【健診でeGFR低下・尿蛋白を指摘された方へ】慢性腎臓病(CKD)とは?症状・原因・最新治療を医師が解説|大阪・心斎橋 福本医院
この記事のポイント
- 慢性腎臓病(CKD)は初期にはほとんど症状がありません
- eGFR低下や尿蛋白陽性はCKDのサインかもしれません
- CKDは透析だけでなく、心筋梗塞・心不全・脳卒中のリスクとも関係します
- 糖尿病・高血圧・肥満はCKDの主な原因です
- 健康診断で「eGFR低下」「尿蛋白陽性」を指摘されたら、一度ご相談ください


はじめに
健康診断で
– 「eGFRが低いですね」
– 「クレアチニンが高めです」
– 「尿蛋白が出ています」
と言われたことはありませんか?
これらは慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)のサインかもしれません。
慢性腎臓病は世界で8億人以上が抱えるとされる非常に頻度の高い病気です。
しかし初期にはほとんど症状がないため、多くの方が気づかないまま進行してしまいます。
2026年にThe Lancetから発表された大規模CKDシリーズでは、
「CKDは世界で最も過小評価されている重大疾患のひとつ」
と位置付けられました。
さらに2040年頃には世界の主要な死因の上位になる可能性も指摘されています。
今回は最新の国際的な知見と各国ガイドラインをもとに、慢性腎臓病について分かりやすく解説します。
慢性腎臓病(CKD)とは?
① eGFRが60未満
または
② 尿蛋白・尿アルブミンなど腎障害の所見
が3か月以上続く状態を指します。
重要なのは、
「透析が必要な状態」
だけがCKDではないことです。
軽度の腎機能低下もCKDに含まれます。
eGFRとは?
eGFRは、健診結果にも表示されていますね。
「腎臓が1分間にどれだけ血液をろ過できるか」
を推定した数値です。
一般的な目安は
– 90以上:正常(G1)
– 60〜89:軽度低下(G2)
– 45〜59:CKD G3a
– 30〜44:CKD G3b
– 15〜29:CKD G4
– 15未満:CKD G5
となります。
年齢とともに低下する傾向がありますが、
「年齢のせいだから大丈夫」
とは限りません。
※eGFRだけでなく、尿蛋白や尿アルブミンの有無も重要です。慢性腎臓病(CKD)は、eGFRと尿蛋白を組み合わせてリスクを評価します。

慢性腎臓病(CKD)はなぜ問題なのか?
多くの方は
「透析になる病気」
というイメージを持っています。
しかし現在では、
CKD最大の問題は
心血管疾患
であることが分かっています。
具体的には
– 心筋梗塞
– 狭心症
– 心不全
– 脳梗塞
– 閉塞性動脈硬化症
などです。
実際には透析になる前に心血管疾患で亡くなる方の方が多いことが知られています。
そのため循環器内科ではCKDを非常に重視しています。
CKDの主な原因
糖尿病
現在最も多い原因です。
糖尿病性腎症は透析導入原因の上位を占めています。
高血圧
高血圧は腎臓の細い血管を傷つけます。
また腎機能低下は高血圧を悪化させます。
肥満
近年急増しています。
肥満は
– 糖尿病
– 高血圧
– 脂肪肝
とも深く関連しています。
加齢
年齢とともに腎機能は徐々に低下します。
喫煙
腎機能低下を加速させることが分かっています。
慢性腎臓病(CKD)の症状
初期にはほぼ無症状です。
進行すると
– むくみ
– 倦怠感
– 息切れ
– 貧血
– 夜間頻尿
– 食欲低下
などがみられます。
症状が出た時には進行している場合も少なくありません。
2026年Lancetシリーズが強調したポイント①
CKDは診断されていない人が多すぎる
高所得国でも
30〜50%が未診断
と推定されています。
つまり
「知らないうちに進行している」
方が非常に多いのです。
ポイント②
尿検査が軽視されている
健康診断では
血液検査だけを気にする方が多いですが、
実は
尿蛋白
尿アルブミン
が極めて重要です。
腎障害の早期発見に役立ちます。
ポイント③
女性のCKDは見逃されやすい
Lancetシリーズでは
女性が男性より診断されにくい可能性が指摘されています。
症状が乏しいこともあり、
健診結果を放置しないことが重要です。
ポイント④
CKD治療は大きく進歩している
近年の最大の変化です。
以前は
「血圧を下げる」
ことが中心でした。
現在は
SGLT2阻害薬
GLP-1受容体作動薬
非ステロイド型MRA(フィネレノンなど)
によって
腎機能低下や心血管イベントの抑制が期待できるようになりました。
CKDと心不全の深い関係
近年は
「心腎連関」
という考え方が重視されています。
心臓が悪くなると腎臓も悪くなる。
腎臓が悪くなると心臓も悪くなる。
という悪循環です。
そのため
– 高血圧
– 心不全
– 心房細動
– 冠動脈疾患
の患者さんでは腎機能評価が欠かせません。
CKDを予防するには?
塩分を減らす
目標は1日6g未満です。
血圧管理
家庭血圧測定が重要です。

