ダイエット方法 ―「ダイエット論」に基づいた、具体的な進め方
■ この記事のポイント
本記事は「ダイエット論 ― 体重は生活習慣と年齢と性別で決まる」の
続編にあたる、実践編です。理論編で導いた結論を、日々の生活にどう
落とし込むかをご説明します。
・体重は「生活習慣 ÷ 年齢と性別で決まる定数」で決まります
・食事の間隔を1日15時間以上空けることが、最も効きます
・タンパク質は削らない(男性65g・女性50g/日)
・停滞は失敗ではなく、その生活習慣で決まる体重に近づいたということです
・リバウンドは意志の問題ではありません。元の生活習慣に戻れば体重も戻ります
70kgの方が50kgになりたいのであれば、やるべきことは一つです。「50kgを維持できる生活習慣」を身につける。 ここから先は、そのために当院が実際にお勧めしている方法です。


理論の裏づけ(なぜ痩せなくなるのか、なぜリバウンドするのか)を先に
お知りになりたい方は、理論編をご覧ください。

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1. まず、ダイエットを「趣味」にする
苦行やノルマだと思った時点で、まず続きません。そして続かないものは、定義上、生活習慣にはなりません。
体重が減っていくことを、毎日の楽しみとして扱う。ダイエットに成功したご自身を、具体的に思い描いてみてください。
これは精神論ではありません。「継続できる形にする」という、技術的な要請です。理論編で示したとおり、新しい体重に到達するには年単位の時間がかかります。続かない方法には、そもそも意味がないのです。
2. 体重測定 ― 毎日測り、トレンドで見る
毎日お風呂上がりに体重計に乗り、記録する。グラフで評価する習慣をつけましょう。
大事なのは、その日の数値で一喜一憂しないことです。体重の動きは株価によく似ています。日々の上下ではなく、トレンド(傾向)で判断してください。1日で0.5kg増えることは普通にあります。それはほぼ水分です。
自動で記録される体重計を
手入力は、想像以上に続きません。スマートフォン連携に対応した体重計なら、乗るだけで自動的にアプリへ記録されます。
選ぶときは、通販サイトや検索エンジンで 「体組成計 スマホ連携」 と検索してみてください。iPhoneをお使いなら 「体組成計 ヘルスケア 連携」、Androidなら 「体組成計 Google Fit 連携」 と加えると、より絞り込めます。
確認すべきは、次の3点だけです。
- スマートフォンのアプリに、自動で記録されること
- お使いのスマートフォン(iPhone/Android)に対応していること
- 体重に加えて、体脂肪率が測れること
価格帯は幅がありますが、この3点を満たしていれば十分です。体重計選びは、じつは成否をかなり左右します。「乗るだけ」にするための投資だとお考えください。
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3. 運動 ― 生活のなかに組み込む
国が推奨している量
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について次のように推奨されています。
- 歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)
- 筋力トレーニングを週2〜3日
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする
高齢者では1日約6,000歩以上が目安となります。
当院がお伝えしていること
とはいえ、いきなり8,000歩は続きません。続かない目標は、生活習慣になりません。
ですので当院では、まず1日5,000歩を最低ラインに置いていただき、そこから8,000歩へ近づけていくことをお勧めしています。スマートフォンのアプリ(iPhoneなら「ヘルスケア」)で、毎日の歩数を確認してください。
筋力トレーニング週2〜3日は、ぜひ取り入れてください。理由は理論編で述べたとおりです。ダイエットの目的は体重計の数字ではなく、身体の体積を減らすこと。筋肉が落ちれば、体重が減っても身体は締まりません。
「運動の時間」を作ろうとしない
時間を新たに確保しようとすると、挫折します。すでにある行動を、運動に変えてください。
- 天気の良い朝、1時間早起きして30分散歩する
- 車通勤を電車通勤に変える
- 通勤・通学の帰りに、1駅〜3駅、歩けるだけ歩く(途中から電車やバスに乗ればいい)
- マンションやビルでは、階段を昇れるだけ昇る(途中の階からエレベーターに乗ればいい)
「全部やらなくていい、途中まででいい」と決めておくと、続きます。
なお、平地での自転車は、あまり良い運動にはなりません。移動手段としては優秀ですが、運動量としては期待しないでください。
4. 食事習慣 ― 食事の間隔を空ける
ここが最も効きます。
体脂肪は、糖の供給が途切れて初めて、エネルギーとして使われ始めます。逆に言えば、何かを食べ続けている限り、体脂肪の出番はありません。ですから食事と食事の間隔を空けることが重要になります。
