題が存在します。非侵襲性の疾患(一般的な肺炎など)に対する影響の定量化や、各国のサーベイランス体制の違いによるデータのばらつきなどがあり、効果の推定値には依然として疫学的な不確実性が含まれます。

3. 日本の成人向け肺炎球菌ワクチン接種ガイドライン(最新版)

日本の高齢者に対する最新の接種指針と、国内データに基づく有効性の評価がまとめられた学会の公式ステートメントです。

  • 文献名: 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日改訂)

  • 発行元: 日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会 合同委員会

  • リンク: https://www.jrs.or.jp/activities/guidelines/file/65yrs_vaccine_ver8_20260401u.pdf

  • 主要な知見: 65歳の定期接種におけるPPSV23の継続的な位置づけや、新たに導入されたPCV20(20価)の任意接種への活用について、日本の実情に合わせた推奨が記載されています。

  • 情報の限界・不確実性: 新規承認されたPCV20などの多価結合型ワクチンに関して、日本国内の65歳以上の高齢者集団において長期的にどの程度の感染予防効果(リアルワールドデータ)を発揮するかについては、導入から日が浅いため、現時点では十分な国内のデータ蓄積が存在しません。

4. 米国予防接種実施諮問委員会 (ACIP) の成人向け推奨レポート

米国の65歳以上に対するワクチン推奨の根拠(エビデンスレベル)を包括的にまとめたCDCの公式報告書です。

  • 文献名: Pneumococcal Vaccine for Adults Aged ≥19 Years: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2023

  • 著者: Kobayashi M, et al.

  • 掲載誌: MMWR Recommendations and Reports. 2023;72(3):1-39.

  • DOI: 10.15585/mmwr.rr7203a1

  • リンク: https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/rr/rr7203a1.htm

  • 主要な知見: 65歳以上のすべての成人に対し、従来の複数回接種の複雑さを解消するため、PCV20の単回接種、あるいはPCV15とPPSV23の連続接種が有効であるとする根拠と推奨が示されています。

  • 情報の限界・不確実性: 本ガイドラインの費用対効果分析および有効性の推定は、米国内で流行している肺炎球菌の血清型分布に基づいて構築されています。したがって、流行株が異なる他の地域や国において、この推奨がそのまま最適解となるわけではありません。

 

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この記事の監修

福本医院

院長 福本 淳

内科・循環器内科

平成9年 神戸大学医学部医学科卒

医学博士

循環器専門医(登録番号15490)

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