糖尿病管理
HbA1cだけでなく体重管理も重要です。

禁煙
最も効果的な予防策のひとつです。
適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動が推奨されます。

福本医院でできる検査
当院では
– 血液検査
– eGFR評価
– 尿検査
– 尿蛋白評価
– 心電図
– ABI検査
– 心エコー
– 頸動脈エコー
を行っています。
特に
「腎臓だけでなく心臓や血管も一緒に評価する」
ことを重視しています。
こんな方はご相談ください
□ 健診で腎機能低下を指摘された
□ 尿蛋白が陽性だった
□ 糖尿病がある
□ 高血圧がある
□ 心不全や心疾患がある
□ 家族に透析患者がいる
□ むくみや息切れが気になる
まとめ
慢性腎臓病(CKD)は初期にはほとんど症状がありません。
しかし、
– 心筋梗塞
– 心不全
– 脳卒中
– 透析
につながる重要な疾患です。
一方で近年は治療が大きく進歩しており、
早期発見によって進行を抑えられる可能性があります。
健康診断で
– eGFR低下
– クレアチニン高値
– 尿蛋白陽性
を指摘された場合は、放置せずご相談ください。
福本医院では腎機能だけでなく、心臓・血管も含めた総合的な評価を行っています。
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よくある質問(FAQ)
Q. eGFR 58は危険ですか?
A. eGFR 58はCKD分類では「G3a」に相当する可能性があります。ただし、一度の検査だけで慢性腎臓病(CKD)とは診断されません。3か月以上持続しているか、尿蛋白や尿アルブミン異常を伴うかが重要です。年齢や基礎疾患も考慮して評価する必要があります。
Q. eGFR 45と言われました。透析になりますか?
A. eGFR 45はCKD G3bに相当しますが、直ちに透析が必要になるわけではありません。現在では適切な血圧管理や糖尿病管理、SGLT2阻害薬などの治療により、進行を遅らせることが期待できます。定期的な経過観察が重要です。
Q. 尿蛋白1+は大丈夫ですか?
A. 尿蛋白1+でも放置はおすすめできません。一時的な脱水や発熱、激しい運動で陽性になることもありますが、慢性腎臓病や糖尿病性腎症、高血圧性腎障害の初期サインである場合もあります。一度は医療機関で再検査を受けることをおすすめします。
Q. 尿蛋白2+と言われました。放置しても大丈夫ですか?
A. 尿蛋白2+は腎臓から本来漏れないはずのタンパク質が尿中へ漏れ出ている可能性を示します。一時的な変化のこともありますが、慢性腎臓病(CKD)、糖尿病性腎症、糸球体腎炎などが隠れている場合があります。特にeGFR低下を伴う場合は放置せず、早めの受診をおすすめします。
Q. クレアチニンが正常でもCKDですか?
A. はい。クレアチニン値が正常範囲でも、年齢や性別によってはeGFRが低下している場合があります。また、尿蛋白や尿アルブミンが陽性であればCKDと診断されることがあります。クレアチニンだけでなく、eGFRや尿検査をあわせて評価することが重要です。
Q. シスタチンCとは何ですか?
A. シスタチンCは腎機能を評価するための血液検査の一つです。筋肉量の影響を受けにくいため、高齢者や筋肉量が少ない方ではクレアチニンより正確に腎機能を反映する場合があります。2026年のLancet CKDシリーズでも、シスタチンCを用いたeGFR評価の重要性が強調されています。
Q. 健康診断で「要再検査」と言われました。すぐ受診した方がよいですか?
A. eGFR低下や尿蛋白陽性を指摘された場合は、一度医療機関で確認することをおすすめします。特に糖尿病や高血圧がある方では、慢性腎臓病(CKD)が隠れていることがあります。
Q. 腎機能は年齢とともに低下するので、治療は不要ですか?
A. 加齢によってeGFRは徐々に低下しますが、「年齢のせい」と決めつけるのは危険です。尿蛋白の有無や低下速度によっては、慢性腎臓病として管理が必要な場合があります。
Q. 高血圧と腎臓病は関係がありますか?
A. はい。高血圧は腎臓の細い血管を傷つける原因となります。また、腎機能が低下すると血圧が上がりやすくなるため、お互いに悪影響を及ぼします。血圧管理はCKD治療の基本です。
Q. 糖尿病があると腎臓病になりやすいのですか?
A. はい。糖尿病は慢性腎臓病の最も多い原因の一つです。血糖管理に加え、血圧管理や体重管理を行うことで腎機能低下の予防が期待できます。
Q. 腎臓病を予防するために日常生活で気を付けることはありますか?
A. 減塩、適度な運動、禁煙、適正体重の維持が重要です。また、高血圧や糖尿病がある方は定期的な血液検査・尿検査を受けることをおすすめします。