当院がお勧めしているのは、1日15時間以上、食事の間隔を空ける形です。
→ 朝食は摂らない
→ 翌日12時以降に昼食
(21時 → 翌12時で、15時間)
朝食を抜くことに抵抗を感じられるかもしれませんが、「3食きちんと」は、減量を目指す方にとって最適解とは限りません。減量期においては、空腹の時間を確保するほうが理にかなっています。
【必ずお読みください】この方法が適さない方
以下に当てはまる方は、自己判断で行わず、必ず主治医にご相談ください。低血糖などの危険があります。
- 糖尿病で治療中の方(特にインスリン、SU薬を使用中の方)
- その他、低血糖を起こしうるお薬を使用中の方
- 妊娠中・授乳中の方
- 高齢の方、痩せている方、体力の落ちている方
- 摂食障害の既往がある方
- 成長期のお子さま
「空腹であればあるほど良い」ではありません。
空腹の時間を確保することは有効ですが、極端な絶食は逆効果です。エネルギーもタンパク質も不足した状態が続くと、身体は筋肉を分解してエネルギーに変えます。筋肉が落ちれば身体の体積は減らず、見た目も締まりません。ふらつき、集中力の低下、体調不良が出るような空腹は、行き過ぎです。
5. 栄養 ― 炭水化物を控え、タンパク質を守る
炭水化物
目標体重に達するまでは、炭水化物を極力控えましょう。ご飯、パン、麺、そして砂糖入りの飲料です。
タンパク質は「削らない」
ここは削ってはいけない項目です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における、タンパク質の推奨量は次のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜49歳 | 65 | 50 |
| 50〜64歳 | 65 | 50 |
| 65歳以上 | 60 | 50 |
減量中こそ、この量を下回らないようにしてください。タンパク質が不足したまま減量すると、身体は脂肪ではなく筋肉を削ります。
タンパク質を多く含む食品
| 食品 | 目安量 | タンパク質 |
|---|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし) | 100 g | 約 23 g |
| サラダチキン | 1個(110 g) | 約 24 g |
| 牛肉・豚肉(赤身) | 100 g | 約 20 g |
| 魚(鮭・さばなど) | 1切れ(80 g) | 約 18 g |
| 木綿豆腐 | 1/2丁(150 g) | 約 10 g |
| 納豆 | 1パック(50 g) | 約 8 g |
| 卵 | 1個 | 約 6 g |
| 牛乳 | 200 ml | 約 7 g |
たとえば、サラダチキン1個+魚1切れ+卵2個+納豆1パックで、およそ 62g。ここに豆腐か牛乳を足せば、男性の推奨量にも届きます。
水分とビタミン
- 水分:食事量が減ると、食事から摂っていた水分も減ります。ノンカロリーの水分をしっかり摂ってください。
- ビタミン:食事量が減ればビタミンも不足します。マルチビタミンのサプリメントで補いましょう。
6. どうしても食べたいときは
我慢しきれないときの、現実的な選び方です。
- タンパク質の多いものを選ぶ ― 焼肉、焼き鳥、魚料理、卵料理
- どうしても牛丼なら ― 小盛り+牛皿+温玉のせ(ご飯を減らし、タンパク質を足す)
- どうしてもラーメンなら ― 麺をできるだけ残し、チャーシューと味付け卵をトッピング
考え方はどれも同じです。炭水化物を減らし、タンパク質に置き換える。
7. たまになら、しっかり食べても大丈夫です
これは「ダイエット論」から直接導かれる、重要な帰結です。
体重は生活習慣で決まります。裏返せば、習慣でない一度きりの行動は、体重を決めません。
仮にある日、2,100kcal 余計に食べてしまったとします。体脂肪1g=7kcal ですから、増えるのは300gだけです。そしてそれが習慣でない限り、体重はやがて今の習慣で決まる体重へ戻っていきます。
一度の食べ過ぎで、これまでの努力が消えることはありません。気にすべきは1日ではなく、習慣です。
8. お酒を飲むなら
蒸留酒を選んでください。特にハイボールがお勧めです。ビール、日本酒、甘いカクテルは糖質が多くなります。
ただし一点。表示カロリーが低くても、量を飲めば同じことです。「糖質ゼロだから」と本数が増えては、意味がありません。
なお、飲酒は体重とは別に、血圧・不整脈・肝臓への影響もあります。減らせるのであれば、減らすに越したことはありません。
9. 「昔、痩せていた頃」を思い出してみてください
痩せていた頃のご自身は、おそらくこうだったはずです。
- 空腹を感じている時間が、今よりずっと長かった
- 財布の中のお金が、今より少なかった
- コンビニに、今ほど行かなかった
体重は生活習慣で決まるのですから、その頃の生活習慣を取り戻せば、その頃の体重に戻ります。具体的には——
- 身の回りに炭水化物を置かない。間食をしない
