この記事のポイント

  • 健診の数値の異常とは別に、症状そのもので今すぐの対応が必要な場面があります
  • 「突然始まった」「普段と明らかに違う」「急速に悪化している」が重要な手掛かりです
  • ただし、症状が強くなくても、胸の圧迫感・息苦しさ・顔や手足の片側の異常・言葉の異常は見逃さないでください
  • 迷ったときの相談先(#7119、Q助など)も知っておくと安心です
  • 救急車を呼ぶことは、大げさなことではありません

自宅で息苦しさを感じ、胸に手を当てながら、スマートフォンに入力した119番へ連絡するか迷う「いのばあ」のイラスト

はじめに:迷ったときの考え方

健診の数値は、症状が出る前の段階で異常を見つけるためのものです。一方で、この記事で紹介するのは、数値とは関係なく「今どう動くか」を判断すべき症状です。まず、次のように整理して考えると迷いにくくなります。

  • すぐに119番:呼吸や意識の異常、後で述べるFASTに当てはまる、疑わしい胸の痛み、突然の胸や背中の激痛、血を吐く・真っ黒い便、突然の激しい腹痛など
  • 判断に迷うとき:命に関わる症状に当てはまらないか迷う場合は、利用できる地域では救急安心センター「#7119」、または全国版救急受診アプリ「Q助」で確認できます

なお、この記事で紹介するのは、救急要請を考える症状の代表例です。ここに挙げていない症状でも、呼吸ができない、意識がおかしい、急速に悪化している場合は、迷わず119番に連絡してください。

胸・背中・呼吸の危険信号

胸の中央が締め付けられる、圧迫されるように痛み、その状態が2〜3分続く場合や、冷や汗・吐き気・息苦しさを伴う場合、痛みが顎・肩・背中へ広がる場合は、心筋梗塞などの可能性があります。ためらわず119番に連絡してください。

心筋梗塞は、必ずしも激しい胸の痛みになるとは限りません。高齢の方、糖尿病のある方、女性などでは、息切れ・吐き気・冷や汗・強いだるさだけのこともあります。「これまでにない強さ」だけを基準にせず、いつもと違う胸の圧迫感や息苦しさがあれば注意してください。

また、突然始まった胸や背中の激しい痛みで痛む場所が移っていく場合や、急に息が苦しくなった・息苦しくて会話が最後まで続かない・唇の色が紫色になった・横になると呼吸できないほど苦しい場合も、心臓や肺の緊急性の高い病気のサインであることがあります。いずれも、ためらわず119番に連絡してください。

脳の危険信号:「FAST(ファスト)」で確認する

脳卒中(脳梗塞・脳出血)は、発症からの時間が治療の選択肢を左右する病気です。日本脳卒中学会は、症状にいち早く気づくための合言葉として「FAST」を紹介しています。

  • Face(顔):片側の顔が下がる、ゆがむ
  • Arm(腕):片方の腕に力が入らない、上がらない
  • Speech(言葉):ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • Time(時間):これらに気づいたら、すぐに行動を。発症時刻の確認も重要です

これらのうち1つでも当てはまれば、脳卒中を疑い119番に連絡してください。

FASTに当てはまらなくても、突然、見え方がおかしくなった(見えにくい・物が二重に見える)、支えなしでは立てないほど急にふらついた場合は、脳卒中の可能性があります。また、これまで経験したことのないような突然の激しい頭痛も、くも膜下出血などの危険なサインであることがあります。いずれも119番に連絡してください。

意識・けいれんの危険信号

呼びかけても反応がない、呼吸がおかしい、けいれんが続く・繰り返す、けいれんの後も意識が戻らない、初めてのけいれん、けいれんが5分以上続く場合は、直ちに119番に連絡してください。胸痛・息苦しさを伴って気を失った場合も同様です。

反応がなく、普段どおりの呼吸をしていない場合は、近くにいる人にAEDを持ってきてもらい、119番の通信指令員の指示に従って胸骨圧迫を始めます。AEDが到着したら音声案内に従って使用してください。