※本記事は2026年Lancet CKD Series、KDIGO 2024 CKDガイドライン、日本腎臓学会CKD診療ガイドライン2023などの査読論文・国際ガイドラインを参考に作成しています。
【参考文献】
1. Herrington WG, Judge PK, Grams ME, et al. Chronic kidney disease. Lancet. 2026.
慢性腎臓病(CKD)の疫学、診断、病態、予防、治療までを包括的にまとめた総説。
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(25)01942-7
URL:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(25)01942-7/fulltext
2. Lees JS, Carrero JJ, Levin A, et al. Advances in understanding the impact of sex on kidney health and disease. Lancet. 2026.
腎疾患における男女差(性差医学)の最新知見をまとめたレビュー。発症率や進行速度、治療反応性の違いについて解説している。
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(26)00654-9
URL:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(26)00654-9/fulltext
3. Lees JS, Zhang L, Anandh U, et al. Advances in the diagnosis and detection of chronic kidney disease. Lancet. 2026.
慢性腎臓病(CKD)の早期発見と診断精度向上に関する最新の知見をまとめたレビュー。シスタチンCを用いたeGFR評価、尿アルブミン測定、腎生検、マルチオミクス解析、画像診断、人工知能(AI)を活用した診断技術など、次世代のCKD診断戦略について解説している。また、CKDスクリーニングの費用対効果やリスク予測モデルについても論じている。
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(26)00702-6
URL:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(26)00702-6/fulltext
4. Levin A, et al. Executive summary of the KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024.
KDIGO 2024 CKDガイドラインの要点をまとめた公式エグゼクティブサマリー。
DOI:https://doi.org/10.1016/j.kint.2023.10.016
5. KDIGO. KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease.
CKDの診断、重症度分類、治療、フォローアップに関する国際標準ガイドライン。
URL:https://kdigo.org/guidelines/ckd
6. 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023.
日本人の疫学データや診療実態を踏まえて作成された日本の慢性腎臓病診療ガイドライン。
URL:https://www.jsn.or.jp
7. National Kidney Foundation. KDOQI Clinical Practice Guidelines for Chronic Kidney Disease.
米国におけるCKDの評価、分類、管理に関する代表的なガイドライン。
URL:https://www.kidney.org/professionals/guidelines
8. European Renal Association (ERA). Clinical Practice Guidelines.
欧州腎臓学会によるCKD診療ガイドライン。
URL:https://www.era-online.org
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この記事の監修
福本医院
院長 福本 淳
内科・循環器内科
平成9年 神戸大学医学部医学科卒
医学博士
循環器専門医(登録番号15490)


