- 財布にお金をあまり入れておかない
- コンビニには極力行かない
意志の力に頼るのではなく、意志を試される場面そのものを減らす。これが続けるコツです。
10. 歳を取ると、同じ生活では太ります
理論編の式を思い出してください。分母の基礎代謝基準値は、年齢とともに下がります。
分母が小さくなるということは、同じ分子(同じ生活習慣)なら、収束する体重は大きくなるということです。
つまり、歳を取る分だけ食べる量を減らしていかないと、必ず太ります。「昔と同じように食べているのに太った」のではなく、「昔と同じように食べているから太った」のです。
11. 体重がなかなか減らないときは
厳しいようですが、式はこう言っています。
生活習慣の改善が、まだ不十分です。
現状では、食べ過ぎか、運動不足か、その両方ということになります。
ただし、減り方が鈍ること自体は正常です。理論編で示したとおり、体重は減り続けるのではなく、ある一点へ収束していきます。停滞は失敗ではなく、その生活習慣で決まる体重に近づいたということです。さらに減らしたいのであれば、生活習慣をもう一段変える必要があります。
なお、急激な体重の増減や、生活習慣で説明のつかない変化がある場合は、甲状腺機能異常などの疾患が隠れていることもあります。気になる場合はご相談ください。
12. 食事習慣を変えるのが難しい方へ
ここまでお読みになって、「食事習慣を変えるのが、どうしても難しい」と感じられた方もおられると思います。
当院では、そうした方を対象に、自由診療(保険適用外)による減量治療を行っています。
- 自由診療のため、費用は全額自己負担となります
- BMI 27以上の方が対象です
- 主な副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲不振などが報告されています
- 効果や副作用には個人差があります。医師の診察のうえ、適応を判断します
- 詳細・費用は自由診療のご案内をご覧ください
ただし、これは「新しい生活習慣を一つ取り入れる」ことにほかなりません。理論編で示したとおり、治療をやめて元の生活習慣に戻れば、体重も元に戻ります。
ですから当院では、治療と並行して生活習慣を改善していただき、目標体重を維持できる習慣が身についた時点で終了するという進め方をお勧めしています。治療は目的ではなく、生活習慣が変わるまでの助走です。
なお、糖尿病の治療(保険診療)とは、対象も目的も異なります。糖尿病の治療については、別途ご相談ください。
13. リバウンドとは何か
もう一度だけ、確認します。
「体重は、生活習慣と年齢と性別で決まる」ということは、「元の生活習慣に戻れば、体重も元に戻る」ということです。
これがリバウンドです。意志の問題でも、体質の問題でもありません。式が元に戻っただけです。
リバウンドしないために
目標体重を維持できる新しい生活習慣を身につけてから、
ダイエットを終了する。
これが決定的に重要です。ダイエットのゴールは「目標体重に到達すること」ではありません。「目標体重を維持できる生活習慣が定着すること」です。
まとめ
- ダイエットを趣味にする ― 続かないものは生活習慣にならない
- 毎日測り、トレンドで評価する
- まず1日5,000歩から、国の推奨8,000歩へ。筋トレは週2〜3日
- 食事の間隔を15時間以上空ける(該当する方は必ず主治医にご相談を)
- 炭水化物を控え、タンパク質は推奨量を下回らない(男性65g・女性50g)
- たまになら大丈夫。決めるのは1日ではなく習慣
- 意志に頼らず、意志を試される場面を減らす
- 維持できる習慣が身についてから、ダイエットを終了する
体重の増加は、高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病、さらには心不全のリスクに直結します。減量についてお困りのことがあれば、どうぞ当院にご相談ください。
理論的な裏づけを詳しくお知りになりたい方は、「ダイエット論 ― 体重は生活習慣と年齢と性別で決まる」をご覧ください。
参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年10月公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html - 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月) https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
※ 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療に代わるものではありません。
※ 持病のある方、治療中の方は、実施前に必ず主治医にご相談ください。
※ 自由診療による減量治療は保険適用外であり、費用は全額自己負担となります。効果・副作用には個人差があります。
初出:2021年7月26日(動画公開)/全面改訂:2026年7月
