意識を失ったときに転倒した、嘔吐している、けいれんしているなど、ほかに気づいたことがあれば、119番の通信指令員に伝えてください。呼吸の状態を判断できない場合も、電話口で指示を受けてください。

吐血・黒色便・激しい腹痛

次のような場合は、消化管からの出血など緊急性の高い病気の可能性があります。119番に連絡してください。

  • 血を吐いた
  • 便に血が混ざる、または真っ黒でタール状の便(下血)が出た
  • 突然の激しい腹痛が続く

とくに、ふらつき・冷や汗・意識が遠のく感じを伴うときは、ためらわないでください。

症状が消えても119番を考える場合

脳卒中の症状は、一時的に現れてすぐに治まることがあります(一過性脳虚血発作)。顔のゆがみ、片腕の脱力、言葉の異常などが数分で消えても、その後に本格的な脳卒中を起こすリスクが高い状態です。症状が消えた時点で安全になったとは限りません。発症時刻を確認し、自分で運転せず、119番に連絡してください。

迷ったときの相談先(#7119・Q助)

「救急車を呼ぶべきか」迷い、上に挙げたような緊急性の高い症状に当てはまらない場合は、利用できる地域では救急安心センター「#7119」に電話で相談できます(医師・看護師などが対応します)。実施している地域や受付時間は地域によって異なり、全国一律のサービスではないため、消防庁または自治体の最新情報をご確認ください。#7119が利用できない地域では、全国版救急受診アプリ「Q助」や、自治体の救急相談窓口も参考になります。

ただし、呼吸が苦しい、意識がおかしい、FASTに当てはまる、疑わしい胸の痛みがある場合などは、相談先を探すよりも先に、迷わず119番へ連絡してください。相談先を探している間に通報が遅れることは避けてください。

救急車を呼ぶことは、大げさに振る舞うことではありません。時間が治療を左右する症状では、本人やご家族だけで判断し続けないことが大切です。

よくある質問

Q. 症状が軽い気がしますが、それでも救急車を呼んでいいですか?

A. 「突然始まった」「普段と明らかに違う」「急速に悪化している」と感じたら、遠慮せず119番を検討してください。強さがそれほどでなくても、胸の圧迫感、息苦しさ、顔や手足の片側の異常、言葉の異常があるときは、強さだけで判断しないでください。

Q. 自分で車を運転して病院へ行ってもよいですか?

A. 脳卒中や心筋梗塞などが疑われる症状では、移動の途中で悪化する可能性があります。自分で運転せず、119番に連絡してください。

Q. 夜間や休日に症状が出た場合はどうすればいいですか?

A. 緊急性が高いと感じる場合は、時間帯にかかわらず119番へ連絡してください。判断に迷う程度であれば、利用できる地域の#7119や、Q助、自治体の夜間休日の診療案内を確認してください。

Q. 一度症状が治まりました。それでも対応が必要ですか?

A. 特に脳卒中の症状は、一時的に治まった後に本格的な発作を起こすことがあります。治まったからと安心せず、119番に連絡してください。

まとめ

健診の数値は、症状が出る前に異常を見つけるためのものです。一方で、この記事で紹介した症状は、数値とは関係なく「今すぐの行動」が必要になるサインです。「突然始まった」「普段と違う」「急速に悪化している」を手掛かりに、呼吸・意識の異常やFAST、疑わしい胸の痛み、突然の胸や背中の激痛、血を吐く・真っ黒い便などには119番、判断に迷うときは#7119やQ助を利用してください。救急車を呼ぶことは、大げさなことではありません。

参考文献

福本医院は大阪市中央区南船場にある内科・循環器内科です。

心斎橋、長堀橋、本町、四ツ橋から徒歩圏内にあり、新町・堀江・立売堀をはじめ大阪市西区からも多くの患者様にご来院いただいております。

動悸、不整脈、胸痛、息切れ、高血圧などでお困りの方は、心電図、ホルター心電図、心エコー検査などを活用しながら診療を行っております。気になる症状がある方や、健康診断で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。

 

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この記事の監修

福本医院

院長 福本 淳

内科・循環器内科

平成9年 神戸大学医学部医学科卒

医学博士

循環器専門医(登録番号15490)

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