健康診断の尿検査でわかること|尿蛋白・尿潜血・尿糖の意味と受診の目安
■ この記事のポイント
- 尿検査では主に「尿蛋白」「尿潜血」「尿糖」を調べます
- 陽性でも、検査項目によっては体調や運動、月経、服薬などの影響を受けることがあります
- 尿蛋白と尿潜血が同時に陽性の場合は、腎臓の病気の可能性がやや高まります
- 尿潜血は、年齢・喫煙歴・赤血球数などを総合して精査の必要性を判断します
- 肉眼で分かる血尿や、繰り返す陽性は、放置せず医療機関で確認しましょう

尿検査で調べていること
健康診断の尿検査は、試験紙を尿に浸して色の変化を見る簡便な検査で、主に「尿蛋白」「尿潜血」「尿糖」の3項目を調べます。血液検査と違って痛みがなく、体への負担がほとんどないまま、腎臓や尿路、糖代謝の状態を知ることができる検査です。健診結果票全体の見方についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。
尿蛋白が陽性だったら
尿蛋白は、本来血液中にとどまるはずのタンパク質が尿に漏れ出している状態です。腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)に何らかの負担がかかっているサインのことがあります。
尿蛋白が陽性でも、必ずしも腎臓の病気とは限りません。小児〜若年者では、立った姿勢が続いたときにだけ蛋白が出る「起立性蛋白尿」がよく見られ、病的な意味を持たないことがほとんどです。ただし成人になってから新たに蛋白尿が持続する場合は、起立性蛋白尿と自己判断せず、評価を受けることが勧められます。発熱時や激しい運動の直後にも、一時的に陽性になることがあります。
繰り返し陽性が出る場合、医療機関では尿中のタンパクやアルブミンを数値で測る検査を行い、腎機能や血圧などと合わせて評価することがあります。腎機能の数値の見方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
尿潜血(尿潜血反応が陽性)と言われたら
尿潜血は、尿中の血液成分(ヘモグロビンなど)を試験紙で調べる検査です。陽性だからといって、必ずしも尿に赤血球が増えているとは限らず、医療機関では顕微鏡で尿を調べ(尿沈渣)、実際に赤血球が増えているかを確認することがあります。
原因は、腎臓(糸球体腎炎など)、尿管や膀胱の結石、膀胱炎などの炎症、前立腺の病気(男性)など多岐にわたります。一時的な原因や良性の病気によることもありますが、まれに膀胱や腎臓などの腫瘍が背景にあることもあります。海外の泌尿器科の指針では、年齢・性別・喫煙量(本数×年数で計算する累積量)・尿中の赤血球数・肉眼的血尿の既往などを組み合わせて、詳しい検査の必要性を判断するとされています。こうした基準は近年も見直しが続いているため、年齢や喫煙歴の有無だけで自己判断せず、繰り返し陽性が出る場合は医師に相談してください。
女性の場合、月経の影響で一時的に陽性となることもあります。月経中や直後の検査であれば、期間をおいて再検査することも検討します。
尿糖が陽性だったら
尿糖は、尿中にブドウ糖が検出された状態です。多くは、血糖値が高くなりすぎて腎臓で再吸収しきれなくなった糖が尿にあふれ出ることで生じ、糖尿病や糖尿病予備群と関連していることが多い所見です。
血糖値が正常であっても尿糖が出ることがあります。腎臓が糖を再吸収する能力が体質的に低い「腎性糖尿」のほか、一部の糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬など)は、作用の仕組み上、意図的に尿へ糖を排出させます。すでに糖尿病の治療を受けている方は、尿糖の陽性だけで病状が悪化したと判断せず、服薬の内容と合わせて確認してください。
一時的に陽性になることもあります
尿蛋白は、発熱や激しい運動の直後などに一時的に陽性になることがあります。尿潜血は、月経中の血液の混入や、激しい運動の後に一時的に陽性になることがあります。尿糖は、食後の一時的な血糖上昇や、治療中の薬剤の影響で陽性になることがあります。原因によって「一時的」の意味が異なるため、いずれの項目も、1回の結果だけで自己判断せず、再検査で確認することが大切です。
こんな時は受診をおすすめします
早めに受診してほしい場合
- 目で見て分かるほどの血尿(赤色や茶色の尿)が出た
- 尿に血の塊が混じる
- 強い腰や背中の痛みがある
- 血尿に発熱や排尿時の痛みを伴う
- 排尿時の痛みや頻尿が続く(健診の再検査を待たず、早めに相談してください)
再検査・相談をおすすめする場合
- 尿蛋白または尿潜血が、複数回の健診で繰り返し陽性になっている
- 尿蛋白と尿潜血が同時に陽性と指摘された(健診結果を持って医療機関へ相談してください)
- 尿糖が陽性で、血糖値やHbA1cの異常も指摘されている
受診までにできること
再検査までの間、症状(血尿の色、痛みの有無、発熱など)をメモしておくと、診察の助けになります。健診結果票、お薬手帳、過去の検査結果があれば持参してください。医療機関では、尿沈渣による顕微鏡検査や、必要に応じて画像検査を組み合わせて原因を調べます。
よくある質問
Q. 尿蛋白が(+)でしたが、体調は特に悪くありません。それでも受診が必要ですか?
A. 腎臓の病気は自覚症状が乏しいことが多いため、症状がなくても、繰り返し陽性が出る場合は原因を確認することをおすすめします。
Q. 生理中に健診を受けました。尿潜血の結果は信用できますか?
A. 月経の血液が混入し、陽性になっている可能性があります。期間をおいての再検査を検討してください。
Q. 尿糖が出ていましたが、血液検査のHbA1cは正常でした。糖尿病の薬も飲んでいません。なぜですか?
A. 腎臓が糖を再吸収する能力には個人差があり、血糖値が正常でも尿糖が出る体質の方がいます(腎性糖尿)。採血時の血糖値や検査時の食事状況が影響していることもあります。心配な場合は医師に相談してください。
まとめ
尿検査は、痛みなく手軽に受けられる検査でありながら、腎臓・尿路・糖代謝の状態を知る手がかりになります。1回の陽性で慌てる必要はありませんが、目で見て分かる血尿や、繰り返す陽性がある場合は、放置せず医療機関で原因を確認しましょう。
【健診でeGFR低下・尿蛋白を指摘された方へ】慢性腎臓病(CKD)とは?症状・原因・最新治療を医師が解説|大阪・心斎橋 福本医院
参考文献
- 血尿診断ガイドライン2023(血尿診断ガイドライン改訂委員会編:日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本小児腎臓病学会・日本医学放射線学会・日本臨床検査医学会・日本臨床衛生検査技師会の6学会・団体合同、ライフサイエンス出版、2023) https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00799/
- Microhematuria: AUA/SUFU Guideline(American Urological Association, 2020, Amended 2025) https://www.auanet.org/guidelines-and-quality/guidelines/microhematuria
- 日本腎臓学会「診療ガイドライン 第3章 検尿の位置づけ」 https://jsn.or.jp/guideline/kennyou/16.php
- MSDマニュアル家庭版「腎性糖尿」 MSDマニュアル該当ページ
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この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
平成9年 神戸大学医学部医学科卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)





















